うさぎパイナップル

主にフィギュアスケートの旅日記とテレビ観戦記とお題記事・ただ書き散らして生きていたい

侵入者は黙って潜む

今週のお題「ちょっとコワい話」

私が中学生だった頃の話です。

ある朝、私はいつものように登校しようと、いつものように玄関へ向かいました。いつもと何も変わらない、慌ただしい朝でした。
学校指定の靴に足を滑り込ませようとすると、どうもいつものようにするりと履けない。午後になると靴がきつくなることはあるけれど、それにしては変だなあ、などと当時の私が思ったかどうかは知らないが(笑)、確かに妙な違和感があったように記憶しています。
しかし、多少苦戦はしたもののとりあえず問題なく履けた。きっと気のせいだろう。無理矢理靴に足を押し込んだ私は、違和感のことなど即座に忘れて、学校への道のりを早足で歩き始めました。

家を出てからわずか30秒程だったでしょうか。
突然、かつて味わったことのないような激痛が私を襲いました。
突き刺すような、なんとも形容しがたい強烈な痛み。それが襲いかかってきたのは、私の片方の足の爪先でした。

あまりの激痛に無我夢中で靴を脱いだ私は、おそらく悲鳴を上げたのではないでしょうか。
何故なら、私の足には、黒々とした巨大な生物が張りついていたからです。

黒く長い、不気味なシルエット。
そう、それは大きな大きなムカデでした…。

激痛の正体に気付いた瞬間、思いっきり足を振り上げる私。そのままさらに思いっきり降り下ろします。がっちりと噛み付いているムカデを振り落とすためでした。
危機的状況に遭遇した人間というものにはやはり「火事場の馬鹿力」が備わっているようです。巨大なムカデの姿は、あっけなく近くの草むらへと消えていきました。あんなに必死で足から何かを振り払ったのは、後にも先にもあの時だけです。ってそうそうないか、そんな機会(笑)

激痛の原因はとりあえず去ったものの、激痛そのものは去るどころか、痛みの原因がハッキリしたせいで気が緩んだものか、もう歩くのも辛い程に悪化。ほうほうのていで踵を返し、私は家に戻りました。徒歩30秒の場所で噛まれたのは不幸中の幸いだったのかもしれないです。もっと先まで歩いていたら、にっちもさっちもいかなくなってたかもしれません。携帯電話が現在のように当たり前に普及していなかった頃の話なので…。

よく覚えていませんが、確かその日は学校指定の靴が履けずサンダルで過ごしたので、足が腫れ上がってしまったのでしょう。単に痛くて履けなかったのかもしれないけど、どっちにしろ凶悪な痛みだったわけです。
結局、病院に寄ってから登校することになりました。事の次第を説明するため親が学校に電話すると、受話器を取ったのは当時の校長先生だったそうで、
「いやあ、自然が一杯でいいところですなあ」
と感心していたということです。
…そこ褒めるとこじゃないから!校長!(汗)

確か、あれは梅雨の季節だったように記憶しています。雨に濡れて湿気を含んだ靴は、奴にとって快適な寝床だったのでしょう…。
それから当分の間、靴を履く前によくよく注意するようになってしまったのは言うまでもありません(泣)。

皆様も、湿気の多い季節の靴には十分にお気をつけください…。恐ろしいものが忍び込んでいるかもしれませんよ…。

ってか、気付けよ当時の私(汗)