うさぎパイナップル

主にフィギュアスケートの旅日記とテレビ観戦記とお題記事・ただ書き散らして生きていたい

Fantasy on Ice 2016 in KOBE⑧

※この記事は1年半以上経ってからようやく執筆にこぎつけました。その後も延々と寝かせ続け、やっとお日様の下に出てこられたという悲劇(汗)のシリーズです。いつの話してんだという内容ではございますが、このブログはわりとそういう記事に支えられてきたブログだったりしますので、あと少しだけこの今更シリーズにお付き合いください。書いたのは遥か昔ですが一応初出です。寝かせてただけ(汗)。
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この神戸でもトリを務めるのは彼でした。ステファン・ランビエール。演目はステファンがスイスで主催したショー「アイスレジェンド」で披露した『ラ・ヴァルス』。本来は複数のスケーターで滑るプログラムだったが、ステファン一人用のプログラムにアレンジし直したらしい。しかもピアノ演奏は福間洸太朗。これ以上のものはあろうか、というプログラムを最後の最後に持ってきた。
確信できる。一瞬も目を離してはいけない。この日いちばんの演技が、今から目の前で繰り広げられるはずだ。

何から書いたらいいのだろう。何て書いたらいいのだろう。別格だった。別格である、という言葉しかなかった。近くの席に年配の方が座っていて、公演が始まってから確か一度もスタオベすることがなかったのに、ステファンのこの演技には心底感嘆したように立ち上がって拍手を送っていた。それだけでもどれほど凄まじい演技だったかが伝わるだろうか。
さらに私のメモも書き写してみよう。
「まじすごい まじやばい 狂っちゃってるかんじがまじやばい」
だそうである。語彙力も何もあったものではないが、あまりにも凄すぎて言葉を失ってしまったことが伝わったならそれでいい。
作曲者のラヴェルもいい加減やばい。何なんだこの曲は。こんな難解な曲を弾きこなす福間さんもやばい。何よりも、狂気じみた旋律を完璧に自身のスケートに落とし込んで作品として表現しきったステファンがあまりにもやばすぎる。

久しぶりに本気のステファンを見た。そうだ、これがステファンだ。私はステファンという類い稀な才能の生み出すものをひとつでも多くこの目で見たくてアイスショーに出向いているのだ。今回の神戸公演も経済的な問題から諦めるべきか相当悩んだけれど、この演技を見逃さずに済んで本当に、本当に良かったと心から思った。ステファンがこのレベルを保ったままショースケーターを続けられる時間はおそらくもうそれほど長くない。これからもその滑りをひとつでも多くこの目に焼き付けられるよう、そう願わずにはいられない。

ステファンの世界に絡めとられたままフィナーレが始まる。ステージには川畑要さん、鈴木慶江さん。『威風堂々』が高らかに歌い上げられる。福間さんや吉田兄弟も出てこられてたんじゃないかと思いますがうろ覚え。
スケーターの衣装は女性が白で男性が黒。男性の衣装には蝶ネクタイが首もとに、白い羽飾りが胸に飾られていた。とても素敵な衣装だと思いました。
アンサンブルスケーターさんの中にジェフが混じっていて、まるでスケーターの先導役のよう。本当にそういう役回りだったのかもしれません。チェスナさんたちもフィナーレの最初の方に出てきてました。
ラストはフェルナンデスとヴォロソジャール&トランコフがショートサイドの正面だったかな。日曜日の私の席の近くにはイリヤとジェフ、だったはず。すんごい端でしたがイリヤとジェフはそこそこ堪能できたかな…。

ステファンは着替えが間に合わなかったらしく、ラ・ヴァルスの衣装の上着を脱いでフィナーレ用の衣装のジャケットを引っかけただけの様子。胸全開。伐採もしておられない様子(汗)。ラ・ヴァルスの衣装の下はつなぎのようになっているらしく、大きく開いた背中に紐らしきものが見えた。ああ、ステファンの背中に舞台裏が。人間の世界と狂気の世界との境界線で演技していたあの存在は、神でも悪魔でもなくやはり人間なんだな、と現実に戻ってこれた瞬間でした(笑)。
周回になるともう帰ってしまう客がそこそこ見受けられました。日曜日は遠方からだとどうしてもそうなっちゃうのかもね。もったいないけど。
ジェフは満面の笑顔で回っていました。ジョニーはいつものようにお花の冠を貰ってました。

一芸大会ももちろんあり。順不同ですがこんな感じ。
鈴木さんと安藤さんによる片足を上げて体勢を低くする技。ハイドロでいいのかな?
アンサンブルスケーターさんによるブレードを持って回るデススパイラル。
アンサンブルスケーターさんによるバックフリップ。
ジェフはスピン、だったかな。ちょっとここはうろ覚え。

ジャンプ大会は祐奈ちゃんと真凜ちゃんも参加。織田君はたぶん4回転トゥループに挑戦して転倒、ハビエルも4回転トゥループだったかな?土日のどっちだったかは忘れちゃった。ステファンは土曜日だけだったけど4回転トゥループ。ほぼ成功と言っていいんじゃないか。ジャケットを脱いで本気で跳びに行ってました。
日曜日のステファンはジャンプはせずにジョニーをリフトしてました。相変わらず練習してるのねそれ(笑)。

入退場口に消えていくスケーター。ステファンはリンクに目をやりながらお礼を言って帰っていったように見えました。その背中を見届けると、神戸公演もすべて終了。個人的には幕張よりも充実した公演だったと思います。日曜日の席には参りましたけどね(血涙)。本当に見えづらかった…。ありゃないよ(泣)。フィナーレはあまりにも見えないから椅子に乗ってやろうかと本気で思ったくらいだったよ…。今後も神戸で開催されるのでしたら是非設営については再考をお願いします(泣)。

次回で最終回です。以下次号。