うさぎパイナップル

ただ、書くことが好きなだけです。

夏は還ってくるもの

お題「一気読みした本」

小学生の頃、私はかなりの読書家でした。その日も私は、学校の図書室で1冊の本を手に取り、夢中で読んでいました。

授業が始まっても続きが気になって仕方ない。今しかないと、給食の時間に食べながらこっそり読んでいたら、先生に怒られてしまいました(汗)。
非常に面白いと思った本はたくさんあるけれど、それほどに続きが気になり読むのを止められなかった本は、子供の頃に触れた作品としてはその物語くらいだったように思います。

その本とは、松谷みよ子さんの『ふたりのイーダ』。

小学生の頃に読んだきりなので、ほとんど内容は覚えていないのですが、どことなくミステリー仕立てで、少しずつ少しずつ提示されていくヒントが絶妙なため、ついつい先が読みたくなる展開だったように記憶しています。しかし決して「推理モノ」ではなく、そこにはファンタジックな要素やホラー的とも言える要素もごく自然に織り込まれ、子供の自由な発想にも応える間口のある、良質な児童書でもあったように思います。

いつかまた読み返したい、とずっと思っている作品なのですが、あの頃の、夢中で読んだといううっすらした記憶のままの方がいいような気もして、どことなく手に取らないまま今日まで来てしまっています。

今、この本を話題にしたのは、偶然でも必然でもあります。私がこの本を忘れられなかったのは、物語の核となるその要素に、衝撃を受けたからでもあったのでしょう。

蝉の声と入道雲と、高く広がる青い空。72年目の夏が、もうすぐやってきます。