グランプリファイナルの記事は本日で最終回です。残すはエキシビション後半についての感想。ではでは、早速どうぞ。
※注記
お名前の前に★印のついている選手は、地上波でも放送のあった選手です。
エキシビション②
15:マリア・カザコワ&ゲオルギー・レヴィヤ
初めてお目にかかるのですが、ジョージアのアイスダンスカップルなんですね。音楽も衣装もジョージアのものなのかな。衣装すっごく素敵。女性の衣装もかっわいいけど、男性がこれだけ凝った衣装着てることあまりないから、ものすっごくカッコいい!素敵ー。いいなこのプログラム、また見る機会あったらいいな。
16:ダニエル・グラッセル
地元の大歓声を浴びて登場。競技のプログラムは個性的な印象がありましたが、このエキシビションは黒一色でシンプルな衣装。プログラムも渋め。ジェイソンも使ってた曲ですが、イメージがまた違いますね。
★17:アンナ・シェルバコワ
着物を脱ぎ捨ててからのイメージは侍だったのか。煽りに色々言う人はいますが、本人のインタビューなら貴重な情報源になると思うのですけどねえ。あんまり目くじら立てなくてもいいのでは…。
それにしてもキュートな侍である。彼女も柔軟性が凄いですよね。身体を反らして片足でスライディングしてくみたいな技、サラッとやってるけどすごい技術…。
18:アナスタシア・ミーシナ&アレクサンドル・ガリャモフ
ペアはもうホント、ロシアVS中国の2強だなあ。スロージャンプでは転倒してましたが、全体的に力強さと迫力があって、リンクが狭く見える気がしてきた。
ところで、リンクの端にカメラマンさんがいるよね、エキシビションの最初からずっと。あんなところに人がいるの初めて見た気がするんだけど…。
19:アレクサンドラ・ステパノワ&イワン・ブキン
このプログラムすっごい粋で好き…!滑りが深くて目が離せない。同じロシアの選手でも、ペアとアイスダンスでこんなに表現の方法って違うんだな、と続けて見るとよく分かる。シットポジションのツイズルも魅せますね。
20:ボーヤン・ジン
こんな優しいイメージの曲で滑る印象があまりなかったから、ボーヤンもこんな風に表現を広げていくようになったのね、と感慨深い。今回の男子は番狂わせが多かったから、ボーヤンが出られるとは思わなかったけど、カップ・オブ・チャイナで優勝したのは大きかったね。出られて良かった。
21:カーステン・ムーア=タワーズ&マイケル・マリナロ
エキシビションならではの技をガンガン入れてくるので、絶対お客さん楽しいよね。倒立体勢のリフトとかぶん回しとかホントカッコええ。そして二人ともすごく楽しそう。ハピネスが溢れてる感じ。意味不明ですが何となく伝わって…。
22:アリーナ・ザギトワ
あれ、演技流れなかったな。怪我でもしたのか、出演を辞退したみたい?無理しないで、また素晴らしい演技を見せてね。
23:マディソン・チョック&エヴァン・ベイツ
あー、チョックさんの衣装かわいー、何度見てもかわいー。二人でブーツ自慢しあってるような振り付けもかわいくて楽しいし、何よりチョックさんの手のひらで転がされてる感がすごくいい(笑)。
★24:羽生結弦
地上波は羽生君の演技の少し前にインタビューが流れたのだけど、これがかなり興味深い内容だった。
ショートの後のインタビューで、相手がネイサンでこの点差ではおそらくひっくり返せない、ということに羽生君は気付いているのだろう、という印象があったのです。いつもこんな時は逆転を狙って諦めなかった彼がこれだけ気弱に見えたのは初めてだった気がする。
それでも彼は真から負ける気はなかった。試合に勝てなくても自分の証を、と4回転アクセルに公式練習で挑戦したのか…。確かにコーチがいれば、試合で使う予定のないジャンプの練習などさせなかっただろう。成功こそ出来なかったが、あの4回転アクセルには誰もが驚愕したはずだ。
彼のオリンピックへのこだわりが相変わらず感じられたけど、今回は子供の頃プルシェンコや荒川さんを見て憧れた場所、というのも大きいのかな。このオタク気質というか中二病気質が羽生君のいいところよね…。
フリーの本人解説も流れたのだが、最初の2本のジャンプへのコメントが面白かった…。「シュッ!」とか「おめでとうございます」とか(笑)。将来稔系の解説者になるのだろうか(笑)。
さて、エキシビションの演技について。会場がイタリアなので、イタリア語で歌われていたノッテ・ステラータかな、と予想はしていたがビンゴ。平昌のエキシビションプログラムでもありましたしね。ここがトリノオリンピックの会場だということにかなりこだわっていたようだから、このセレクトは納得。
しかし、今シーズンはエキシビションプログラムを用意しないつもりだろうか。確かに過去のプログラムを演じても彼なら十分に喜ばれるだろうが…。それぞれの地でゆかりのあるプログラムを選んでいる印象。彼流の験担ぎかもしれない。今回は何だろう、とワクワクする楽しみがあっていいですね。
25歳になったばかりの、黒髪に白い肌をした美しい青年。時に少女のように儚くもあった、羽根を纏わせた白い衣装に身を包んだその姿からは少女の佇まいは消え、若い白鳥のしなやかな幻影が見えるようだった。
このプログラムは、羽生結弦という美しい宝石を、永遠にリンクに閉じ込めておくために知恵を絞って作られた傑作なのだと私は思っている。彼を愛した人々の手によって作り込まれたプログラムは、映像という形で、永遠に人類の宝となって残るのだ。以前にも似たようなことを書いたけれど、この度このプログラムを見ても、まったく同じ感想が浮かんできた。
ロマンチックな歌声とメロディ。星が降る夜に、その白い翼を大きく広げる白鳥。ゆったりとした曲調が、羽生君の技のひとつひとつを丁寧に見せる時間を与えてくれる。ビールマンスピンも久しぶりに披露してくれた。衣装に隠れて分かりづらいが、少年の頃に比べると羽生君も非常に筋肉のついた体つきに変わっている。あれだけ得意だったビールマンスピンを競技で見かけることはほとんど無くなった。それでもこうして、男子選手とは思えないほど足が高く上がった美しいスピンをまた見せてくれるのが嬉しい。
久しぶりに元気な体調で演じられたということもあるのだろう、とても余韻と余裕の感じられる、美しい演技だった。金メダリストとしてこれを披露したかっただろうから、多少彼の無念さのようなものも滲んでいた気がするが、それが少し翳りのある白鳥の姿となって、皮肉だがまた違った形で美しい。
羽生君のバラード系と言おうかロマンティック系と言おうか、とにかくそういう系統のエキシビションプログラムではこれがいちばん好きかもしれない。彼にこの曲を提案したタラソワさんに私は大感謝してます。私が死んだら葬式で流して欲しいくらいよ、この曲(笑)←人生で自分が主役になれる機会が葬式しか思い付きません
インタビューはエキシビションの演技後にも放送された。エキシビションを滑り終えた直後のインタビューなので、また内容が違う。
このインタビューの内容に、私は深みと、切なさとを覚えた。羽生君の人生計画は、平昌以前と平昌以降で大幅に変わってしまったのだろう。平昌までは彼の計画通りだったけど、平昌以降は彼も具体的なことがわからないまま進んでいるのではないか。
羽生君も25歳、選手としてはベテランもいいところで、かつて彼と切磋琢磨していた選手は多くが現役の舞台を去っている。おそらく具体的なゴールは決めず、彼が自分の心に納得ができたその瞬間に、いつでも決断できるようにという覚悟をどこかで持っているのかもしれない。
ただ、それを持ちながらも、彼は身体の許す限り、自分の限界を追い求めてしまうのではないか。その限界を突破するエネルギーを存分に与えてくれる存在も現れた。あの羽生君に戸惑いが見られるほどに、強敵だ。羽生君が、諦めてしまう可能性だって無いとは言えない。今回は彼にしては珍しく、かなり落ち込んでいるようにも見えたので。
それでも、羽生君はここで諦めることを良しとはしない気がする。ネイサンに、もしかしたらネイサン同様に実力を持ったライバルたちに、彼の求めるスケートで完勝するまで、そのあまりにも高い位置にある夢をその手にするまで、餓えた獣が穏やかな野に放たれて満足はしないだろうとも思った。
どのような選択を彼が行うにしろ、私は彼の決断をこれからも全面的に信じて応援していく。どんなフィクションよりも羽生結弦がいちばん面白い、これは私の中で確かである。私も、羽生君も人として形を残さなくなるであろう遠い未来に、羽生結弦という宝石が煌めいていた時代があったことを、ほんの僅かでもいいから伝えていくための礎になりたいと、私は思う。だから、彼から目を離す一瞬が惜しい。できる限りこぼさずに、その活躍を追っていきたい。
★25:ウェンジン・スイ&ツォン・ハン
あー、地上波流れないと思ってたので嬉しい…。本当に曲の流れるリズムが彼らの雄大で叙情的なスケートにピッタリで、何度見てもいいなこのプログラム、と感じます。北京オリンピックまで走っていく、そういう意味だったのか。彼らをオリンピックでまた見られると思うと楽しみで仕方ないです。
★26:アリョーナ・コストルナヤ
清楚なお嬢様風のプログラムから、渋さとパワフルさのある曲調まで、何でも滑りこなせるのな。あまり長くないプログラムなので、気が付いたら終わってしまっている。さりげなく三連続ジャンプも入れてるし、少女がステッキを使ったプログラムなんてただただ可愛いだけになりそうなのに、クールでシャープな世界観になってるあたりとかも、表現面で頭ひとつ抜けてるなあ、という印象。
★27:ガブリエラ・パパダキス&ギヨーム・シゼロン
ものすごく華麗で洗練された鬼ごっこ、という印象である。こんな神々が戯れるような鬼ごっこがあっていいのか。地上の人間の物語を見てるはずが、天界の神話を覗き見てるような気分にいつの間にかなってるのがもう…。リフトが無駄な力が入ってないとかいうの通り越して、空気が流れてるだけにしか見えないのとかもうとにかく凄い←意味不明ですが何となく伝わって…←本日2回目
★28:ネイサン・チェン
地上波は完全に寝てしまった…。どうもネイサンのエキシビションで寝ちゃうんですけど、たぶん時間的に最後の方だから瞼がもたないんですね。とほほ。
こういうアップテンポの男性ボーカルの曲滑らせたら今いちばん似合うスケーターかも。自由に滑ってるネイサンはこんなに上手いのね、と改めて分かるなあ。バックフリップまで入れちゃうとか、どんだけ運動神経いいんだ…。しかもバックフリップの姿勢がめっちゃ綺麗。
★フィナーレ
流れたのは少しだけ。カラフルなテープが天井から落ちてきたの?打ち上がったの?子供みたいにはしゃいだ様子でテープに手を伸ばして身体に巻き付ける羽生結弦25歳。中学生みたい。でも、ずっと変わらないでいて欲しいです。
以上。やれやれ、出場してる選手の数は少ないのに、なんかNHK杯より執筆に時間がかかってしまった気が…。とほほ。
グランプリシリーズが開催されている間がスケオタは1年でいちばん忙しいと思うので、やれやれこれで一息つけるわ、と私もホッとしております。たぶんまだ載せ切れていないジュニアのグランプリシリーズの記事が残ってると思いますが、それも載せ終われば、今シーズンのグランプリシリーズについてはこのブログにおいても完全に終了です。もしすべての記事にお付き合いくださった方がいらしたら、本当にありがとうございました。
来年の私がどうなっているかはまったくもって不明ですが、山羊座は12年に一度の幸運期に突入してるらしいし、何度かネタにしている手相鑑定によると来年の今頃はたぶんめちゃめちゃ幸せになってるはず。もうそう思い込んでおこう…。グランプリシリーズの感想を楽しく書けるような状況であって欲しいな。めちゃくちゃ仕事が忙しくなってて全然書けない、というのもアリかな、と思いますけど。
実は新しいパソコンがゲットできないとブログの更新が満足に出来なくなるので、来月あたりに突然更新が止まったらそういうことだと思っていただければ…。笑い事じゃなく死活問題なので何とかならないかと念じているのですけど、打つ手なし(泣)。困ったなあ…。
ではでは、また次回の記事でお会いしましょう。そして来年のグランプリシリーズで…!
「うさぎパイナップルnote分室」を開設しました。フィギュアスケート以外の話題は2018年9月よりこちらに集約させております。心の叫びや日々の呟き、小説から趣味の話、フィギュアスケートの話も時々、要するに何でもあり。週1、2回のペースで更新中なので、お気軽に遊びに来てくださいね。
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