うさぎパイナップル

主にフィギュアスケートの旅日記とテレビ観戦記とお題記事・ただ書き散らして生きていたい

空洞に降る雨は涙と祈り

本日は別の記事の予定でしたが、急遽差し替えます。詳しくはまたきちんと書こうと思いますが、とりあえずざっと思ったことだけ書きます。

本当に久しぶりに、自分のため以外に泣いたと思う。怪我は仕方ない。治せばいい。でも、泣いていたと聞くと、どんなに悔しかっただろうと思うと、胸が潰れそうだった。

あんなに楽しみにしていたNHK杯に、羽生君がいない。

状況からして骨折などといった最悪の事態ではないのだろうと思われたので過度の心配はしていなかったけれど、それだけに難しい判断だと感じ、じりじりしながら過程を見守っていた。
正直、羽生君は状態に関係なく全日本にすら出なくてもいいと思う。全日本に出なくてもオリンピックに出られる体調ならば私なら迷うことなく代表に選ぶ。彼を出さないのは国家の損失レベルだ。愚の骨頂である。ファンだとかファンでないとかまったく関係なく、冷静に考えればその結論以外は存在しない。群を抜いてトップクラスの営業がたまたま会議を欠席したから大事な商談から外したら会社が潰れた、というレベルの損失だと思うが。
だけど、ひと昔前なら、超トップクラスであれば国内大会とオリンピックだけ出ても勝てたのかもしれないが、この高度化し複雑化した昨今の競技事情では、もうそれは通用しないような気もしてしまうのだ。試合でなければ掴めない感覚もあるだろう。四大陸は出ないと仮定した場合、オリンピックまでもう3回しか試合はない。出られるのであれば出た方がいい。素人の勝手な感想でしかないのだけれど、私はそう思った。それに、羽生君の性格も考え合わせれば、是が非でも出たいだろう。出させてあげたい。彼の気の済むようにさせてあげたい。千切れるほど祈った。私の勘は当たる。当たるけど、外れてほしくて必死で祈った。結局、勘が当たってしまったけれど…。今年の男子は何かにまとわりつかれている気がする…。色々ありすぎじゃないです?(泣)

とにかく、これが彼にとっていい方向へ進む道であることを信じるしかない。まわり道に見えた何かが輝かしい扉を開くことだってある。しばらく好きなゲームでもやってサッパリして欲しいです。幸い、やはり重傷ではないようですし。本当にそれだけはホッとした…。

ファイナルのジンクスとか色々あったから、どうしても出て欲しいって気持ちになってピリピリしてたけど、あのジンクスもプルシェンコっていう例外いるしな。自分に変なプレッシャーかけるのもやめよう。
でも、やっぱりショックが大きすぎる。切り替えようとはしているが、正直倒れそう。

羽生君のいない大阪は寂しすぎる。せっかく当たったチケットだし無駄にするつもりはないけれど、自分の経済状態考えたら計画をすべて白紙に戻して浮いたお金で家賃捻出した方がいい…。このままだと追い出される←真剣に実話
…会社から戦力外通告を食らって、なんのかんのとショックと少し前から続いていた体調不良で廃人のようになってしまい、今後どうやって生きていったらいいのかわからずこの瞬間にも途方に暮れている私の心の支えだったんだ、NHK杯は…。当たったとか言うと自慢っぽいので黙ってたんです。レポート書いて明かす予定でした…。私の足で良かったらあげたのに、神様。どうして皆が幸せと成功を祈っている羽生君を…。
もちろん、会場の熱気に包まれれば忘れていくだろうけど、正直、これを書きながら涙が全然止まりません。私が泣いてもなんにも変わらないし私に泣く権利もないのにね。一番辛いのは羽生君だよ、言うまでもないこと。

とにかく、大事にしてください、羽生君。何があってもあなたを信じて応援しています。でもごめんね、今だけ少し、少しだけ泣かせてね。

全日本選手権2016⑨

そこそこ早めに会場を出たものの、門真南駅はやはりと言うか入場規制がかかっていた。とは言っても早めに出たので、そこまで待つことなく地下鉄に乗車できました。とにかく何も食べていなかったのでくらくらした…。

なんばで案の定迷ったものの、思ったよりも早くバスターミナルのあるビルに到着できた。ああ、やっぱり最後まで表彰式見れば良かった(泣)。でもそうやってたら帰れなかったかもしれないしなあ。悩ましい。なーんでこんなに貧乏なんだろうな自分(泣)。
とにかく空腹過ぎて死にそうなので、深夜のマクドナルドで遅すぎる夕食。クリスマスにファーストフードというのも冴えないが、ほかにもう店が開いてなかった…。温かい飲み物と食べ物のおかげでようやく落ち着きました。バスの出発時刻よりも早く閉店してしまうので、やっぱり早めに出てきて良かったのかも。

マクドナルド閉店後はバスターミナルの待ち合いでバスを待つ。電光掲示板を見ると、私の乗る便が本当にこのターミナルから本日出発する最後の便。あまりに深夜のせいか、乗車料金に加えて深夜料金も払わないといけないというシステムでした。初めてだな、こういうの。

高速バスが夜更けの街へと走り出す。車内は女性客ばかり。どうやら皆さんジャニーズのコンサートへ行かれていた模様。やはりジャニーズの文化と言えばうちわなのか。バスの座席に飾るようにして眺めておられた…。
疲れていたものの、バスではあまり眠れず。多少うとうとしただけで、あっという間に昨日の朝バスに乗車した隣の県に到着。クリスマスの夜空の下、目を付けていた深夜営業の店に飛び込んだ。
店内の暖房が効きすぎていたせいで気分が悪くなってくる。真夜中に濃いものを食べてしまったのもよろしくなかったかもしれないと、アイスクリームをおかわりしたりしてるうちに夜が明ける。美味しいアイスクリーム食べたらだいたい機嫌直るから、この人←単細胞

夜が明けたと言ってもまだ真っ暗である。朝の時間帯になったというだけの話。真冬の駅のホームはやはり芯から冷え、自動販売機で買ったホットレモンで暖を取りながら、乗り換えがもっとも少なくて済む便を待った。
滑り込んできた在来線に乗り込む。程よく暖かい車内と、車輪の刻むリズムに心地よく身体を預けているうちに、疲れ果てていた私は泥のように眠り込んでしまった。乗り換える駅まで3時間くらいは乗っていたんじゃないかと思うけど、ほとんど目が覚めませんでした。

こうして丸1日と少しにわたる全日本の旅は終了しました。さすがにハード過ぎたのか、帰宅後当然のように女子のフリーも見るつもりが、ハッと気が付いて目覚めると、外は真っ暗、て言うか深夜。
…放送は完全に終了しておりました(号泣)。
確か夕方くらいから横になっているだけのつもりがうっかり寝てしまい、そのまま何時間も爆睡してしまったらしい…。ぜんっぜん目が覚めなかった…。どれだけ疲れてたんだよ自分(泣)。
これに懲りて、いくら経済的に厳しいからって、体力の限界を超えるような無茶な旅程を組むのはもう止めようと思った(泣)。昔から体力なかったけど執念というか煩悩というか、とにかく気力でカバーしてきたのだが、もはや気力でどうにかできる段階に自分の身体はないようだ(泣)。まともにごはんも食べられない時期が随分続いてたしね…。てかそれ今もなんですけどね(泣)。いや、そういうことよりもそもそもカバーできるはずの気力も枯れているのが大きな原因という気がする…。

めちゃくちゃショックだったけど、夜中のニュース番組で真央ちゃんの演技だけノーカットで流してくれたのでどうにかそれだけでも見た。上位の選手じゃなくて真央ちゃんがノーカット、というあたりに女子選手の現状が伺える気がしたけど…。それを打開できるような選手が現れて欲しいな、と切に願った。それでも、ノーカットで放送してくれたおかげで真央ちゃんの現役最後のフリーをどうにか見逃さずに済んだ。ありがとう、フジテレビ。

そう、詳細なメモを残せなかった理由は、あまりにも疲れてしまい帰り道には既にさっき見たものを忘れ始めていた上、メモを書きながら移動はしていたものの疲れが勝って進まず、帰宅すれば上記のような有り様で、ショックでメモの続きを放置してしまったからでした(泣)。
メダリスト・オン・アイスも見たはずなんだけどもはや何一つ覚えていません…。こんなに綺麗に記憶が消去されているなんて珍しいです(泣)。結局このあと体調も崩したし、色々色々あってキャパシティオーバーだったものと思われます…。

ああ、何とか最後まで書き切れました。今更書くほどの内容か?とも思ったけど、自分にとっては記念すべき初めての全日本観戦だったので記録に残しておこうと思います。競技観戦なのにカテゴリーに「アイスショー旅日記」が加えてありますが、時系列でも記事を整理しておきたかったので無理矢理混ぜました。気が付いた人はいないでしょうが(笑)、もしツッコミを入れたくなっていた方がいらしたら、そういうことなんでよろしくお願いします。
今年の全日本もめっちゃ行きたかったけど、私の今の生活では不可能だな…、とほぼ諦めモード(泣)。たとえ全日本に行けなくたって、クリスマスの頃にはこのどん詰まりの現状が打開されていることを心の底から祈ります…。どうか路上とか駅とかで生活する羽目になっていませんように…


全日本選手権2016観戦記
ー終ー

全日本選手権2016⑧

男子の競技が始まる前にトイレへ。結局ほぼ飲まず食わずで観戦していたため、トイレはこの時に行っただけだった。めちゃくちゃにおなかがすいて最後の方はへろへろだったけど、せっかく来たんだもん、ひとつの演技も見逃したくない。だからその作戦で正解だったのかもしれません。かなり辛かったのは確かですが。
しかしどうやら皆この時間を狙うようでトイレは激混み、席に戻って来られた時にはもう第1グループの6分間練習が始まっちゃってました(泣)。

そんなわけで男子フリー。女子同様、あまりにも時間が経過しすぎて詳細はほぼ忘れてしまっているのですが(泣)、ろくに書き残していないメモを頼りに何とか思い出してみます。記憶違いの部分など多々あると思いますがどうかお見逃しいただければ(泣)。

第2グループまでの選手で印象に残ったのは中野耀司君。『もののけ姫』という多くの人に知られた映画の曲を使用していたということもあったかもしれないけど、会場が彼の演技に引き込まれているのが伝わってきました。得点以上にいい演技だったと思います。
それから壷井君。『タンゴ・アモーレ』とはこれまたプルシェンコの印象が強すぎる曲を、と思ったが、なかなか曲に負けてない。面白い選手がたくさんいるなあ。

第2グループまでは昨日のショートプログラムの放送で流れなかった選手の演技も見られて嬉しかったけど、近くには寝ているお客さんもいるような有り様…。ノーミス連発だった女子に比べたら、確かに選手の実力の差は大きかったかもしれない。第3グループからはぐっとレベルも上がり、会場も段々と白熱した空気になっていきましたが。

その第3グループ、ジュニア選手の皆さんが素晴らしい。星南君も島田君もとっても上手。島田君は非常に熱い。演技から熱いものが溢れ出していて、今後が楽しみだなと思いました。
ニューシネマパラダイス』は本当にフィギュアスケートに合う曲だなと改めて。素敵な演技でした、鈴木潤君。

そして最終グループ。素晴らしい演技連発で、ひとときも目が離せませんでした。
まずは岩手の佐藤君。ステップが素晴らしかった。全出場者の中でいちばん良かったと思うくらいでした。ジャンプが安定すれば絶対もっと上に行ける選手だと思った。近くのお姉さんが「ほのぼのした」とおっしゃってました(笑)。

日野君。素晴らしい!会場スタオベの嵐!昨日に続く会心の演技に、胸が熱くなりました。投げ込まれたムーミン拾って帰っていく姿がなんかかわいかった。イケメンだからギャップがかわいく思えたのかな(笑)。

続く友野君もすっごい演技!ほぼノーミス?ジャンプが綺麗…。ため息。もちろん会場はスタオベの嵐でした!

さあ、表彰台争いはデッドヒート。誰が勝っても初優勝、だったっけ?
まずは刑事君。完璧とはいかなかったけれど、躍進のシーズンだったことを感じさせる演技。表彰台の2番目、本当の本当におめでとう!

素晴らしいショートプログラムが記憶に新しい無良君、フリーも前半はとても良かったのだけれど、後半に入ってから明らかに失速…。会場に満ちる嘆きが辛かった(泣)。優勝が見えて重圧に感じてしまったのかな…。無念。

そして最終滑走、昌磨君。彼の実力を考えれば決して手放しで褒められる出来ではなかったと思うけど、それでも致命的なミスがあったわけではなかった気がするし、ああ、これが世界レベルだ、と一目でわかる内容である。さすがです。
演技を終えた昌磨君が泣いているのに気付いた会場は、一気に温かい雰囲気に。近くの席の方々と口々にかわいいかわいいと言ってしまった(笑)。初めて迎えた「実力的に勝って当たり前」という状況がプレッシャーだったのかな。優勝おめでとう。

こうして、昌磨君涙の初優勝で男子フリーは終了。刑事君の2位が個人的にめちゃくちゃ嬉しかったので、表彰式まで見て帰りたかったのだけど、バスに乗れなかった時が恐ろしすぎるので、後ろ髪をひかれながら会場を出ました。かなりギリギリまで様子を見たんですけどね(泣)。帰り際、姿は見えなかったもののコールされる名前だけ何とか聞こえて、おなかがすいてぶっ倒れそうだけど、最後まで見られて本当に良かったな、と充実感に満たされながら駅へと向かいました。

そう言えばキスクラにサンタさんが出現していたような。選手にプレゼントあげてたのかな?
私の日常生活でまず見かけることはないであろう、超ゴージャスな毛皮をお召しになった山田満知子大先生は遠目でも凄まじい貫禄でした。そして岳斗コーチはたいそうイケメンでございました。
あとホントに空席が多かった。男子の後半になっても埋まらなかったです…。急用等で来られなかった人だけであんなに空かないと思うけどな…。

以下次号。

全日本選手権2016⑦

まずは女子ショートプログラム。…観戦後にすぐ執筆できれば良かったのだが、1年近く経過した今はさすがにほとんど覚えておらず、しかも諸事情で疲れ果てていてメモもろくろく残していない…。なので、特に印象に残っている選手のことだけピックアップして書いていきます。肝心の観戦の部分が薄っぺらになってしまってすみません(泣)。

各グループに注目の選手がいるあたり、さすがに全日本という感じ。第1グループはやはり坂本さんでしょうな。ジュニアとは思えん。

第2グループは遥ちゃん。アイスショーで何度も見てきた彼女にはやはり思い入れも強く、頑張って欲しかったけど…。ほんの少し前まで世界のトップ大会に出場していたような選手でもこの成績に甘んじてしまうのかと思うと、女子選手のピークの早さに悲しい思いが…。

それから白岩さん。かなりのファンらしい人が近くにいたのだが、衣装の一部が落ちてしまったらしいのに気付いて頭を抱えておられた。減点ですよね、あれ(泣)。

第3グループ。久し振りに大庭雅ちゃんの演技が見られて嬉しかった。それから広島の選手の中塩さん。頑張ったんじゃないかな。
第1グループからさすがに全日本だな、と思って見ていたけれど、このグループくらいからレベルが跳ね上がってきた印象。見応えあるわ…。

第4グループはさらに跳ね上がり、最終決戦っぷりがすごいことに…。まずは本郷さん。カルミナ・ブラーナ。会場で見てた限りでは彼女がいちばん良かった。泣いてる人いたぞ、確か。本当に氷上で映えますね彼女。引き込まれました。

続いて宮原さん。さすがである。安心安定、素晴らしい見応えで、あっという間に終わってしまった。ただ、テレビではわかりにくかったけれど、生で見るとジャンプの低さはどうしても気になった。演技が小さく見えてしまって損だな、と思ってしまいました。きっと対策はしているのだろうけど。

さらに松田さんも素晴らしい演技で続く。木原さんにはミスもあり得点が伸びなかったが(思ったより低いんだなあと感じた記憶がうっすらと)、樋口さんがこれまた素晴らしい演技を見せつけ、そしてこのグループの最終滑走が佳菜子ちゃん。とにかくジャンプが抜けてしまう印象の彼女、今回も…(泣)。ミスがあったとはいえ、彼女だってまだ若いのに、ほんの2年前はオリンピックにまで出た人なのに、と思うと、この順位は少なからずショックだった。今振り返ると、彼女の最後の全日本を、ショートプログラムだけでも見届けることが出来たということになる。やっぱり来て良かったな。とても寂しいけれど…。

そして最終グループ。会場の空気がガラリと変わる。6分間練習のリンクに滑り出てきた真央ちゃんに、視線が集中するのがわかる。綺麗なアクセルジャンプを跳んで、会場から歓声が上がっていた。きっとトリプルアクセルだよね。あれをこの目で見られただけでも、滅茶苦茶な行程を組んででもここまで来た甲斐があったというもの。

このあと四大陸で躍進を遂げる三原さんから始まる最終グループ。これまた熱い。こんなに上手な選手がいるのに代表の枠って3つしかないんだな…(泣)。

真凜ちゃんは確かにほかの子とちょっと違った。華があるとはこういうことなのだろう。努力で多少はどうにかなるのかもしれないが、こればかりは持って生まれたものなのでしょうな。マスコミが彼女に注目するのも無理はないのかもしれないなと思った。
もちろんそれだけの選手ではなく、ジャンプにも高さがあって綺麗だったし、上位に食い込んでくるのも当然だろうという演技だった。思わず泣いてしまっている姿に、会場が温かな眼差しを向けているのが印象的でした。

昨年グランプリシリーズでメダルまで取っていた永井さんの不調。ジャンプを修正しているという話を聞いた。時間はかかるかもしれないが、諦めずに頑張って欲しい。

そして最終滑走、浅田真央。私の見た、最初で最後の競技における浅田真央の演技である。これが最後になるなど、この時はまったく思っていなかった。
冒頭のアクセルがシングルになってしまい、会場があからさまにがっかりした空気に…。しかし即座にそれを払拭するように、真央ちゃんは円熟した選手にしかできない演技を見せた。ジャンプは確かに決まらなかった。でも、見ていて引き込まれたのは圧倒的に彼女の演技で、その点で真央ちゃんの右に出る選手は今回いなかった。

ジャンプはとても大切な要素だ。今大会の女子は皆とてもいい演技をしていた。次々と成功するジャンプは爽快の一言だった。だが、似たような演技が多いな、と感じたのも正直なところである。選手たちは皆若い。子供と言ってもいいくらいだ。魅せる演技という意味で物足りないのはある意味仕方ないのかもしれない。
年齢を重ねることで、演技に味わいが出てくる。積み重ねた人生が、氷の上の彼女たちの世界をより拡げていく。ただのジャンプとスピンとステップの集合体だったものに物語が生まれ、ひとつ上の作品へプログラムは昇華する。しかし、その時にはもう、成長した肉体は以前のような高く軽やかなジャンプを跳べなくなっている…。
実は男子より女子の方が、ずっと技術偏重の競技になっているような気がした。同じような技術レベルならば最終的にものを言うのはやはり表現面なのだが、ジャンプが決まらなければそもそもお話にならない。ジャンプはやはり身体が軽い方が有利であるようだ。個体として成熟することと高く舞い上がる力とが共存できないのは実にもどかしい。今は恐れるものなど何もないように氷を跳ねるこの少女も、いつか跳べなくなるのだろうか、と厭世的な気持ちにすらなってしまう。

そんなやるせない感情も覚えた全日本観戦だったが、しかしそれ以上に面白かった。面白かったけど、見ているだけなのにとても緊張した。会場に張りつめる空気は、私が初めて感じる大きな大会のそれだった。これまでは競技というとスケートヒロシマしか見に行ったことがなかったので、リンクにも客席にも漂う緊張感は、これまでに経験したことのないものだった。スケートヒロシマは客席を子供が走り回ってたりしてわりとのんびりしてたからな…。
ああ、会場で見ていた時はこの選手はここがいい、あの選手はそれがいい、といちいち感嘆してたはずなのに、完全に忘れてしまってとても悔しいです(泣)。言及できなかった選手の皆さんも、素晴らしい演技をありがとうございました。

以下次号。

全日本選手権2016⑥

入場後は真っ直ぐに自分の席を目指す。もう競技開始ギリギリの時間なのだ。なので通路を歩いている人は比較的少なかったが、そのおかげでうっかりあるものが目に入ってしまう。

羽生君の卓上カレンダー売ってる…。しかもなにこの表紙(?)、めっちゃええ写真やんけ…。
人が少ないので、売り場の人にも「ここでしか買えませんよ」的な声をかけられてしまう。買いました。うっかり。お金全然ないのに買っちゃいました。馬鹿だ。でもいいんだ、クリスマスおめでとう!←ヤケ

しまった、ちょこっとだけどタイムロスだ。急いで座席に向かったが、着席とほぼ同時に第1グループの6分間練習が終了…。間に合ったけど間に合ってない!(泣)でも演技はちゃんと第1滑走者から見られたので良かったことにしておこう、うん…。

そんなわけでパンフレットを買ったのは整氷時間か帰る前。帰る前だったような気がする。近くの席の方が購入の検討にとどんな内容か見せてくださって有り難かったです。記念にもなるしなかなか情報も多かったので購入を決めました。アイスショーのパンフレットより少し安いのね。表紙の紙が薄いからかな(汗)

パンフレットを見せてくださった方々が色々お話してくださったので、楽しく観戦できました、ありがとうございます。町田君のファンだったことを伝えると、「ここにも犠牲者が…」とぽつりと呟く近くの席のお姉さん。うう、仕方のないことだと納得はしてるけど、でも年末に第九とか第九とか第九とか聞くとね、いまだにちょっと涙がね(泣)。何せ突然だったからね(泣)。
どーでもいいが、確か出発の前日に父親が電話をかけてきた。「テレビで全日本見るから忙しいんじゃ」とつれない返事(笑)をすると、「結弦が出てないと面白くないだろう」とか言い出す親父。なんだ貴様結弦呼ばわりかよ、と心の中でひっそりツッコんでたら、「あの子はどうしてやめたんだ?あの子ならいいとこ行けそうだったのに。ほらあの広島の子」とかなんとか続けるではないか。
傷を…、傷を抉るなあああああああ!!このタイミングで抉るんじゃねええええええ!!(号泣)
父親はスポーツ観戦が好きな人間であるせいか、わりと的確に状況を把握していたが、昌磨君の名前を覚えていなかった…。覚えてあげてよね。でもファン以外は覚えていないもんなんだよな。昔電車の駅で知らないおじさんふたりが「羽生と高橋と、ほれもう一個」とか話してるの聞いたことあるしな。って一個かよ!せめて一人って言っておくれよ(泣)。

ちなみに座席からの視界はいちばん安い料金なので推して知るべし。思ったよりはよく見えたけど。意外と男性も観戦していて、しかもとても熱心な様子だった。やはり全日本を見に来るような層は皆熱いファンなのだなあと、会場の雰囲気からも感じました。
ただ、空席は多かった。私から見える範囲には多かった。見えない範囲はもしかしたら埋まっていたのかもしれない。見える範囲の空席は、男子の競技が始まってもほとんど空席のままだった。外にはあんなにチケットを入手できなかった人が立っていたというのに。あれらの席の持ち主は誰だったのだろう?しかし、こうやって購入しないことで諦めさせるのがいちばんなのかもしれない。金を払う人間がいなくなれば儲けようと考える輩もいなくなるはずだ。そんなに簡単にはいかないのだろうけど。

てなわけで、いよいよ競技開始です!以下次号!

全日本選手権2016⑤

寝たり起きたりを繰り返しているうちに朝になる。絶対に投げ込みなどできないであろう席なので手紙やプレゼントも用意しなかったし、宿泊もしないので荷物の準備もたいして必要ない。膝掛けを鞄に詰め込んだ程度である。これからの修行のようなスケジュールを考えると決して楽ではないのだが、事前準備としては過去最高に何もすることがありませんでした。

早朝に家を出て、駅で新幹線の切符を購入。しかし、やはり事前に買っておけば良かったと後悔した。私の少し前に並んでいた人が、時刻等一切調べず駅員にすべて任せる(てか命令?)形式で購入しているらしく、遅々として進まないのである。指定席の切符を窓口で購入する際には私は時刻等は調べあげ、お金さえ払えば済む状態にしてから窓口へ向かう。それが当たり前だと思っていた。何故って窓口というものは混むものだからである。もちろん突然用事ができる場合も多々あるだろうけど、その人は仮にそうであったとしても、この様子ではきっと仕事も出来ないんだろうな、と思わせられる清々しい態度であった…。要するになんか怒ってました(汗)。怖いよー。

だがまあしかし、無事に予定の新幹線には乗車できた。自由席の車内はガラッガラ。車内販売のお姉さんはサンタ帽。そう言えばクリスマスだったっけ。車内の液晶には全日本のニュースも流れてました。
隣の県までの乗車なのであっという間に到着、バス乗り場へと向かう。初めて利用する路線なので迷わないよう事前によく調べてはいたが、翌日深夜にもまたここに戻ってくるので、乗車前に周辺の様子を自分の目でもよく確かめ、めぼしそうなお店などは改めてチェックしておく。冬空の下で迷子になるのはいろんな意味でヤバイですからね(汗)。

そうこうしているうちにバスは出発。車内は女性客ばかりだった。皆全日本だったりして、なんてのんきに思っていたがもちろんそんなことはなく、おそらくコンサートにでも行くのであろう。なかなか混雑してました。
4列シートみたいだし設備がないだろうと思っていたら、しっかりコンセントがついている!しまったああああ、充電器持ってこなかったあああああ(泣)。大失敗(泣)。

休憩のために立ち寄ったサービスエリアでハンバーガーみたいなパンを購入して早目のお昼御飯。これ以降は深夜まで食事をとる時間がなかったので、このパンが命綱になりました(汗)。

順調にバスは大阪へ到着。乗客は次々と大阪駅で下車していく。ふと気が付くと車内には私たったひとりだけ。降りるバス停を間違えたのか?とあわあわしてたら、もちろんそんなことはなかったようで、ゆっくりしててください、と運転手さんに笑われてしまった。テンパるなよお前(汗)。
そんなわけで、私ひとりだけが終点の湊町バスターミナルで下車。大阪駅で降りた方がラクタブドーム(←やっぱり慣れないこの呼び方)には近いのにわざわざ湊町バスターミナルまで乗車したのは、帰りの便もここから出発するからである。ルートを確認しておかないと不安だったのだ。何が起きるかわかりませんからね。

さて、ゆっくりしている暇はない。せいぜいトイレに寄ったくらいで、脇目も振らずに門真南駅を目指す。バスターミナルから御堂筋線なんば駅まではかなり距離がある上、さすがにクリスマスだけあって人が多い…。地下鉄に乗り込む頃には既にぐったりしてました(泣)。
御堂筋線を心斎橋で降りて長堀鶴見緑地線に乗り換え。おそらくは門真南まで向かうのであろう、やたら荷物の多い女性(笑)とアジア系の人々(行き先はアウトレットかな?)で車内は混雑していたが、確か心斎橋の次で目の前に座っていた人たちがごそっと降りたおかげで運良く座れた。京橋あたりからぎゅうぎゅうだったので座れて良かった…。既にぐったりしてましたからね(泣)。

門真南駅に到着し、細長い鉄の箱から一斉に吐き出される人の波。何年ぶりだっけ、旧なみはやドーム
駅を出た途端に視界に入る、ドームまでの道の両脇にずらりと並ぶボードを持った人々。アイスショーでも見掛けたことはあるけれど、ちょっと待てこんなにいるのかよ。昨日のチケットはあるけど今日はないとか、せっかく家が近いのにチケットが取れなかったとか、皆それぞれ理由はあるのだろうけど…。でも、入場する手段を得られなかった時点で諦めることも必要なのかな、と思った。その諦めない気持ちにつけこむ輩を呼び寄せたり、悪気のなかった人を巻き添えにする結果に繋がりかねないから。気持ちはとてもわかるし胸は痛んだけれど…。自分は生活苦が主な理由で、そもそも争奪戦のスタートラインにも立てずに諦めるしかなかったことの方が多いから、ある意味で割り切りやすかったのかもしれないけれど、でもある意味ではこれ以上悔しいことなどなかった。それでも涙を飲んで諦めてきた。すべてを手に入れることを天は我々に許していない。足掻けるところまで足掻いたら、あとは静かに身を引くことも大切だという気がする。

ふと見上げると、旧なみはやドームの入口にかかる全日本選手権の看板が目に入る。生活が苦し過ぎて諦めるしかないのではないかと随分悩んだけれど、でもついにここまでやって来たのだ。ここで目にするものをすべて焼き付けて帰ろうと、私は覚悟を決めてドームの中へとその足を踏み入れた。

以下次号。

全日本選手権2016④

ここからは生放送。やはり生放送は緊張感があって最高ですね。

・須本光希
おおー、ジャンプ綺麗。まだジュニアの選手なんですね、期待大ですな。

・三宅星南
黄色いジャケットが目に眩しい。アクセルで転倒してしまったが、楽しそうないい演技でした。

・島田高志郎
えっ、めっちゃくちゃ背が伸びてない?!スピンとか綺麗だ。しかし『Art on Ice』はどうしてもプルシェンコの姿がちらついてしまう…。

・鎌田英嗣
なんと、骨折してたのか。全日本に出られるまでに回復して良かった…。

・鎌田詩温
おお、ルパン三世。すっごい楽しいプログラム。でもジャンプがうまく決まりませんでしたね(泣)。

・本田宏樹
実直な感じで素敵。なんかルッツで転倒する選手が多くないか?ルッツご機嫌ななめ?

・川原星
ループがダブルになっちゃったのかな。でもよくまとまってた。さすがですね。

鈴木潤
細かいミスはあったけど、なかなか良かったと思いました。彼もさすが。

宇野昌磨
いきなりレベルが跳ね上がりました。コンビネーションが抜けてしまったが、ミスが何?それがどうした、という感じ。フリーでは十二分に巻き返してくるんじゃないかな。

無良崇人
素晴らしい!アクセル高い!ステップも素敵!余裕で昌磨君が優勝するかと思ってたけど、ずっと第一線で活躍してきた実力者ここにあり。会場にいたら間違いなくスタオベです。

・佐藤洸彬
ステファンのファン仲間のAさんと私のイチオシな彼。いやあもう素晴らしかった。音にもよく合ってる。明らかに上達していたので何事かと思ったら、彼の地元に去年通年リンクが完成したと言うではないか。タラレバを言っても仕方の無いことだが、子供の頃からその環境にあれば彼は世界に羽ばたいていたのでは…。

・吉野晃平
ジャンプは残念だったけど、滑りが綺麗だった。さすが全日本、みんな上手いなあ。

日野龍樹
良かったあああああ!!!良かったよおおおおお!!!(号泣)ひとつひとつ正確で素晴らしかった。そりゃもうスタオベでしょ。ああ、ガッツポーズだ、良かったねえ、良かったのう…。

・佐上凌
あああ、転倒があって残念。シルク・ドゥ・ソレイユ人気だな。フリー進めたみたいだね、良かった。

・本田太一
4回転ジャンプこそ入ってないけど綺麗な滑りで見応えありました。スルツカヤソルトレイクエキシビションの曲だっけこれ?

田中刑事
素晴らしい!サルコウの着氷以外素晴らしい!!!動きにもキレがあって美しい。自分の世界が出来上がってる感じ。うんうん、素晴らしかった…。

・中野耀司
コンビネーションジャンプがとっても綺麗だった。初出場なんですね、頑張れ。

中村優
フィニッシュが雰囲気があってたいへん素敵でした。彼もさすがですなあ。


以上で男子のショートプログラムは終了。死ぬほど大雑把なことしか書けなくてすみませんでした(泣)。せめて2ヶ月以内には書かないと駄目ですねやっぱり(泣)。そもそもまだ書こうとしてること自体が無茶だよな(血涙)

結局放送された選手の中で4回転を入れてきたのは昌磨君と無良君と刑事君だけだったのかな。4回転なんてそうそう跳べるジャンプじゃないんだ、ということがよくわかる気がする。でもさすがに日本の頂点を決める闘い、熱いですね。楽しく視聴できました。
羽生君がいないだけでなく、ダイスも草太君も怪我のために欠場していたのがたいへん残念ではありましたが…。来年は彼等の姿が全日本のリンクにありますように…。

しばらくバタバタとしていたので疲れていたものか、放送終了前には睡魔が忍び寄ってきて、終了と共に布団へダイブ。明日は早起きしなければ。なみはやドーム(←もう面倒だからこう呼んでていい?←良くない)が私を待っている…。※待ってません

以下次号。

全日本選手権2016③

開催のまさに前日であった12月21日。そのニュースは唐突に日本全国を駆け巡った。

羽生君がインフルエンザのため全日本を欠場するというのである。

まさに阿鼻叫喚だったに違いない。もしかして、と考えてホテルを検索したら、あんなに見つからなかった空室がぼろぼろと…。とっくにバスの支払も済ませていたし今更どうしようもなかったが、やっぱりキャンセルしてホテルに泊まろうかと思いましたよ(泣)。
真凜ちゃんがインフルエンザを発症してジュニアのグランプリファイナルを棄権したと聞いた時、事は彼女だけにとどまらないのではないかと心配していたのだが、やはりほかにも影響が出てしまったか…。よほどフランスでインフルエンザが流行っていたのだろうか(泣)。しかも帰国の際に長時間密室に閉じ込められる航空機での移動も行っているわけだし…。

インフルエンザでは競技に出られないのは仕方がない。学校だって会社だって休まなきゃいけないんだしさ。しかし、仕方がないと納得しつつもやはりショックは大きかった。競技モードの羽生君を見たい、というのがチケットの先行に申し込んだ主な動機だったからだ。何のためにあんな苦行のような行程まで組んで私は大阪まで行くのか…(泣)。一瞬心が折れそうになったけど、大会そのものがそもそも楽しみだったのだから、行かないなどという選択は初めから無い。このたった1枚のチケットは、絶望の日々に神がくれた一筋の希望だ。チャンスをみすみす逃すほど、のんきでも暇でもないのである。

羽生君が出場しないのはとても残念だったけど、全日本の幕は嘆きの声などよそに厳かに開く。さあ、今年も日本一の座が決まる瞬間がやって来る。

男子のショートプログラムは自宅でテレビ観戦しましたので、簡単に感想を。メモが残っているのでそれを元に書いていこうと思いますが、何せ1年近く前のことなので、既に不正確な記憶しか残っておりません。事実と異なる表記があった場合はどうぞお許しください(泣)。

番組開始時に流れた高橋君のコメントは、さすがに元選手だけあって実感がこもってるなと思った。フジは今後も高橋君をメインキャスターに据えるのかな。
競技の様子が流れ始めてからびっくり。技術点の速報(暫定だけどね)が画面の隅に!演技への集中を削ぐため個人的には痛し痒しな部分もあるのだが、暫定的にでも演技の技術的な評価が一目でわかる上、グイグイ得点が積み上がっていく様子は緊張感を煽り、スポーツ観戦の醍醐味が味わえる気がする。どうしたフジ、やるじゃないか。

最初に流れた2名は録画放送だった模様。録画でも流れるということは注目の選手や人気の選手だということですね。

・友野一希
彼が最初だったことはよく覚えているのだが、いきなりメモ取るの忘れたみたいで演技は何も覚えてない(泣)。すみません(泣)。そうか、ジュニアのチャンピオンか。そりゃ期待大ですな。

・山田耕新
去年より良かったと思ったけど、フリー進めなかったのか…。会場で見られると思ってたので残念。銀行員として勤務しながら競技も続けるなんて、スケートが好きだからなんだろうけどものすごく努力もしてるんだろうなあ。コーチは中庭君?

まだまだ長くなりそうなので、続きは以下次号。

全日本選手権2016②

さて、チケットを入手できたからには当然大阪へ向かわなければならない。あまりの生活の苦しさと二転三転する予定のため、手放さざるを得ないのではないかと相当に悩んだが、最後まで諦めるつもりもなかった。手放すくらいなら最初から申し込んだりしない。這ってでも大阪へ行ってやる。

開催日もいい加減近付いてきた頃に、ようやく様々な目処が立ってきた。かなりの綱渡りだが、行けないことはないだろう。いや、行くのだ、這ってでも。
早速ホテルを探す。しかし時既に遅し。絶望的な程空きがない。空きがあっても猛烈に高い!
そうだ、世間はクリスマス。おまけに全日本。どうやらコンサートなどもあるらしい。外国からの観光客の需要のおかげでそもそもホテルが予約しづらくなっているなどという噂も聞く。
あああああああ、完全に出遅れた…(泣)。土曜日は競技の終了がかなり遅い時間になる日程なので、多少の出費になっても大阪に泊まろうと思っていたのに。徹夜でカラオケするとかネットカフェに行くとか、そりゃほかにも方法はあるけどさ、それだってどこも満室という可能性があるんだよな。

こうなっては仕方がない。その日のうちに帰るのだ。もちろん家までは帰れないが、夜行バスに乗ればいい。もしかすると最後まで競技を見ることができないかもしれないが、バカ高い価格のホテルに泊まる余裕も一切なければ野宿の可能な季節でもない。諦めるしかないだろう。正直、最後まで見られないのは非常に悔しかったけど…。
新幹線に乗る余裕はないので、初めから移動は高速バスにするつもりでいた。単に乗る時間と日付を調整するだけの話だったので、バスを利用することに問題はなかったのだが、さて往復で予約しようとサイトを見て愕然。地元からの夜行バスが満席!当日の早朝便も確か満席だったはず!しまった、行きの足がない!あああああクリスマス、あああああイベント満載の大阪…(泣)。

もちろん新幹線に乗れば済む話なのであるが、経済状態は相変わらずの綱渡り。節約できるものならば何とかしたい。正確なことは忘れてしまったが、地元に帰るバスの便も満席だった気がする。バスに乗れなければ競技の途中で抜けて新幹線に乗るかどこかで宿泊するしかないがその余裕はない。何より、できればギリギリまで見たい。
何かいい方法はないか、と色々調べまくった結果、隣の県からならばかなりたくさん大阪までのバスの便が運行されていることを突き止める。しかも、大阪から最も遅い時間に出発する夜行バスはどうやらこの県までの便のようだ。そうだ、どうせなら往復でこの県からのバスを利用しよう。隣の県だ、在来線でも行けないことはないんだ。きっと何とかなるだろう。大阪まで新幹線に乗るよりも途中でバスに乗り換える方が僅かだが費用も抑えられる。

隣の県からのバスはまだちょうどいい時間帯の便に空きがあり、埋まってしまう前にと急いで予約。もちろん色々シミュレーションしてからではあったけど。
地元から夜行バスに乗れない以上は当日出発するしかないので、早朝に家を出て隣の県まで新幹線に乗り、隣の県から昼過ぎに大阪へ到着する午前のバスの便に乗り継ぐ。到着したら真っ直ぐなみはやドーム…じゃなくてラクタブドームでしたっけ、とにかく会場まで向かい、可能な限り最後まで観戦して夜行バスで大阪を出て、深夜に到着する隣の県で夜が明けるのを待ち、在来線が動き出したら在来線で帰宅する。
最終的に私が練り上げた計画がこれであった。無茶苦茶です。超ハードスケジュール。家を出てから24時間以上、一切横になれないのだ。睡眠は移動中に取ればいいが、わりと細切れの移動になるため熟睡は難しいだろう。むしろ熟睡してしまうと乗り過ごしてしまう危険がある。特に帰路は観戦の疲労がある上に待ち時間を含めた移動時間はかなりの長さになり、もはや全日本観戦と言うよりも「苦行」に近いような日程であった…。私だって新幹線で優雅に移動して豪華なホテルでゴージャスロンリークリスマスと洒落込みたかったですよ(泣)。ご馳走食べてふかふかのお布団で爆睡したかったですよ!!(号泣)しれっとロンリーとかついてるのは気にするでない(笑)。

とにもかくにもシミュレーションは済んだ。あとは大阪まで行くだけだ。そうだ、フィギュアスケートを真剣に見るようになってから約15年、これが初めての全日本なのだ。ついにあの憧れの空間に赴くことができるのだ…!

しかし、神は最後の最後にどんでん返しの展開を用意していたのであった…。

以下次号。

全日本選手権2016①

なかなか執筆に手をつけられないまま既に1年近く…。今年の全日本が始まるまでには何とか、それだけは何とか、という気持ちでようやく書き始めることができました(泣)。とんでもなくハードな行程だったためか既に帰り道の段階で何があったか忘れている有り様で、まともなレポートにならないこと間違いなしなのですが(泣)、よろしければ最後までお付き合いください。

エキシビションにあたるメダリスト・オン・アイスには何度か出向いたことがあるものの、日程の都合や経済的な問題で常に自宅観戦だった全日本選手権。そこそこ直前になってから日程の都合がつきチケットを買おうとしてもまず完売で手に入らず、しょうがないのでホテルでのんびり見たこともあったっけ。今年も都合がつくのかどうかさっぱりわからないし、経済状態も絶望的なのでスルーでいいや、と先行が始まっても気楽に構えていたのだが。
いたのだが、よく考えなくても今年の開催地は大阪だ。大阪なら交通費的にも移動時間的にもわりと無理がきく。来年は関東での開催だろうしそうなると旅費がネックとなって行けない可能性が大きい。せっかく関西で開催される機会をみすみす逃す手はないのではないか?
それに私にはどうしても実現したいことがあった。それは「羽生君が現役でいるうちに競技モードの羽生君を生観戦する」こと。あれだけの選手にこの先お目にかかれるという保証はない。人生の道はいつ断たれるかわからないのだ。来年はオリンピックシーズン、チケット争奪戦は血で血を洗う激戦となるだろう。少しでも可能性が高いうちに動いた方がいいんじゃないか?しかも旅費がそれなりに安く抑えられる土地で開催されるという絶好の機会に、すべてが手詰まりになったわけでもないのに最初から諦めてしまうのはあまりにも浅はかなんじゃないか?

私は悩んだ。本当に悩んだ。手元にはどうやって生活していったらいいのかわからない程の金額しか残されていない。こんな状況で一か八かの賭けに出るなどあまりにも無謀だ。
だが、そもそも当たるかどうかなど誰にもわからないのだ。しかも申し込みをしなければ当たる未来も当たらない未来もどちらも確実にやって来ない。当たらなければ今回の全日本に行く運命にはなかったということだし、当たればその時に考えればいい。這ってでも行けばいいだけだ。

昨今の競技のチケットの入手しづらさについては知らないはずもない。そうだ、絶対に当たらないんだろうから気楽に申し込もう。
覚悟を決めた私は、思い切って申込ボタンを押した。男子フリーの行われる土曜日の、いちばん安い席を1枚だけ。その時の私に払える金額はそれが限界だったからだ。日々の食事にも困るほど貧しく、頼る人間もなしに追い詰められていた私にとって、それは夢を見るための、マッチ売りの少女が燃やしたマッチのようなものだったかもしれない。

日々は瞬く間に過ぎ、当落の発表される日がやってきた。届いたメールの文面を見た私はたぶん叫び声を上げたのではないか。そこに記されていたのは、あまりにも予想外の結果だったからだ。

ご用意された…。チケットがご用意されている…。

私は本当の本当に当たるわけがないと思っていたのだ。かなり真剣にそう思っていた。何もしないで後悔するくらいなら参加だけでもしようという、いわゆる「記念受験」のようなものだったのである。

そうか、年末まで何とかして生き残れということか。そうなのだな、神よ。
大袈裟に聞こえるかもしれないが、本当にそのくらい追い詰められていた。ひとりで行き詰まり悩む気持ちを聞いて欲しいという願いすら叶わず、信頼していた人たちに連絡をしても返事すらもらえない日々に疲れていた。今もその状況は変わらないのだけど。内容が明るかろうが暗かろうが事務的な連絡に近い内容だろうが関係なくなしのつぶて、という時点でもはや信頼も何もないのに、私はそれでも信じたかったのである。
たぶん私はもうこの世にいないことになってるんじゃないかなあ。弔ってもらえるだけ死人の方がマシじゃね?いや、そもそもまともな人間の仲間に入れてもらえてないんだから最初からいないのと同じか…。今だって元気だから連絡しないわけじゃないんですぜ。返事が来ないのに連絡しても心が抉られるだけだからですぜ…。私の積み上げてきたものって全部幻だったんだなあ…。

からくて苦い涙を拭いつつ、以下次号。