うさぎパイナップル

主にフィギュアスケートの旅日記とテレビ観戦記とお題記事・ただ書き散らして生きていたい

All Japan Medalist on Ice 2014⑧

※この記事は昔書いたものを修正して今更載せています。詳細についてはこちらをご覧ください↓

usagipineapple.hatenablog.jp

 

シニアの代表だけどここで登場、村上大介。四大陸代表おめでとう。
彼も生で見るのは初めてかもしれない。ショートプログラムを滑ってくれました。NHK杯では優勝したのに彼のショートは地上波で流れなかったんだよね確か。存分に見られて嬉しかったです。

ゲストの登場。まずは村主章枝。引退した彼女の門出の場に、このメダリスト・オン・アイスが選ばれたらしい。長い、本当に長い間現役選手として日本のフィギュアスケートを支えてきてくれた彼女。真央ちゃんの登場でブームに火がついた約10年前にも、彼女はトップ選手として最前線で活躍していた。彼女たちの功績が今の日本のフィギュアスケートの礎。その新たな人生の船出の場所に立ち会えて感無量でした。
演技はジャンプの失敗なども目立ったけれど、村主さんらしい、熟成した時間と個性がなければ滑れないプログラムだったと思います。今まで本当にありがとう。お疲れ様でした。

そして第1部のラスト。光沢のある、おそらくはシルクの濃紺のシャツ。黒い髪を風になびかせて、リンクの中央に滑り出すもう見慣れたシルエット。今年もはるばるスイスから、年の瀬の押し迫る日本までやってきてくれた人。
ステファン・ランビエール。「トゥーランドット」。

トゥーランドットと言えば、トリノオリンピックの荒川さんが真っ先に浮かぶのが我々日本人だろう。堂々とした女王の滑りだった。ほかに印象深いと言えば、申雪&趙宏博ペアのトゥーランドット。テレビで見ていたけど涙が出るほど感動した。あれを超えるトゥーランドットなどそうそう出てこないだろうと思っていたが、ステファンのトゥーランドットも引けを取らない素晴らしさだった。

相変わらず羽根のように軽やかなジャンプと、ほかに並ぶ者のない圧倒的なスピン。リンクを支配する、王者の風格。
そう、今ここで滑っているステファンは、スケーターではなかった。どこか遠い国の王だった。王が堂々とそのブレードで歌い上げる、誰も寝てはならぬ、Nessun dorma。照明の光を背負ったその姿は、神々しくさえあった。

今年見たステファンの演技のうち圧倒的にいちばん良かったと思う。もちろんスタオベ。第1部のトリだったので、思う存分Aさんと感激に浸ることができた。自分への少し遅れたクリスマスのつもりでやって来たこの長野で、今年最高の演技を見られるなどというこれ以上望みようもないプレゼントをもらえて言葉にならなかった。色々思うことがあり、正直長野に行くのは怖かった。もし町田君のことがなければきっとやり場のない気持ちでここに座っていたと思うけど、やっぱり見に行くことにして良かったな、と嬉しいのか哀しいのかわからない気持ちで、氷上の彼に拍手を送った。いつまでも、いつまでも。

以下次号。