うさぎパイナップル

主にフィギュアスケートの旅日記とテレビ観戦記とお題記事・ただ書き散らして生きていたい

国別対抗戦2017雑感③

そして女子フリー。世界選手権燃え尽き症候群の患者などここには存在しなかった。素晴らしいノーミス演技の連続でした。第2グループで目立ったミスがあったのはラジオノワくらい?それでもたいしたミスではなかったように思います。個人の戦いではないだけに逆にプレッシャーから解放されたのか、それともやはり女性は基本的に強いのか。まあ後者かもね(笑)

樋口さんはこれまでの鬱憤を晴らすかのような最高の演技でしたね。三原さんも安定して続く高レベルの演技。ワグナーはさすがの貫禄だし、デールマンのジャンプは大迫力だし。ラジオノワもすっかり成長して美しい選手になった。今シーズンのフリーの衣装好きだったなあ。メドベージェワはもう何も言うことがないですね。スケートの表現の方法は様々だと思うが、これだけ明確に物語が浮かぶ演技ができる選手はあまりいない気がするし、それがこの年齢の女子であるというのはなかなかに貴重だと思うなあ。

その素晴らしい演技の数々を見守る応援席。国別はこの応援席がある意味最大の見所なんだけど(笑)、日本の応援席は過去最高に面白かった…。

…家電量販店の店員みたいな人が応援席にいるんですけど(笑)

家電売場の人にも見えるが選挙の応援の人にも見えるし、ハチマキを締めたこけしにも見えるし松岡修造にも見える。何て言うか目が怖い。真剣に見過ぎてて顔怖い。その隣でずっとキョトンとしているファンタジー映画の登場人物みたいな昌磨君との対比が凄い。

ヘルシンキで神の依代になってた人と同一人物だとは思えないあたりが羽生結弦という人の魅力なのでありましょう…(笑)

真央ちゃんへの寄せ書きが画面に映し出された時には思わずこみ上げるものがあった人も多いのではないかなあ。ケヴィンが日本語で書いててびっくり。本当にしっかり勉強してるんだなあ、見習わなきゃ…。羽生君のメッセージはTOKYO応援宣言で少し読み上げられてたけど、憧れの選手であり、お姉さんのように慕ってたんだな、というのがわかる言葉で、同時に、もう真央ちゃんたちのいたあの華やかな世代は競技の世界から本当に去ってしまったのだな、と現実を突き付けられたような気がした…。

そんなことを思っていたら、佳菜子ちゃんが国別のエキシビションに出演するという。すぐにひとつの予想が浮かんだけれど、口にすると本当になりそうで、誰にも言わずに打ち消していた。けれど、やはり予感は的中していた。真央ちゃんに続くように、佳菜子ちゃんも引退を発表した。

もう今シーズンで終わらせるつもりなのかな、と薄々思ってはいたので、あまり驚かなかったというのが正直なところではあったけど、彼女の、生命力を感じる、躍動感に溢れたスケートがとても好きだった。これからもプロとして活躍を続けていくとは言え、競技に出場しなくなってしまったスケーターの演技をテレビで見る機会はやはり格段に減る。とても寂しいけれど、最後はあの笑顔で競技生活を締めくくろう、と一生懸命に笑っていた佳菜子ちゃんに敬意を表して、我々も涙に暮れることなく見送りたい。

しかし、これでソチの代表選手は羽生君を残して全員引退してしまったことになる。正確にはシングルの選手は、とただし書きをつけるべきなのだけど、ソチの代表だったペアとアイスダンスのカップルは両方とも解散してしまっていて、既に存在していない。そういった意味では本当に羽生君しか残っていない。
トリノからバンクーバーまではあまりトップ選手の顔ぶれが変わらなかった。バンクーバーからソチまでも思ったほど変化がなかった。しかし、ソチ以降の激震ぶりはついていけない程のスピードだった。
真央ちゃんがシニアの大会で活躍していた10年あまりの期間、フィギュアスケートの世界には眩しいばかりに華やかなスターがたくさんいた。彼らは皆個性的で美しく、それぞれの物語を持ち、何よりスケーターとして魅力的だった。海外の選手も日本の選手もそうだった。真央ちゃんの人気が飛び抜けていたとは言え、それらの選手たちの人気も、フィギュアスケートがこれだけ日本の茶の間に浸透した要因なのではないかと思う。
あの魅惑的な時代の終焉を、真央ちゃんの引退で我々は否応なしに突き付けられることになり、佳菜子ちゃんの引退がそれににとどめを刺した。あの時代を知る者にとって、この空虚感は埋めがたいものがあるだろう。もちろんこの瞬間にも素晴らしい選手はたくさんいて、ずっと競技を見続けていれば好きな選手はまた見つかるものだけれど、何となく楽しんでいた層にしてみれば、心が離れてしまいそうになるのも仕方ないのかもしれない。今まさに活躍している選手たちには、是非とも頑張ってもらいたいと思っている。偉大な先人たちに続くように。

国別のエキシビションと言えば団体演技。日本はPPAPって、どんな気の抜けたプログラムになるんだ、と思ってたら、なるほどこういうアレンジがあるのね。なんかごつくないゴルゴ13みたいな人が一人いた。スナイパーの目付きだった。確か男子フリーは一位だった人。それでこそ羽生君だよな←違う(笑)

羽生君の元気なありがとうございましたー!が最後に聞けて、今年も楽しく視聴できて良かったな、といい締めくくりを迎えられたと思います。すっかり浸透したなあ、羽生君のこの挨拶。昔々、アイスショーでの演技の後に羽生君がリンクに向かってこの言葉を発しているのが聞こえたことがあるんだけど、その時はもちろんこんな風に観客が皆耳を傾けてることなんてなかったし、感慨深いものがありますね。

エキシビションの前にショートを振り返ることになり、見たくないもうやだー、と悲鳴を上げて織田君にごめんね、と慰められていた羽生君ですが(泣)、さて来シーズンのプログラムはどうなるのでありましょう。今まさに鋭意制作中なのではないかと考えられますが。ショートは是非滑りやすいプログラムであって欲しい。「ネオパリの散歩道(だいぶ狂気なやつ)」とか谷村新司「昴」とか見てみたいですが、私の妄想の中だけでいいです(笑)。ジブリ的なやつもやって欲しいとかうっすら思ってたけど、久石譲の音楽を使用したホープ&レガシーで願いが果たされた感じですし。あの世界選手権のフリーはねえ、「金色の野に降り立つ青き衣の人を見守る風の谷の人たちってたぶんこんな気持ちなんだろうな」ってあとから思ったね(笑)。ああ羽生君、一度でいいから「私のことはハク様と呼べ」って言ってみてください…嘘です、何でもありません(笑)