うさぎパイナップル

主にフィギュアスケートの旅日記とテレビ観戦記とお題記事・ただ書き散らして生きていたい

NHK杯2015雑感①

昔書いた文章を発掘したのでしれっと載せるシリーズ、たぶんそろそろネタ切れ。紛らわしいので、グランプリシリーズが始まるまでにしれっと載せてしまいます。
てなわけで、2014年に続いて2015年のNHK杯。羽生君の記録更新にあまりに興奮して一気に書いたという文章のため、ほとんど羽生君のことしか綴っておりません、すみません。よろしければ懐かしさに身を委ねてみてください。では以下をどうぞ↓↓↓↓



私は今この話題だけで徹夜でしゃべり続けられることは間違いないであろうが、実際は仕事の話以外の会話をほとんど人間としてない、たまにテレビに向かってしゃべる(←もはや孤独死寸前の老人)、という絶望的な状況なので書くという行為で代償します。無理矢理付き合わせて申し訳ございませんがよろしかったらお暇つぶしに読んでくださいませ。

11月27日。体調不良で仕事を休もうかと思っていた私は「NHK杯が見たいから休んだんだろ」というそしりを受けるのを恐れ(これまでの自分なら恐れませんでしたが…。まあ色々あるんだよ)どうにか出勤。でもさすがに早めに帰らせてもらおうと決め、残業もそこそこに職場をあとにしました。
帰り際、とある施設に日中掲げられている日本の国旗を片付けている現場に遭遇。施設の人が国旗を畳む前にいったん広げた、まさにその場面を私は見たのだと思う。目に飛び込む鮮やかな日の丸。きっと素晴らしい結果になると、根拠のない予感を私は抱いた。

男子のショートプログラムはとっくに開始しており、ろくに映らないスマホのテレビを見つめながら辿る帰路。羽生君には間に合ったことに気付いた時はホッとしましたが、運悪く電波の入りの非常に悪い駅に電車が停車してしまい、羽生君が首を回したところで止まり、次にしっかり映ったのはフィニッシュ(泣)。しかもまた止まる(泣)。リプレイになってやっと切れ切れながらも少し映るようになり、どうやらすごいことが起こったのと阿修羅が出たことは理解した。ちょっとあんたこショパンなんですけど。何なのあの鬼の形相。子供泣くぞ(笑)
※阿修羅・・・羽生君は演技中に普段の様子からは想像もつかない恐ろしい形相を見せることがあり、私は阿修羅と呼んでいる。多くのファンもそう呼んでいる。私がいちばん好きな羽生君はこの阿修羅なのだけど(彼の本性だと思ってる)、羽生君って王子様みたいで優しそうで素敵、とか言ってる夢見るファン層がこの阿修羅に戦慄し背筋を凍らされてるのかと思うと面白くてたまりません(笑)←ひでえ

そして得点発表。106.33という数字に思わず上げそうになった声を必死で、本当に必死でこらえる。でもうっかり片手で小さくガッツポーズするのは止められなかった。私の座ってた席周辺の人は絶対に「コイツヤベエ」って思ったはず(笑)。
演技はほとんど見られなくても得点だけで何が起こったのかはわかる。これまでの男子ショートプログラムの最高得点は101.45だった。羽生君がソチオリンピックで出した得点である。彼は全日本で103点くらいを叩き出したこともあるが国際大会ではないので公式ではソチの得点が最高だったのだ。その記録を自ら破った上に5点近く更新。この時点で十分に凄まじいことが起きていたのだ。
しかも、実はこのショートでは2度の世界記録更新が行われていた。第1グループで滑ったボーヤン・ジンが、羽生君の持っていた技術点の世界記録を更新していたのだ。しかしたぶんそれから1時間もしないうちにボーヤンの記録をまた羽生君が更新してしまった。ものすごい戦いである。しかもボーヤンの得点は羽生君を震え上がらせるどころか逆に燃え上がらせたようだ。「ぜってー抜かしてやる、見てろよ!」と思ったという本人の言葉に非常によくそれが現れている。そう、これこそが羽生結弦。この日本の若者には珍しいくらいの気の強さが彼を頂点に導いたのだ。ライバルが強ければ強いほど絶対に相手に勝とうと努力し力を発揮する羽生君。ほとんどマンガの主人公。中性的な見た目からは想像もつかないほどの超好戦的な性格というギャップが彼の非常に面白いところです。

帰宅してニュース番組をひたすらチェック。報道ステーションがノーカットで演技を流してくれたおかげでやっと106点の全貌を知ることができました。
スケートカナダでの、ジャンプ二つが規定違反により0点になるという大きなミスのあと、羽生君はショートプログラムの演技構成を大幅に変更しました。カナダまでのものと比べると明らかに難易度の高いものに。ジャンプの重複違反を避けるためにも、4回転トゥループの代わりに4回転サルコウを入れたらいいんじゃないかと私も冗談で言ってはいたが、まさか4回転トゥループはそのままにサルコウも入れ、トゥループをコンビネーションにするとは。これまでに入れていた3回転ルッツと3回転トゥループのコンビネーションでも十分なのに、それをカットして4回転2本の構成にするとは…。初めにそれを聞いた時は「羽生君らしくて好きだけど、馬鹿じゃないの?何やってんの?」と叫びそうになったくらい無茶苦茶です。でも羽生君は、やってのけてしまいました…。

サルコウは着氷があやしかったけれど直後にイーグルが入るせいか加点のもらえるジャンプに。トゥループのコンビネーションはなんと4回転ー3回転。羽生君が試合でこのコンビネーション跳んできたことあったっけ?ずっと4回転ー2回転だった気がするんだけど違ったかな。まさかこのタイミングでマスターしてくるとは!
そして最後のトリプルアクセル。羽生君はアクセルがものすごく得意なので安心して見ていられるのだけど、まるで息をするかのように軽々とカウンターから跳んでしまう。羽生君の本当の武器はこの助走らしい助走もなく演技の流れの中で跳べる美しいトリプルアクセルだということを改めて実感させる素晴らしいジャンプ。
しかし私が最も感嘆したのはそのアクセルの後のスピンである。まるで音楽そのもののように、音のひとつひとつと同化した、ため息の出るようなスピン。私の本命であるステファン・ランビエールは世界一と言い切ってもいいくらいスピンが得意な選手だったが、何故彼のスピンが素晴らしいかというと、演技の要素のひとつとしての「技術」にとどまらず「表現」の域にまで達していたからである。スピンにあれだけ表情を持たせられるスケーターはそうそういない。しかし今回の羽生君のスピンは彼に肉薄するレベルだった。まさに絶品。ワイドショーなどでは取り上げられることはないと思うけど、どうかこのスピンに注目してください。

演技全体に漂う儚さと強さ、緩と急のコントラストも美しく、これで点が出なければ嘘だろうという素晴らしい演技でした。プロトコル(採点表)も確認しましたが、最初のサルコウ以外すべての要素にGOE3をつけてる上演技構成点にも10点満点をいくつか出してるジャッジがいるんですけど。この人演技に見とれて採点するの忘れたんじゃない?(笑)もちろんそんなことはなくきちんと採点した結果ほぼ満点という評価にふさわしいと判断したのでしょうけど、なかなかこんな点を出すジャッジ見ないと思われるのでびっくりでした。
GOEというのは演技の出来映え点のことで、マイナス3点からプラス3点までつけることができ、複数のジャッジの平均が最終的な評価になります。今回の羽生君のプロトコルにはマイナスはひとつもありませんでした。

そして最後の阿修羅出現(笑)。よっぽどスケートカナダが悔しかったのでしょうね、ものすごく練習したのだろうということが演技から伝わってきました。羽生君はしっかり練習ができた時とできてない時の差が割とはっきりわかる選手だと思います。カナダは明らかに体調が悪そうだったので(唇が紫だった。喘息の発作が酷かったという噂)練習が足りなかったのかもしれません。カナダに比べると顔色も良くて安心したし、ボーヤンに負けまいとする強烈な闘争心が阿修羅の表情ににじみ出まくってて私は好きです。節分の鬼の面みたいだったけど(笑)。んで自分でも怖いと思ったとかどやりすぎとか言われたってあとから言ってたらしいけど(笑)。ってあんたインターネットで自分のファンの発言とか見てるだろ。どやりすぎって(笑)

何故長野へ行かなかったのか、と暴れたのは当然として、せめてテレビの前でじっくり見たかった(泣)。でもほとんど映らなくても一応歴史的瞬間に立ち会っていたことにはなるのだからまあ良しとしましょう。
結局ノーカットで見られたのは今のところ羽生君だけだし、ボーヤンや無良君の演技も見たかったのでやっぱり無念ですけど。

思ったより長くなったので以下次号。



↑↑↑↑以上、第1回・ショートプログラム編。明日の第2回・フリー編に続きます。よろしければ明日も目を通していただければ嬉しいです。