※この記事は昔書いたものを修正して今更載せています。詳細についてはこちらをご覧ください↓
続いてハビエル・フェルナンデス。静岡でも滑っていた映画音楽のプログラム。サスペンダーがなんかかわいい。照明もとても凝っていて、音楽にピッタリ合ってて本当に映画の一場面みたい。ってどんな映画が知らないけれど(汗)。
ここで福間さん三度登場。しかもコラボレーションの相手はステファン・ランビエール!まさかまさかのラフマニノフ!ちょっと待って、大っ好きなんですけどこのプログラム!まさかもう一度見られるなんて!しかもピアノの生演奏。どうしよう始まる前から息が苦しい。
土曜日はピアノの音色が優しすぎるような気がした。まだお互いに手探り状態のように見えました。日曜日は呼吸が合ってきたのかピアノも強い音になり、明らかに土曜日よりも完成されていました。とても、とても良かったです。素晴らしい。
実は土曜日は途中で手拍子が起こっていたのですが、手拍子するような曲でも演技でもないので正直止めてほしかったです…。確かに手拍子は盛り上がるけど、だからって何でも手拍子するのはちょっと考えて欲しいかも…。
ステファンの演技の後は誰か出てきてもだいたい脱け殻状態になってしまい辛いのですが、今回は脱け殻化を阻止する超強力な人物とプログラムが後ろに控えていました。そうです、羽生結弦の登場です。演目は新しいフリープログラム、「SEIMEI」。
羽生君の新しいプログラムが陰陽師をモチーフにした内容だと知った時、ずっと願っていたことが現実になった喜びと期待とで、私の心は膨らむどころか弾け飛びそうでした。
羽生君の少年のような身軽さ、和の美しさを凝縮したような外見、世界を燃やし尽くしそうな勢いで彼の内側から吹き出す修羅の炎。それらを最大限に活かせる音楽とプログラムは、おそらく日本の文化をテーマとしたものだろうとずっと考えていたのです。金沢公演の一週間前に行われたドリーム・オン・アイスで披露された演技や衣装の一部は、思わず何度も繰り返し見てしまう程の強烈な吸引力に満ちていて、これは羽生君の代表作になる、という予感を抱かせるに十分なものでした。きっと金沢でも見られるに違いない。過去に抱いたことのない類いの期待と高揚感とともに、私はこの金沢へとやって来たのです。
土曜日はあまりにも凄い歓声で、羽生君を紹介する場内アナウンスが聞こえなかったほどです。しかしこの日の羽生君はかなり調子が悪かったようで、イマイチなジャンプが続いた上、どうやら氷に穴も空いてしまったらしく、指差して何か言ってるのかなと思ったら、氷の穴を直しているような様子が伺えました。席が遠かったのでよくわからなかったのですよ。サンキューユヅル、とかアナウンスも言ってたような。
しかし日曜日。散々書いてますがリンクに非常に近い上真ん中付近。過去最高に良い席。この席で見たSEIMEIは、生涯忘れられそうにありません。
SEIMEIは競技用のプログラムなので、印象的な振付は基本的にジャッジに向かって行うようにプログラムが組まれています。もちろん最も演技を見やすい場所にはジャッジが座るので、一般の客が会場でそれらの振付をすべて正面で見ることは難しく、見られたとしても少々遠い席になってしまう可能性が高いと思われます。
でも、日曜日の私の席は、まさにジャッジに用意されるような距離と位置でした。つまり、テレビで繰り返し流れた印象的な場面を、ほぼすべて正面に見ることができたのです。
唇に指を立て、印を結ぶ仕草が印象的な出だし。両手を勢いよく広げ、魑魅魍魎の調伏が完了したことを伺わせる力強いラスト。すべてを射抜くあの眼差しとともに、それらを目の前に見た自分は、羽生結弦という平成の世が生んだ怪物の、天井知らずの才能と迫力に、一切の声も出せずただひれ伏すしかありませんでした。
日曜日はジャンプの調子も戻っていて、4回転サルコウは美しく成功。次の4回転トゥループは抜けてしまいましたが、フリップは着氷が少々よろしくなかったものの、コンビネーションジャンプのセカンドは手を上げた体勢で成功。あともう1本ジャンプあったと思うけど忘れちゃった。ショー用に実際のフリープログラムよりも短くしてあるのでジャンプはそれだけだったと思いますが、4回転複数入れてます。ショーですよこれ。何考えてるんですかね(汗)。ものすごい気合を感じてやはりただひれ伏すしかない私。
音楽も本人のイメージピッタリ過ぎるし振付もその音楽にピッタリ合っていて、競技の舞台で完成版が披露された暁にはどれほどの名演技が生まれるのかと、震え上がるほどの期待を未来に抱かせる金沢公演の安倍晴明でした。その結果は既に皆さんご存知のことと思います。
あと、会場にいた霊的な何かはだいたい成仏したんじゃないかと思った(笑)。あの晴明様つええ。
晴明様が色々薙ぎ祓っていったリンクに現れたのはメーガン・デュハメル&エリック・ラドフォード。カナダのペアです。スポーツの楽しさを感じさせる演技だなあと思った。デュハメルが完全に逆さまになって振り回されるリフトがすごすぎ。
第一部ラストは、やっぱりお前か、エフゲニー・プルシェンコ!そしてエドウィン・マートン!まさかまさかのトスカ!マジかよ!
日曜日はマートンがずっと近くで熱演していたのでひたすらガン見(笑)。マートンのヴァイオリンまた聞きたかったから嬉しくてしょうがない。マートンに拍手するプルシェンコもガン見。あれ、マートンのことしか覚えてないんだけど私(汗)。
ところでトスカでも手拍子が起こってたのですが、この曲に手拍子必要…?だから何でも手拍子するのは考えてってあれほど(泣)。
日曜日の休憩時間中ずっとAさんに「いい人生でしたありがとうございました」とうわごとのように繰り返していました。晴明様が凄すぎて。落ち着け(笑)。どうやら悪霊の私も成仏させられかけていたようだ(笑)。そのまま本当に天に召されてしまえば良かったのに(笑)。
以下次号。