うさぎパイナップル

主にフィギュアスケートの旅日記とテレビ観戦記とお題記事・ただ書き散らして生きていたい

四大陸選手権2020雑感⑩

長々と綴って参りました四大陸選手権の記事も本日で最終回。お付き合いいただいた皆様ありがとうございました。
本日の記事はたいへん長くなりますが、お時間のある時にでも目を通していただければたいへん嬉しく思います。

男子フリー③

第4グループ

6分間練習の曲、なんか楽しくて耳に残りますね。大会ごとに違うのか。それとも国ごと?
やはり注目は羽生君に向かう。オリンピックを連覇した押しも押されぬトップ選手だし、実は何故か今までずっと2位だった四大陸のタイトルもかかっているし。4回転ルッツ綺麗に降りてる。なんか顔の前で手をカッコいいポーズにして滑っていくのも見えたわ。でも本人は当然カッコつけてるわけじゃなくて、ものすごく集中しているのでしょうね。


19:キーガン・メッシング
キーガンの使ってる曲、そんな意味のある曲だったのか…。この曲の説明テロップすごく面白いから毎回やって…。
ものすごい勢いから非常に高い4回転トゥループ。素晴らしかったのですが、トリプルアクセルが2回抜けるなどキーガンらしくないミスが続いた。でもまるで氷を削る刃のようなハイドロブレーディングはめっちゃくちゃ魅せてくれました!


20:鍵山優真
鍵山君、絶対生で見た方がもっと良さのわかるスケーターだと思うのよ、織田君と同じタイプで。個人的な感想だけど。あああ試合見てえええ。
もちろん映像でもよくわかる。あの柔らかい膝で跳ぶ綺麗なジャンプ。少々ヒヤッとするように見えるジャンプでも綺麗に着氷させてしまう技術の高さ。最後にトリプルアクセルを入れてくる気の強さ。チャンピオンの器ですね。
彼を四大陸に派遣したスケート連盟の判断は正しかったということになりますね。彼にとっても非常に大きな収穫を得られたんじゃないかな。


21:チャ・ジュンファン
このプログラム、選曲がとてもいい。ジュンファンの甘いルックスが醸し出す王子感と、王子の胸に、若い青年の胸に燃える激しい炎とが共存しているようで。私はとても好きですね。
アクセルの助走は相変わらず長いけど、それすらも計算に入れたようにピッタリ音に合わせて跳ぶ2本目のアクセルに痺れた…。ノーミスの素晴らしい、本当に素晴らしい演技だったのですけど、得点が伸びなかったのは回転不足か。うーん、4つもあるのか…。彼はそこさえ何とかなれば表彰台の常連は間違いないのになあ…。


22:羽生結弦
既にある程度の量の情報を仕入れている状態で放送を見ているので、緊張感はほとんど残っていなかった。久しぶりに見られるSEIMEIに、ただワクワクしていた。いつも吐きそうなくらい緊張する羽生君の演技を、こんな風にワクワクと見られるのって貴重かも。

そうだ、SEIMEIの封印が解かれるのだ。メダリスト・オン・アイスでショーバージョンとして披露されてはいたが、再び競技の舞台に戻ってくるのである。羽生結弦の滑ってきた名プログラムの中でも、おそらく最も彼の特性を活かした、羽生結弦だからこそ成立するプログラム、SEIMEI。3年ほど前に散々語りまくった記事があるので(笑)、最後の方にこそっと貼っておきます。

戻ってくると一口に言うものの、実際には新しいプログラムと捉えるのが正しいかもしれない。何故なら、平昌のシーズン以降にルール変更が行われ、男子のフリーの演技時間は4分30秒から4分へ短縮されたからである。よって、削るところが何一つ無いように感じる程無駄なく美しく編曲され、繊細に丁寧に組み上げたプログラムを、30秒削った形で作り直さなければならないのだ。
バラードも衣装をはじめとして細かい変更は加えられていたと思うが、SEIMEIはいくらベースがあるとは言え、平昌とまったく同じように滑ることはルール上もうどうやっても出来ないのである。公式練習の様子からある程度の予測は出来たが、全容がはっきりする瞬間が楽しみでたまらなかった。

全日本選手権以降に急遽プログラムの変更を決断したという話だったかと思うが、その短期間でバラードの衣装がマイナーチェンジされていたように、SEIMEIの衣装も少し変更されていた。紫だった部分の一部が、鮮やかな萌黄色に変わっている。どことなく、お雛様やお内裏様をイメージさせた。バラードの衣装にも思ったが、季節で言えば春の印象が強い。色が変更されたのは生地の面積としては僅かな部分のはずなのに、随分と印象が変わる。

羽生君は本当にこのSEIMEIの衣装が良く似合う。和のイメージのプログラムを滑って欲しいと熱望していた私が、初期のSEIMEIの衣装を纏った、細部まで描き込まれた二次元の世界の登場人物のような羽生君の姿を目にした時の衝撃は、今も上手く言い表せない程強烈なものであった。絶対に名プログラムになると確信した程だ。
ファンタジー・オン・アイスの会場でSEIMEIを見た時に私がイメージしたのは、竹藪の中を疾走していく若く美しい陰陽師の少年の姿だった。鮮やかな緑の色に、その時のイメージを少しだけ思い出した。私の勝手な感想なのだけど。

さあ、いよいよリニューアルされたSEIMEIがベールを脱ぐ。一気に安倍晴明の世界に我々を引き込んでいく印象的な出だしは変わっていないように見えた。しかし、冒頭のジャンプは変更されている。そう、4回転ルッツに。
着氷が乱れてしまったが、アイスコープで測って欲しい抜群の高さ。闇夜に冷たく光る白い月を背に、魑魅魍魎の前に足音も無く降り立つ陰陽師の登場シーンのようだ。

続く4回転サルコウトリプルアクセルトリプルフリップの流れは圧巻。30秒尺が短くなった分、彼が削ったのはどうやら振付ではなくジャンプの助走だったらしい。そんな離れ業が可能なのは羽生君くらいのものなのだろう。解説の本田君も、後日あさチャンで織田君も触れていたが、そうそう出来るものではないらしい…。
あまりに助走が短すぎてさすがの羽生君も気が回らなかったのか、フリップにはアテンションがついていたが。フリップはあまり得意じゃないってオーサーが言ってたっけ。得意じゃないわりには助走レスで跳ぶとかいう超人技を…(汗)。

ステップは速報だとレベル4だったが、採点表は3。魑魅魍魎を業火で焼き尽くす燃える瞳の陰陽師の少年は、少し歳を重ねて妖しいオーラを纏うようになった、そんな風に感じた。

後半のジャンプはすべてコンビネーション。失敗が許されない構成はオリジンと同じのようだ。コンビネーションジャンプの最初の1本は4回転トゥループからのジャンプだったが、着氷が乱れる。おそらくその体勢からもコンビネーションに持っていこうとして、とっさにオイラートリプルサルコウの構成に変更したのだろう。とっさの判断で跳べるジャンプなのかどうかは素人の私にはわからないが、おそらく相当難しいのではないか。

もう1本、4回転トゥループからのコンビネーション。しかしこちらは転倒してしまい、コンビネーションに繋げられない。回転不足判定も下り、大きな失点。
最後のジャンプはトリプルアクセルからのコンビネーション。こちらはセカンドをトリプルトゥループにしてリカバリー。振り向きざまに予告もなく跳んでくるように見えるトリプルアクセルを、こんなプログラムの終盤でこれだけ鮮やかに跳んでしまえるとは。透き通る白い肌の美しい陰陽師の放った式神が、禍々しきものの身体の芯からその存在を無に帰していく。

最後のジャンプからスピンまでの曲が少しカットされているだろうか。曲のテンポも少しだけ早くなっているように聞こえる。それでも、印象的な振付の数々はほぼそのままに思える。今夜の魍魎退治の仕上げにかかる切れ長の瞳の晴明。
平昌のリンクでは力を振り絞っているように見えたコレオが、今日はずっと余裕に感じた。晴明ではなく羽生結弦が少し顔を覗かせるコレオ。スピンを回り終え、両手を広げる。調伏、完了。

短期間で構成を変えているのだから、完璧に滑れなかったのはある意味仕方のないことでもあったろうと思う。しかし、羽生君から感じるこの余裕は何だろう。この絶対的な安心感は何なのだろう。全日本選手権のフリーとは別人のようだ。そうか、このプログラムは既に羽生結弦の呼吸の一部なのだ。

個人的には、ジャンプの鬼・羽生結弦を堪能できるプログラムで、ミスはあったものの非常に満足感が高かった。削り取られた助走、咄嗟の判断で変更するコンビネーションジャンプ、息でもするかのように行われるリカバリー。この選手はジャンプの天才で、掛け値なしに能力の高いスポーツ選手なのだと改めて実感させられる。間違いなく、これは羽生結弦にしか出来ないプログラムだ。その日本人そのものであり、三次元離れした容姿や雰囲気とも相まって。

しかし、2年の時を経て再び競技のリンクに舞い降りた陰陽師は、これまで容赦なく闇に帰していた魔に、天に昇れる道も示し始めているように感じた。五芒星に焼かれた魑魅魍魎に呼び掛ける、闇からの声と天からの声。選択は委ねられている。陰陽師はその華麗な技に、神をも宿らせるようになったのかもしれない。

ジャンプのミスがいくつかあったので驚異的な点数になることはもちろんなかったが、それでも高得点が出る。ショートプログラムで大きく他を引き離しているので、優勝に王手をかけた状態ではあろうが、最後までまだわからない。彼が唯一手にしていないタイトルの行方は、これから滑るスケーターたちに委ねられた。


23:ボーヤン・ジン
4回転のパンクが2本。これで大幅に得点を失ってしまった。これが痛かった…。それ以外は大きなミスはかったのだけども。プログラムも全体的にぼやけた感じに思えました。一時期の不調は乗り越えたと思うけれど、まだ波があるのかな。
ルッツの高さがやはりえげつない。70cmオーバー。さらにアイスタッツの最高時速も30kmオーバー。そりゃ毎度毎度度肝を抜かれるわけだわ…。


24:ジェイソン・ブラウン
難易度の高いジャンプを序盤にまとめているプログラム。4回転はダブルに抜けてしまいましたが。
私は映画を見ていないから本当に勝手な想像なのだけど、ジェイソン動きのひとつひとつからいろんな場面が浮かんでくる。冷たく書類に判を押す事務官、頬に涙の流れるままに歩いていく背中。そんな場面は映画には無いかもしれないけど、情景が見えてくるように感じたのです。そこまで感じる演技はなかなか無いので、ひたすら見入ってしまいました。技術点のカウンターが一切目に入らなかった程です。コレオの加点すげえ…。


まだジュニアの鍵山君が3位。4回転が入らなかったジェイソンが2位。そして、ついに四大陸の王者となった羽生結弦が優勝。とてもいい演技の続いた大会でしたが、非常にドラマチックな表彰台という結果に行き着いたのではないでしょうか。フィギュアスケートの物語の筆をとっている神は、ストーリーテラーとしての才能をたいへん豊かに持っているらしい。

羽生君が本当に嬉しそうで、ホッとしてしまいました。もしここで彼の望まない結果が出ていたとしたら、彼は決して口にしないかもしれないけど、その繊細な心に大きなヒビが入ってしまっていたかもしれません。羽生君の決断におそらく間違いはないし、いい演技の続く大会こそ彼が最も楽しみ、実力を遺憾なく発揮できる場なのでしょうから、彼の納得のいく結果が得られたのは当然だったのかもしれないですね。
えっ、演技前にリンクに大きな穴を見つけて埋めてもらってたのか。それで集中が途切れてしまったっぽいけど、もっと集中してたら短期間の練習しかできなかったプログラムとは思えない出来になっていたのかな。それは今この場でなくていい、と神が手を置いたのでしょうか。羽生君、集中できると物凄いけど、その分そのレベルの集中を保つのが難しいタイプなのかもですね。人間そんなに集中できるもんじゃないしなあ。

表彰式でも楽しそうでしたね。3年前には「金が欲しい!金が!金くれ!」の名言を残した大会だもんね(笑)。ここまで続けて来て本当に良かった、良かったね…。
かわいいくまのぬいぐるみを話しかけるように見つめ、くまの足をわざわざ真っ直ぐにして抱え、小首をかしげて美少女のように微笑む羽生結弦氏は、さっきまで「なんかジャンプの変態がいるんですけどおおおおおお!」(※最上級の褒め言葉)と我々を恐れおののかせていた人物ととても同一人物には思えませんでした…。同一人物だけどね!あざとさにGOEがつけられるなら、我々は壊れるまで加点ボタンを叩くだろう…←震える声


しかしなあ、羽生君があんなに嬉しそうなのに、素直に「良かったね」が言えない人がこんなにいるんだなあ。アンチじゃないですよ、ファンの方。アンチもまあ、ある意味ファンみたいなものなんですけどね。

ジャッジを敵視して文句を言いたいなら、まずジャッジの資格くらい取ってきてからにしないと、たぶん誰も耳を傾けてくれないと思いますよ。そもそも、疑問点を正しく整理して、正確に質問することすら出来ないんじゃないですか?それなりの知識に基づいて根拠が挙げられないなら、「私はこう思うから私が正しい。その私の判断と違うから判定がおかしい。どういうことか説明しろ」って言ってるのと同じだと思うんですけど。あなたがある程度詳しい分野についてこんな質問してくる人物に出会ったら、果たして真面目に取り合って返答できる程あなたは優しいのだろうか。取り合わないんじゃないのかな、ねえ。そっくり同じことを自分がやってるって考えたら、恥ずかしくなってきませんか?

誰かのせいにしないと居ても立ってもいられない程不安なら、フィギュアスケート以外の趣味も持った方がいいんじゃないのかな。たぶん、どれだけ望んでも、あなたの思い通りになることはないと思いますよ。思い通りにならないからってそれなりの年齢の方が足をバタバタさせながら暴れてるのを見てあなたはどう思うのか。それはあなたの姿そのものであり、それは彼に希望を貰うとか芸術に触れて楽しむとかいった範疇を超えた、単なる依存でしかない。
まあ、もう時間をかけるしかないのかもしれないですね。何見ても楽しい境地まで到達すると、めっちゃストレスなく見られるよ。私のストレスはごくごく一部のファンだけです。たぶんそんな人こんなクソ長いブログ読まないと思うけど、勝手に目に入ってきちゃう場合が時々あるからさ。はあ。げっそり。


それにしても、エキシビションの放送が無かったのは残念極まりないです。ホープ&レガシーはなあ、私が死ぬ前に見たいプログラムの堂々1位に燦然と輝くプログラムなんだよ…。大好きなんだよおお…。頼む、見せろ見せてくれ…。今回ソウル行った人超勝ち組だと思うわ…。

「尺が無ければ助走を削ればいいじゃない」と心の中のアントワネットが呟き続ける大会でした。アントワネット、無理だから。それ阿修羅にならんと無理だから!←白目←意味不明

長い長い記事にお付き合いいただき、ありがとうございました。また次回の記事でお会いしましょう。そろそろ試合も少なくなってくるので、現在の週6回ペースから更新頻度は下げるかもしれませんが(はてなの更新が無い日はnoteが更新されてる、はず)、また遊びに来ていただけたら嬉しいです。


SEIMEIについて熱く語ってる記事はこちら※3年くらい前のやつです↓
usagipineapple.hatenablog.jp




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