うさぎパイナップル

主にフィギュアスケートの旅日記とテレビ観戦記とお題記事・ただ書き散らして生きていたい

All Japan Medalist on Ice 2013⑧

※この記事は昔書いたものを修正して今更載せています。詳細についてはこちらをご覧ください↓

usagipineapple.hatenablog.jp

 

会場が熱い拍手に包まれる。彼をこのメダリスト・オン・アイスで見られるのは今日が最後。織田信成ラストサムライ
とてもよく出来たプログラムだと以前から思っていたけれど、今日の演技は比較にならないくらい素晴らしかった。ジャンプやステップも完璧だったけど、何より魂がこもっていた。今年のメダリスト・オン・アイスで最も良い演技をしたのは間違いなく織田君だったと断言できる。プログラムの中盤から涙が止まらなくなって、溢れて溢れて本当に困った。演技が終わってふと気が付くと周囲の人も泣いてたし、挨拶する織田君を見たら織田君も泣いてた。現役引退が近いこととオリンピックに行けなかった悔しさと、きっといろいろな想いが、万感の想いが詰まった演技だったんだろうな、とこの時は思っていたのだけれど。

織田君があまりにも素晴らしかったので呆然としているうちに終わってしまった感は否めないけれど、彼女も良かった、今井遥。「朝からゴキゲン」だったと思う。このプログラムがお気に入りなのか。相変わらず衣装が抜群にかわいい。来シーズンも活躍を期待してます。

またまた熱い歓声で埋め尽くされる会場。日本が生んだ天才スケーター、と全日本の実況で呼ばれていたことを思い出す。彼のいないオリンピックはどんな世界になるのだろう。小塚崇彦
小塚君の演技を見るのは本当に久しぶり。彼だけはもう少し上の方から見たかった。人の頭でリンクが隠れがちのこの席では、表情はそこそこ楽しめても小塚君のスケーティングを心底楽しむことができない。久々の小塚君なのに消化不良。帽子をかぶったお洒落なプログラムでした。
この時はハッキリしていなかったけど、後日現役を続けてくれると知って本当に嬉しかった。何だかんだ言ってるけどやっぱり私は君のファンだ。これからも応援しているよ。

そして真打ちの登場。第一部を締めくくるのは彼の演技。ステファン・ランビエール
プログラムはカルメン。かの有名な闘牛士の歌。これが僕からのクリスマスプレゼントです、というナレーションとともに歓声は最高潮に。
クリスマスに合わせて華やかなプログラムを選ぶだろうと予想はしていたので、プログラム自体は思った通りだったけれど、衣装がかなり異なっていたため印象が違いました。元々はオペラ・オン・アイスのためのプログラムだったこのカルメン、最初にそのイタリアで滑った時は真っ赤なシャツにオールバックで、外見的にもかなり男らしい印象でしたが、今回は白いシャツに黄色のネクタイ、髪もふんわりとおろしたまま。黒の短いジャケットと黒のパンツはオペラ・オン・アイスと同じだけれど、いつものステファンらしくて今回の方が好きかな。

ステファンのプログラムはいつもあっという間に終わってしまうのですが、今回は少し長めに作られているため心行くまで彼の演技を堪能できました。ぶっちゃけ全日本に出場してたっけ?と見紛うレベルだった。技術が衰えないどころか、今年もネーベルホルンに出てたら賭けるまでもなくスイスの出場枠を獲得していただろうに、と思わせる程でした。
ありとあらゆるスケーターが演じてきたこのカルメン。これほどの定番でステファンが滑るなんて珍しい気がするけど、それだけに彼の優雅さやストーリーテラーとしての深さが際立っていると思いました。そこそこ盛り上がっても、このプログラムが好きだと思わせるカルメンにはこれまでに出会えなかったのだけれど、今日やっと出会えた気がします。
しかしカルメンってすごい曲だと思う。ビゼーって確か相当な若さで亡くなってるんだよね。でもカルメンの様々な楽曲は知らない人がいないし、インパクトも迫力もものすごい。どれだけ使い古されても滑ろうとする人がいるのはよくわかる。これが天才の仕事ってやつなんだろうな。

カルメン自体は有名だけど、よく考えると詳細は何も知らないなと思い、メリメによる原作を1年くらい前に読みました。マノン・レスコーみたいな、真面目な男性が魔性の女に人生を狂わされるというファム・ファタルものなわけですが、オペラとは登場人物の名前とか色々細かいところが違うみたい。ステファンが演じているエスカミーリオは、原作では確かリュカスだったし、そんなに登場するわけでもなかったような気がする。でもカルメンは彼に惚れてホセを捨てちゃうんだよね。イタリアで演じたエスカミーリオなら危険な女カルメンも惚れてくれそうだが、日本で演じたエスカミーリオは逆に騙されてそうだと思った(笑)。でも久々にフラメンコ系統のステファンが見られてワクワクしたなあ。相変わらず拍手も忘れて見入ってしまいました。

ステファンの登場順は一部の最後が最適だなとつくづく思う。思う存分彼の演技に浸れるから。今年も素敵なクリスマスを彼のおかげで過ごせたよ。
休憩時間はAさんとお話してました。織田君への感動と「あのスイス人はオリンピックに出るのか?」という(笑)話題で盛り上がっていたら、近くの客席の辺りで何やら大きな音がした。どうやら観客が座席から転げ落ちてしまったらしい。女性が即座に連れを呼び、気道確保とか何とか叫んでいるのが聞こえた。連れの方はおそらく医療関係なのだろう。
かなりな高さの段差もあったし、実は気をつけて移動しないと危険な会場だったと思います。それでいいのか?ある程度は仕方ないと思うけど、「落ちる」レベルの場所があるってヤバいんじゃ…。

席に戻るとパンフレットを熟読。前日まで出演者が決まらないせいだけれど、冊子じゃなくて1枚ものが人数分。せめて1000円だったらなあ、と毎回思うぼったくりぶりだけど、やっぱり記念に買っちゃうんですよね。
そう言えば、暗がりのキス&クライに人の姿が見えました。少なくとも男性と女性がひとりずつ。女子アナと国分氏?誰かはわからないけど、今年もインタビューコーナーがあるのは間違いないようです。結構どうでもいいけどさ。

以下次号。