うさぎパイナップル

ただ、書くことが好きなだけです。

All Japan Medalist on Ice 2013③

※この記事は昔書いたものを修正して今更載せています。詳細についてはこちらをご覧ください↓

usagipineapple.hatenablog.jp

 

12月22日。運命の男子フリー。胃の痛さは最高潮ですが、今日も肉じゃが作って応援です。

その前にこちらも目が離せない女子ショートプログラム。絶不調だった佳菜子ちゃんが素晴らしい演技でホッとしました。プログラムを以前のものに戻して正解だったんじゃないかな。
真央ちゃんは感動して泣きながら見たし、鈴木さんも良かったし(愛の讃歌って反則レベルの名曲ですよねえ)、この3人で順当に決まるだろうなと思いつつ、遥ちゃんや宮原さんの演技も素晴らしくて本当に見応えがありました。久しぶりに大庭雅ちゃんと、あと広島の選手の中塩さんが見られたのも嬉しかったです。スケートヒロシマを観戦した時、ひとりだけスケートの伸びが違うと思った子がいたんですけど、それが中塩さんだったんですよね。素人にもわかるくらいだったので、やっぱり上位に上がってきましたね。今後が楽しみ。
女子は録画放送だったので、フジテレビが一押しの選手と成績の良かった選手だけ映したようです。あとかわいい選手は映したんじゃないかという疑惑が(汗)

女子の放送時間が長かったので、男子をちゃんと流してくれるのか心配だったのですが、第3グループ最終滑走の無良君から生放送開始。てことは7人しか映さないつもりか。生放送じゃなきゃ視聴者もっと暴れてるぞ。

シーズン前半が振るわなかったので、全日本も厳しいだろうと予想していたら、やはりその通りで残念だった無良君。個人的に代表候補からも早くから外してしまっていました。でも最終的に6位に食い込んだところはさすがでした。去年の世界選手権代表が今年も代表になれるとは限らない。日本の代表になるのはやはり世界一厳しいようです。

そして緊張しすぎて何がなんだかわからない最終グループ。全日本の男子をこんなに胃が痛い思いで見たのは初めてだと思う。基本的に日本の選手は全員がほどほどに好き、ってくらいの感覚なので、町田君の結果に真剣になったりはするものの、全日本はわりと毎年のんびり見ていたのですが。

第1滑走からいきなり羽生君。彼は当確だろうとシーズンも早い段階から思ってはいたものの、ここまで桁違いの化け物(いい意味で)になるとは予想もしていなかった。
結弦は宇宙へ行ってしまいました。プルシェンコの後継者は日本にいたのか。あの肝の座り方、気の強さ、大舞台での勝負強さ、ジャンプの成功率。すべてがチャンピオンの器。日本代表どころかオリンピックのメダル候補じゃん…。
我々は化け物が生まれる瞬間に居合わせたのかもしれません。

その羽生君の直後でも堂々と滑りきった宇野君。ジャンプがまだまだなのが惜しいけど、彼もいつか全日本を制する者になるんでしょうな。ショートプログラムは放送されなかったので、お茶の間には「この子誰?」な人も多かったんじゃないだろうか。

ここからが代表争いの本番。示し合わせたかのような滑走順。
まずは織田君。今シーズンずっと調子が良かったので、代表の最後の1枠は彼と町田君で競うのだろうと思っていましたが、小塚君の復調、高橋君の怪我で読めなくなってきた。
どうしてもステファンを思い出してしまう曲ですが、織田君らしい明るい演技でとても良かった。ザヤックルールにひっかからなかったのも本当に良かった(泣笑)。織田君の生の演技は素晴らしいので彼にもオリンピックへ行って欲しい。でも枠は実質あとふたつ。ああ、うぐあああ←言葉にならない

そして高橋君。放送時には聞き取れなかったけど、織田君はキス&クライを離れる際に「大ちゃんガンバ!」と声をかけていた。彼等がライバル関係にあることで片方を悪し様に言う人たちもいたけれど、この姿を見てまだそんなこと言ってるんだったらもうファンを名乗るなと言いたい。
演技はやはり精彩を欠いていた。ジャンプのミスもあった。でも胡散臭いメロディーに乗ってステップを踏んだ後、広げた手のひらを染める鮮血がこのプログラムを運命的なものに変えてしまった。それはあまりにも凄絶な滑りだった。暗い曲調がこれ以上ないくらいの悲壮感を漂わせていた。誰も口を挟むことのできない世界がそこにはあった。
技術的には決して良い演技ではなかったと思う。でもこの演技に私は高橋君の意地を見た。このままでは終わりたくない、という長年戦ってきた者の意地。涙を湛えた目で浮かべた彼の笑顔には、ただ観客への純粋な感謝があった。

高橋君が、オリンピックへ行けないかもしれない。

その可能性をずっと指摘してはいたものの、それでも彼はかなり確実に選ばれるだろうと思っていた。NHK杯の演技を見てそれは確信に変わってすらいた。
それなのに。

あまりにも予想外の事態に、そして先ほど高橋君の見せたあまりにも悲痛な演技に、私は町田君の演技が始まっても呆然としていた。ジャンプがひとつ、ふたつ、最後のひとつも決まった頃に、ようやく凄いことが起きているのに気が付いた。
町田君が。いつもここ一番で実力を発揮できなかった町田君が。あの高橋君の直後では飲まれてしまってもおかしくなかったのに、誰でもない町田樹火の鳥が、力強く氷上を羽ばたいている。

町田君が、オリンピックに行けるかもしれない。

ずっと願っていた夢が現実になろうとしていた。ずっと願っていたのに、信じられなかった。今でも遠い世界の出来事のような気がする。

私はさらに呆然としてしまい、残念ながら小塚君の演技はあまり覚えていない。完璧とは言い難かったけど、悪い演技ではないと思った。むしろ高橋君と町田君の後でもちゃんと「小塚崇彦の演技」を見せた彼は十分に世界のトップ選手だと思った。オリンピックに出てもじゅうぶん過ぎるくらいの成績を残せるはずだ。

小塚君の得点が出る。1位羽生、2位町田、3位小塚。これが、あまりにも壮絶だった2013年全日本選手権男子シングルの最終結果。

この時点で4位である織田君にチャンスは無くなった。出場枠はたったの3つ。覚悟はしていたけれど、突き付けられた現実をすぐに受け止めることができなかった。
グランプリファイナルでも優勝した羽生君はこれで確定。世界ランキングや得点の面でも条件をクリアしている町田君もほぼ当確。
最後のひとりは、小塚君か、高橋君か。

羽生君は当確、高橋君も不安はあるけど当確。最後のひとつの枠を織田君と小塚君と町田君で争う、と私は予想していた。シーズンが進むにつれ、織田君と町田君の一騎打ちになるだろうと思うようになっていた。
まさかあのふたりで最後のひとつの枠を争うことになるなんて。

長くなったので、以下次号。