うさぎパイナップル

フィギュアスケート旅日記とテレビ観戦記とその他色々色々・ただ書き散らして生きていたい(ライター始めました2018・生活の糧と居場所募集中)

小春日和のおひさまがふりそそぐ窓ガラスにそっとふれたてのひらが、ほんわりあたたかくなるみたいに

お題「好きな作家」

漫画家もありでいいかしら?勝手にいいことにします←おい

てなわけで、前から書きたかった話を。

大好きな漫画家さんがいます。お名前は「ふくやまけいこ」さん。

ふくやまさんの漫画を初めて読んだのは、過去の記事に2度ほど話題を出した、叔母の本棚にあった雑誌だったか何だったかに掲載されていた短編。本当は学校の先生になりたかった女性の話…、だったと思います。詳しいことはほとんど覚えていないんだけど、それを読んだということは印象に残っていて、でもあまり思い出すこともなく過ごしていたのですが、とある漫画を読んだ時に、「あっ、この作品を描いた人はあの時の漫画の作者と同じ人では」と気付いたのですね。

その漫画とは『東京物語』。
昭和初期の東京を舞台に、雑誌編集者の桧前平介と、謎の青年・牧野草二郎の二人が、数々の怪事件を解決していく冒険譚。徳間書店版全7巻、大都社版全3巻、早川書房版全3巻、全部持ってます。大都社版と早川書房版は徳間書店版のいわゆる愛蔵版なので内容は同じなんだけど、描き下ろしも入ってたりするのですべて揃えました。私の宝物です。

私は本当にこの『東京物語』が大好きで、繰り返し繰り返し、何度も読みました。「好みのタイプは?」と聞かれる度に、「草ちゃん」って答えたいけど絶対通じないから適当にごまかす(笑)という行為をいまだに続けているくらいに私の青春でした。年食った今改めて読むと平介さんがホントにいい男なんですけど、三つ子の魂百まで、でやっぱり草ちゃんが好きかな(笑)。一見線も細くてふにゃふにゃぽやぽやしてるんだけどその実頭良くて頑固でブチキレるとなかなか怖くて…。詳しくは是非漫画を読んでください(笑)。
確か私が初めて観光した東京の名所は浅草寺でした。ここに平介さんや草ちゃんが…、とひとり感動したものです。大好きな作品の舞台に来られたという感激は今でも忘れられないですね。私にとって東京や横浜は永遠に「東京物語の街」なんだろうな、と思います。

牧野草二郎こと草ちゃんの服装や作品の雰囲気から、金田一耕助っぽいなと思ってたら本当に昔の横溝正史作品の文庫本のおどろおどろしい表紙がお好きだったという大都社版のあとがき(このあとがきファン必見だと思います)のお話には驚いたものですが(父親がコレクションしてたので私もその文庫版で金田一シリーズを読んでいたのですね)、実はふくやまさんの漫画はそれを一瞬感じないくらいに「かわいい」んです。絵柄もかわいいけど、物語もかわいい。かわいいと言うか、「嫌な奴がいない」んですね、基本的に。しかもそれでいて「説教臭くない」んです。みんなごく自然に「いい人」なんです。

たとえば、『東京物語』の一編に「北から来た青年」という話があるのですが、これに登場するスリの二人組。スリだから悪い奴のはずなんですけど、これが実に憎めないのですよ。盗んだ品物を嬉しそうに抱きしめているスリの表情、あんなにイヤミのない笑顔を描ける人はほかにいません。はっきり言って奇跡的です。
それはふくやまさんの絵柄のなせるわざかもしれません。とにかくかわいい。特に女の子の絵のかわいさは群を抜いています。『東京物語』初期の後半から中期の前半くらいまで(わかりにくい表現だがこれしか思い付かなかった…)の絵がいちばん好きですね。最近の絵柄も十二分にかわいいのですけど、シンプルになっていく以前の書き込みのまだ多い頃の絵柄、というのがどの漫画家さんもいちばん魅力的だな、と個人的には思います。

小学生の頃からこつこつとコミックスを集めてはいるのですが、ふくやまさんの作品はマニアックな出版社から発行されることが多く、書店ではかなり探しづらい…。手放す人も少ないのか、古書店でもそれほど見掛けません。読んだことはあるけれど自分の手元にはない、という作品が実はいっぱいあります(泣)。『ゼリービーンズ』も見つからないし『ナノトリノ』も1巻しか持ってないよ(泣)。初めて『ゼリービーンズ』を読んだ時の感激は言葉では言い尽くせない。ああ、これが私の探してたものだったんだ、という気がした。
『星の島のるるちゃん』は珍しく『なかよし』という実に手に入りやすい雑誌の掲載作品で嬉しかったなあ。当時兄弟がなかよしを買ってたので、るるちゃんをリアルタイムで読めたのはホントに幸せだった。文庫版の描き下ろしは素晴らしかったです…。

挿絵の仕事はやはり『夏の魔術』シリーズですかね。ふくやまさんのイラストが目当てで買いました。第1作目の『夏の魔術』は面白かったんだけど、段々パワーダウンしていって、完結編の『春の魔術』に至っては、10年くらい待ったのに…、という内容だったことしか覚えていない…。挿絵がふくやまさんじゃなかったら絶対買わなかっただろーな…。
私が揃えたのは新書版なんだけど、後に新装版も出たのかな?どうやら文庫版もあるっぽい?これもコツコツ探さなくちゃね。私はネットで物を買うのが嫌いなので、書店で地道に見つけてます。ワクワクしないじゃん、だって。ああお前、こんなところにいたのか!って出会いが楽しいんじゃないですか。いいんだよ、どうせ古い人間なんだから←投げやり
『ゆうれいママ』のシリーズもちょっとだけ読みましたよ。今はもう入手困難なんだろうか。これもめっちゃイラストかわいかった…。

細かい仕事をされてることも多いので、たまたま買ったムックなどにふくやまさんの漫画やイラストが載ってたらラッキー、と思うしかないのかなあ。『風の谷のナウシカ』のゲームブックもふくやまさんのイラストが載ってるから処分できない(笑)。確かごく普通にナウシカが好きで買ったんじゃなかったっけ。ゲームブックっていうのがね、あったんですよその昔は。サイコロとメモ用紙片手に地道に遊ぶんですよ(笑)。

比較的最近の作品で好きなのは『話の話』かな。ふくやまさんにしては珍しく?完全にファンタジー世界の冒険物語。久しぶりにいい漫画を読んだな、という気分になった。『LUNAR ETERNAL BLUE』というテレビゲームがその昔メガCDという実にマニアックなハードで発売されていたのだが、そのゲームを何となく思い出すんですよね。『LUNAR』も上質の児童文学のような冒険物語だったからかなあ。主人公のシリカと『LUNAR』の主人公ヒイロは何となく似てる気もするしね。好きなものというのはやはり似るものなのだろうか。

ふくやまさんの作品には、日本人が忘れかけているやさしさとかあたたかさみたいなものが空気のように自然に詰まっているような気がしています。心から好きだと思える数少ないもののひとつです。すっかり貧民になってしまった今の私にはなかなか厳しいけれど、これからも納得いくまでふくやまさんの作品を集めていきたいです。

ああ、ふくやまさんの作品の魅力を言葉で表現するのってめちゃくちゃ難しい…。これじゃ全然伝わらないだろうなと思いつつ、ひとりでも多くの方の心にふくやまけいこさんというお名前を残せたらそれだけでも嬉しい。是非手にとって作品を読んでみてください。なかなか連載の情報や単行本の発売状況などが掴みづらいですけどね(泣)。冒頭で挙げた短編も何かの単行本に収録されてるようですが全然見つかんないですよ(泣)。