うさぎパイナップル

主にフィギュアスケートの旅日記とテレビ観戦記とお題記事・ただ書き散らして生きていたい

全日本選手権2016①

なかなか執筆に手をつけられないまま既に1年近く…。今年の全日本が始まるまでには何とか、それだけは何とか、という気持ちでようやく書き始めることができました(泣)。とんでもなくハードな行程だったためか既に帰り道の段階で何があったか忘れている有り様で、まともなレポートにならないこと間違いなしなのですが(泣)、よろしければ最後までお付き合いください。

エキシビションにあたるメダリスト・オン・アイスには何度か出向いたことがあるものの、日程の都合や経済的な問題で常に自宅観戦だった全日本選手権。そこそこ直前になってから日程の都合がつきチケットを買おうとしてもまず完売で手に入らず、しょうがないのでホテルでのんびり見たこともあったっけ。今年も都合がつくのかどうかさっぱりわからないし、経済状態も絶望的なのでスルーでいいや、と先行が始まっても気楽に構えていたのだが。
いたのだが、よく考えなくても今年の開催地は大阪だ。大阪なら交通費的にも移動時間的にもわりと無理がきく。来年は関東での開催だろうしそうなると旅費がネックとなって行けない可能性が大きい。せっかく関西で開催される機会をみすみす逃す手はないのではないか?
それに私にはどうしても実現したいことがあった。それは「羽生君が現役でいるうちに競技モードの羽生君を生観戦する」こと。あれだけの選手にこの先お目にかかれるという保証はない。人生の道はいつ断たれるかわからないのだ。来年はオリンピックシーズン、チケット争奪戦は血で血を洗う激戦となるだろう。少しでも可能性が高いうちに動いた方がいいんじゃないか?しかも旅費がそれなりに安く抑えられる土地で開催されるという絶好の機会に、すべてが手詰まりになったわけでもないのに最初から諦めてしまうのはあまりにも浅はかなんじゃないか?

私は悩んだ。本当に悩んだ。手元にはどうやって生活していったらいいのかわからない程の金額しか残されていない。こんな状況で一か八かの賭けに出るなどあまりにも無謀だ。
だが、そもそも当たるかどうかなど誰にもわからないのだ。しかも申し込みをしなければ当たる未来も当たらない未来もどちらも確実にやって来ない。当たらなければ今回の全日本に行く運命にはなかったということだし、当たればその時に考えればいい。這ってでも行けばいいだけだ。

昨今の競技のチケットの入手しづらさについては知らないはずもない。そうだ、絶対に当たらないんだろうから気楽に申し込もう。
覚悟を決めた私は、思い切って申込ボタンを押した。男子フリーの行われる土曜日の、いちばん安い席を1枚だけ。その時の私に払える金額はそれが限界だったからだ。日々の食事にも困るほど貧しく、頼る人間もなしに追い詰められていた私にとって、それは夢を見るための、マッチ売りの少女が燃やしたマッチのようなものだったかもしれない。

日々は瞬く間に過ぎ、当落の発表される日がやってきた。届いたメールの文面を見た私はたぶん叫び声を上げたのではないか。そこに記されていたのは、あまりにも予想外の結果だったからだ。

ご用意された…。チケットがご用意されている…。

私は本当の本当に当たるわけがないと思っていたのだ。かなり真剣にそう思っていた。何もしないで後悔するくらいなら参加だけでもしようという、いわゆる「記念受験」のようなものだったのである。

そうか、年末まで何とかして生き残れということか。そうなのだな、神よ。
大袈裟に聞こえるかもしれないが、本当にそのくらい追い詰められていた。ひとりで行き詰まり悩む気持ちを聞いて欲しいという願いすら叶わず、信頼していた人たちに連絡をしても返事すらもらえない日々に疲れていた。今もその状況は変わらないのだけど。内容が明るかろうが暗かろうが事務的な連絡に近い内容だろうが関係なくなしのつぶて、という時点でもはや信頼も何もないのに、私はそれでも信じたかったのである。
たぶん私はもうこの世にいないことになってるんじゃないかなあ。弔ってもらえるだけ死人の方がマシじゃね?いや、そもそもまともな人間の仲間に入れてもらえてないんだから最初からいないのと同じか…。今だって元気だから連絡しないわけじゃないんですぜ。返事が来ないのに連絡しても心が抉られるだけだからですぜ…。私の積み上げてきたものって全部幻だったんだなあ…。

からくて苦い涙を拭いつつ、以下次号。