うさぎパイナップル

主にフィギュアスケートの旅日記とテレビ観戦記とお題記事・ただ書き散らして生きていたい

音はよどみなく流れ、言葉は遠くまで拡がる

ツイッターアカウントを作ってもう7年近いのですが、「何気なく呟いたツイートが予想以上に拡散される」という出来事があったので記録しておきます。たぶんもう二度とないと思うので…。

5月20日の日曜日。この日はBSで『陰陽師』が放送されておりました。そう、羽生結弦選手が平昌オリンピックで金メダルを獲得した際のフリープログラム『SEIMEI』に楽曲が使われた、あの陰陽師です。
オープニングの映像にうっすら記憶があったので、たぶん過去に部分的にでも見たことはあると思うのですが、ほとんど記憶にないのでうきうきしながら視聴しました。
伊藤英明のかわいさや野村萬斎の妖しい美しさに、ああこれ随分流行ったっけなあ、なるほどなあ、と思いつつ、流し見する予定が結局ガン見(笑)。白眉はスタッフロールですね。映画本編でも感じてたけど、野村萬斎の所作の美しいこと…。一瞬『センチメンタルグラフティ』を思い出したけど、一瞬だったんで許してください。お願い許して(汗)。あ、意味がわかんなかった方はどうぞそのまま!そのままで!(笑)

映画を楽しく見ながらも、やはり耳がいくのは音楽。ああここ、たぶんSEIMEIでも使われてるよな、と考えながら見ていたのですが、同時に、これをあの4分半に繋げたのか、しかもあんなに自然に、とものすごく感心したのです。もちろん制作された楽曲のうち映画に使用されているのは部分的でしょうから、サントラを聞けばまた印象は変わるかもしれないですけど、それでも半端ないなあと素直に思ってしまいました。

そもそも私、羽生君のプログラムの何が好きかって、「違和感なく編集されている音楽」なんですよ。ほかにもいっぱいあるんだけど、その部分は個人的にかなり大きな要素を占めます。
このブログをいつも読んでくださっている方はよくご存知かと思いますが(笑)、私はランビエールの大ファンなのですね。何故彼の演技に惹き付けられたのかつらつらと考えた時、プログラムの流れが美しいことが大きいな、と思ったのです。ステファンのプログラムは音楽に違和感がなかった。「不自然な繋ぎ目」が少なく、音楽も美しく流れていたのです。私にとって、この部分は大きかった。

フィギュアスケートの競技プログラムは時間が決まっているので、どうしてもそれに合わせて音楽を編集しなければなりませんが、それ故か、かなり無理のある編曲になってしまっている例が少なくないのですね。盛り上がる部分だけを無理矢理繋げてぶつ切れ感が凄かったり、音と音がうまく繋がっていなくて、引っ掛かりと言うかノイズと言うか、音のズレが気になる結果になってしまっていたり…。
それはそれで個性のひとつですし、選手が滑りやすいのならそれでもいいとは思います。ただ、とてもいい演技をしていても、どうしてもその「音の違和感」が気になってしまうことがあるのです。どうしても演技に入り込めない。せっかくのいい演技もいい音楽も活かしきれていない。本当にもったいないと思います。
気にしない人は気にしないのでしょうが、私はどうしてもこの点が気になってしまっていました。音楽には詳しくないのですが、たぶん意外とこだわるタイプなんですよ、音に(汗)。きっとすごく好きなんですよね、音楽が。自分がもしスケーターだったら、たぶん音楽にはめちゃくちゃこだわります。納得いかなければ自分で勉強して編集覚えるレベルにこだわると思う。容易に予想がつくわ…←凝り性

羽生君のプログラムにはこの「音の違和感」がまったくないのです。いつからこれに気付いたのか忘れてしまいましたが、何故羽生君の演技に惹き付けられたのか、これが理由のひとつだなとはっきり自覚はできました。

我々が羽生君の演技に「物語性」を感じる原因、そのひとつが音楽ではないかと思います。非常にスムーズで、音に流れがあり、自然にクライマックスへ向かっていくように編集されている。プログラムをひとつの流れとして、物語として、自然に耳でも捉えられるようになっているのです。フィギュアスケートにおいて音楽は必要不可欠な要素です。そこに一切の妥協がない。ただ滑って勝てばいい、と思っていれば、こんな繊細な編集が行われることはないはずです。
羽生君の演技そのものにも流れがあり、ツギハギ感はほぼありません。彼のプログラムはミスが多かった時でも短く感じますが、それはそもそものプログラムの完成度の高さも要因だと考えます。その流れるようなプログラムを成立させている大きな要素が、この流れるような音楽です。おそらくはとても耳がいいであろう羽生君は、その音を余すことなく拾い上げ、演技に沿わせている。時に羽生君自身が音楽の奏者であるかのように。

おそらく非常に腕のある方が編集しているのだろうと推測できますが(てかインタビュー読んだ気がする)、ジャンプやスピンのタイミングを考慮に入れる必要がある点などからしても、羽生君自身の注文もかなり入っているでしょう。羽生君自身が滑っていて心地よいと感じるレベルまで突き詰めているような印象を受けます。

音を大事にしているからこそ音が生きてくる。そしてそれが物語を生む。我々は羽生君の持つ「稀代の表現者」としての理屈ではない天性の才能に畏れに近い敬意を抱きながら、その計算され尽くした舞台装置の魔力に知らぬ間に絡めとられているのです。

長くなりましたが(汗)、まあそんなことを常日頃からつらつらと考えていたこともあり、それを手短に280字にまとめて(笑)映画の放送終了後に何気なく呟いたのですが…。


以下、ツイートの内容:
【羽生君のプログラムの何が凄いかって全部凄いんだけど、編曲っていうか編集っていうかのうまさは個人的に相当大きい。すごくいい演技でも「何このぶったぎり感」っていう編曲になっちゃってると見てる方も集中が切れてしまう。オペラ座ホープ&レガシーも編曲素晴らしかったなって陰陽師見てて改めて】

【ホントにものすっごく上手に繋げてあるな、半端ないなって陰陽師の映画見てて思いました。フィギュアスケートの音楽は演技の一部でめちゃくちゃ重要な要素だと個人的には思うので、得点にはそこまで関係ないのかもしれないけど大事なんじゃないかなあ、って何となく。】


なんか…、見たことないくらい「いいね」がついてる…。ついてもせいぜい2個とか3個だったやん今まで…。

情報収集ツールとしてのツイッターは愛用していますが、コミュニケーションツールとしてはあまり興味がなく、月に一度しか呟かなかったり非公開にして引きこもったり、呟くにしても固有名詞を入れないように気を付けたりと非常に後ろ向きな使い方をしてたので、フォロワーさんもこの時は20人いなかったしそのうちスケートファンの方はたぶんごくわずかだと思われます。羽生君のことをたまに呟いてもこんなことはまずなかったのですが…。
何故。何故この呟きが。てか何が起こってるんですか(汗)。インプレッション数何これ…。いつも30とかだろうが、それがこの底辺アカウントだろうが!おかしい←混乱

どうやら共感してくださった方がたくさんいらしたようで、とても的確なリプライを寄せてくださった方もいて、皆さん同じこと思われてたんだ嬉しい、という気持ちと、羽生君のファンの方こんなにいらっしゃるんだ、すごい…、と素直にびっくりする気持ちとで、しばらく目を白黒させてました。
本当に何も考えずに、ただただやっぱ羽生君のプログラムの音楽編集はすごいなあ、と思って呟いただけなので、ツイッターの拡散ってこういうことなのかあ、と初めて実感しました。何千とか何万とかいった数値になる方に比べたら微々たるものでしょうけど、私には十分目を白黒させる事態です。

ブログにもたくさんの方がアクセスしてくださったようで、たぶんもう超えることはないと思っていた過去の最高記録(手相鑑定の感想を書いたところ、手相家の方がご自身のブログで紹介してくださった。ちなみにその方の的中率ちょっとヤバいレベルです。数々の占いを経験してきたがこんなに当たる人初めて…)をあっさり抜き去りました。今度はこれが当分最高記録として君臨するであろう。
わざわざ見に来てくださった方、ありがとうございます!羽生君ファンと言うよりスケートファンのブログですが、羽生君のことはあからさまに熱さが違うレベルで語っておりますので(汗)、よろしければまた遊びに来てくださいね。羽生君ファンの方に読んで欲しくて書いた記事もいくつかあるんですけど、なかなかファンの方が訪れている形跡がなくて少し寂しかったので、この度のことはとても嬉しかったです。

そんなわけで、本日は自分のための記念の記事でした。ないない、もう二度とないです(笑)。なので本日だけは手前味噌をお許しください(汗)。
ブログに注力しているので(話長いからなこの人…)ツイッターはたまにポエムが混ざるくらいで基本的にどうでもいいことしか呟いてないですけど、ポエムもたぶんどうでもいいですけど(笑)、脱引きこもりアカウントして正解だったかもなあ、と思いました。
とても勉強になることを呟く方もおられるし、ハイセンスな笑いを140字に閉じ込める方もおられるし、時々何じゃこりゃという事態も目にしますが、読む側としても面白いし、あとさりげなく140文字に要点をまとめるのがパズルみたいで面白いです。そう言えば要約は得意な方だったかも。まあ利点がなければとっくに放置してるわな。てなわけで、これからもゆるくツイッターを楽しめたらいいなと思ってます。あ、アイコンは似顔絵じゃないですよ。僕の考えた美少女(笑)。毎日微妙に表情や色合いを変えるのを繰り返して遊んでます。それなら誰も気付かないだろうと思って(笑)
そして羽生君の来シーズンのプログラムも、きっとこだわり抜いた音楽で我々を酔わせてくれるだろうと確信に近い期待を持って楽しみにしていようと思います。