うさぎパイナップル

主にフィギュアスケートの旅日記とテレビ観戦記とお題記事・ただ書き散らして生きていたい

Fantasy on Ice 2017 in KOBE⑩

ジェフの演技後、スケーターがリンクに出てきたのにアナウンスが何もない(なかったはず。間違ってたらごめんなさい)。そのまま演技が始まってしまった。誰だかわからないけど女性の様子。ショートの黒髪?こんな選手いたっけ?
顔立ちからポゴリラヤだとそのうち気付いたが、何故名前も呼ばれずに出てきたんだ?もしかして、と思い始めたその時。
黒髪に黒のショートパンツ姿だったスケーターが、眩しい程の金髪と金色の衣装にその身を変える。本当に一瞬だった。会場からは感嘆のどよめき。土曜日はネタがわかっていなかったので感激ですらありました。
この早着替えをより効果的にするためにアナウンスがなかったのか。長い金髪をなびかせたアンナ・ポゴリラヤは美しかった。その演技と笑顔にすっかり魅了されてしまい、今シーズンは今まで以上に応援したいと思いました。怪我に苦しんでいると知ってとても心配ですが、どうかオリンピックに間に合って欲しい…。

再びコラボレーションタイム。鈴木明子が杏里の『Summer Candles』で滑る。ああ、聞いたことはあるなこの曲。これまでに出てきた3曲は何も見なくても歌えるほどよく覚えているのだけど、その3曲以外はまったく知らないに等しいのだった…。すみません(泣)。
ご結婚されたとのことなので、お祝いを兼ねてのこの曲だったのかな。鈴木さんおめでとうございます。

さらにコラボは続き、今度はジョニー・ウィアー木下航志。曲は『Amazing Grace』。
こういう定番の、静謐で美しい音楽で滑るジョニーが何のかんのといちばん好きである。私の好きなジョニーは、やはりNHK杯で初めてその姿を目にした時の、絵画から抜け出してきたようなジョニーなのである。
しかし、この曲なのに衣装は何故あれだったんだろう…。肩に立派なフサフサのついた、決して派手ではないのだが絶対に地味ではない衣装だった…。
今回出演していたゲストの中では木下さんのコラボがいちばん良かったように思います。神戸に来るまで出演されるのも知らなかったし、そもそもまったく存じ上げない方だったので新鮮な驚きでした。杏里は声が出ていなかったです…。

ハビエル・フェルナンデス。おお、この衣装は『パイレーツ・オブ・カリビアン』でいいのかな?
相変わらずエキシビション用の荷物が多い(笑)。でも今回の荷物、ちょっとでかすぎない?椅子はいいんだけど、椅子に人形乗ってない?全然動かないから人形だと思ってたけど、ひょっとして人間?
船長が居眠りしてる間にやりたい放題やってるのだろうか。こういう演技させるとホントに上手いよなあ。でも船長、起きちゃったぞ。起きたって言うか生き返ったって感じ?しかも船長、安藤さんじゃないか。何だよやっぱり破局説はデマだったんだな…。
船長に激怒されながらプログラムは終了。舞台みたいで面白かった。安藤さんも協力してたせいかいつも以上に濃かった気がするけど(笑)。

お次はすっかり恒例、エカテリーナ・チェスナ&アレクサンダー・チェスナによるエアリアル。しかし今年は初めて見るプログラムではないか。黒い衣装に、まるで炎のような布。天から垂れ下がる炎に絡め取られるように、二人の姿が舞い上がる。天界を血に染める堕天使のようでもあり、地獄を支配する悪魔のようでもあり、戦場となった大地で嘆く人間のようでもあった。めちゃめちゃカッコ良かった…。

ガブリエラ・パパダキス&ギヨーム・シゼロン。抽象的と言うか前衛的と言うか、わかりやすくはないがつい真剣に見てしまうプログラムである。わかりやすくはないからこそ、二人の線の美しさや技術の達者さが無ければ説得力もなく、そこが成り立っているからこそ一種の芸術として鑑賞することができる。そんなプログラムだった。
ところで、シゼロンさんが羽生君と1ヶ月くらいしか誕生日の変わらない、ほぼ同い年ということにここ神戸で初めて気付いた…。お髭がなかったらもっと若々しく見えるのだろうけど、「二人とも一般的な日本人で言えば今年の新入社員」と考えると、なんつーか、シゼロンさんが渋すぎるのか羽生君が若すぎるのか(汗)。そうだよみんな、神戸のリンクに降臨していた羽生結弦とかいう信じられないほどかわいい生き物は22歳成人男性なんだよ…。嘘じゃないんだよ(震)←正気に戻れ←無理

第二部も佳境に入ってきました。エフゲニー・プルシェンコが再びリンクに現れます。
第一部で会場中を爆笑させていたあの人物と、今ここで滑っている彼は本当に同一人物なのだろうか。プルシェンコは本当は、とても繊細で美しく、そして誰よりも心の強いスケーターなのだろう、そう思ってしまった。東日本大震災への追悼として捧げるプログラムだという話でしたが、これまでにショーで見てきたプルシェンコは「フィギュアスケート界の王者」という感じのするものがほとんどだったのに、このプログラムのプルシェンコは枯れた海や荒れた大地やそこに咲く名もない花にそっと寄り添っているようで、それは儚いものを掬い上げようとする王者の祈りの手そのもので、ひとときも目が離せなかった。素晴らしかった…。
ああ、結局全部プルシェンコが持っていってしまった。彼が出ているショーはもれなくそうなってしまう。でも、その麻薬のような絶対感を味わいたくて、また彼の出演を心待ちにしてしまうのだよな…。

以下次号。