うさぎパイナップル

主にフィギュアスケートの旅日記とテレビ観戦記とお題記事・ただ書き散らして生きていたい

全日本選手権2020雑感④

男子ショートプログラムの記事は今回で最終回。26番滑走を引いた26歳の感想が長すぎて死ぬほど中途半端なところから続きですがどうぞお許しください…。
今日の記事は長いので、のんびりとお付き合いいただければ幸いです(笑)。

男子ショートプログラム

第5グループ②

26:羽生結弦
そもそも全日本が無事開催されるかどうかも確信がなかったし、彼が出場するかどうかはさらに本当に直前までわからなかったので、私はあえてあまり考えないようにしていたのです。
今シーズンほとんど試合が行われていないことを考慮すると、今後の大会の代表に選出されるためには全日本への出場は必須。その状況下ではいかに彼でも出場するしかありませんが、彼が出場することによる人々の高揚や、それに伴って発生するかもしれない無茶等々に彼が人一倍警戒していることも見て取れました。彼自身が何よりもそれを見てきたのでしょうし、それが今回は「感染の拡大に繋がるかもしれない」という今最も恐れられている事態を呼び起こしかねないとあっては、慎重にならざるを得なかったでしょう。

実際には、それで何らかの問題が発生したとしても「病を人間が完全に撲滅することはおそらくはそもそもが不可能である」ということを考えに入れなければならないと思うのです。どんなに予防したところで絶対はない。
それだけのことであったとしても、もし問題が起きれば槍玉にあげられるのは彼やその関係者。彼の存在が非常に大きなものであるだけに、必要以上にバッシングが起きる可能性は非常に高い。「それはそもそもバッシングする方がおかしい」と考えられるほど大衆は賢くないのです。賢くないからと放置しておいてもいいとは私は全く思いませんけれども。

しかし同時に、彼は自分自身が「人々の希望になり得る」ことも知っている。知っていてそれを受け入れる器すら持っている。そして何よりも、一人の選手として彼は大会に出場しなければならない。もしかしたら彼自身も、人前で滑りたい気持ちがずっとあったかもしれない。ほかの選手たちと切磋琢磨する何よりも大きな場所に早くもう一度身を置きたいと願っていたかもしれない。

選手の紹介を続けるフジテレビのツイッターが彼を紹介するのはおそらく一番最後。その時まで待とう。その時までは決して騒がずに。
そしてその姿はツイッターに現れた。出場選手たちのPCR検査の結果を告げるニュースで出場はほぼ確信はしていたけれど、姿を目にするかしないかではやはり全く想いが違う。

早速テレビで流れるインタビュー。気がつけば四大陸から1年近くも経っていた。君が決断をするその時までいくらでも待つ、そうは思っていたけれど、こんなにも長く情報の海に溺れない期間が存在していたのか。私は常に情報を摂取していないと飽きてしまうようなタイプではなく、ぼんやり妄想をしているだけでいくらでも時間が経ってしまうので、気付いているようでいなかった。こんな性格だから何かを長く愛せるのかもしれませんけど。

そしてはたと気付く。うっすら噂は聞いていた、少なくともショートはジェフの振付による新プログラムらしいと。しかし、新しいのはショートもフリーもだというではないか。今シーズン初戦、しかもまったくもって初披露の新プログラムがふたつ。あんなに少なかった情報が完全にキャパオーバー。ダム決壊。盆と正月が一緒に来たようだ!!!!←錯乱

先に世の中に姿を現すはずのショートプログラムが少しずつベールを脱いでいくたびに、元々ほとんどなかった私の平常心は完全に崩壊しました。

『Let Me Entertain You』だと…!!
それは2年前の夏、プリンスアイスワールド広島公演で耳にした曲だった。オープニングに使われていた、つい一緒に踊りたくなるようなノリのいい曲。個人的に非常に思い出深い広島公演で、あの曲カッコ良かったなってこっそり気に入って、何度もこっそり聞いてた曲。まさにフィギュアスケートがきっかけで好きになった曲だった。
あの曲でまさか羽生君が滑るなんて。バージョンまで同じ。しかもあの曲なら絶対に観客のテンションは爆上げになる。爆上げどころかビッグハットを吹き飛ばすレベルに本人が観客を煽って来るだろう。きっとあの辺を使うはずだ。使って最高に俺様な煽りをしてくるはずだ。

そう、おそらくこれは私が待ち望んでいた「俺様系プログラム」のはず。過去にも書いているけど、私は10年前にまさにあのビッグハットで「ヴァーティゴ」と「フィナーレで羽生君が見せた超俺様オーラ(※勝手な感想です)」にやられたのがそもそもこうなった大元なのですよ。ヴァーティゴ系だったらどうする。命日になる予感しかしないんですけど。

前述したように配信は見られず、ネットで結果だけ追っていたけれど、衣装の写真や振付の情報が入ってくるともう平常心など銀河系の彼方。遺書書いた方がいいやつでは?ラオウの台詞練習しといた方がいいのでは?←北斗の拳がわからない人ごめんなさい

当然ながらライブで見てドキドキを味わいたかったけど、こうやって事前に小出しに情報を受け取っているくらいで良かったのかもしれない。こんなものをいきなり何の前情報もなく摂取していたら、私はこうやって記事を書くことなく聖なる夜を命日としていたことでしょう…。笑。

ついに演技が披露される。黒のジャケットに黒のパンツ。パンツのエナメルのような質感がまさにヴァーティゴで、これだけでもう動悸。髪はやはり上げるのか。北斗の拳のザコもこんなんだったらケンシロウにやられないのに←錯乱

真っ直ぐに跳び上がる4回転サルコウ。羽生君比で着氷は詰まっていたかもしれないがあの高さやシャープさはほぼ1年ぶりの試合とは思えない質である。4回転トゥループからタノのコンビネーションも問題なく決まる。やはり羽生君比では詰まっていたかもしれないが。
トリプルアクセルはもう質がどうこうというレベルでなしに、プログラムのいちばんの見せ場としてこの上ない存在感すら放っていた。あんなジャンプを跳んだあとにあの真っ直ぐで切れ味鋭い蹴り上げをぶっこんでくるあたり、我々の心臓を止める術は息をするように心得ていらっしゃるようですね(笑)。

しかし、熱狂の中でノリノリで回っていたスピンが何故か無得点。スケート関係者が様々な憶測をしていたけど、そんなに簡単にはわからないような判定だったのだろうか。最初のスピンもレベル3だった。
しかし、ラストのスピンなど「世界は羽生結弦のもの」とひれ伏すしかないような空間の支配ぶりであった。言ってしまえばただの回転技なのに。

うまい表現ではないかもしれないですけど、完璧に制御されたスポーツカーが、カーラジオから流れるロックに合わせて踊るようにハンドルを切って爆走してる、そんなイメージ。暴走しているようで実は走行ルートもハンドルを切るタイミングも何もかも計算され尽くしていて、それが最高にテンションの上がる音楽が空から降るように流れる中で行われているみたいな。
スピードと爆音と歓声の中で細胞が沸騰し、何が何だか分からなくなるまで乗客は興奮するけれど、その車を設計した運転手は至ってクールで何もかも計算済み。けどその歓声を聞いて不敵な笑みを浮かべるくらいには自信家の俺様。

声を出せていたなら、ビッグハットの天井が吹き飛んでしまうくらいの歓声が画面から聞こえてきたのだろうに。よくこれを見て観客は我慢できたものだ…。歓声があったなら羽生君の演技ももっと熱狂的なものになったかもしれないですね。
特にステップなんて、絶対使うと思っていた歌詞の辺りが使われていて、まさに煽られるためにあるようなものでしたし。叫びたかったでしょうねえ、お客さん…。代わりに私がテレビの前で踊っときました←いらん

はい、ずーっと待ってたやつでした。待ってたやつ!!!ロック!!!俺様!!!!
スターのイメージをなぞるというよりは、「俺様・羽生結弦」のプログラムが見たかったというのが本当のところなので、私が待ってたのはまさにこれです。彼もいつの間にやら20代後半(まったく見えませんがの…)、すっかり大人になって、少年の頃の「まだ世界の広さを知らない無敵な俺様感」は薄れましたが、逆に「落ち着きを得て制御された完璧に無敵な俺様」が誕生していて無事命日を迎えました。誕生したけど私は命日。羽生君のキシリトール電波時計形見分けに誰か貰ってくださいと言おうとしたところ「明日もフリーがある」という囁きによって蘇生してしまいました申し訳ありません←何この茶番

キスクラでは「楽しかった」って言ってたのか。誰か日本人のコーチが代わりに帯同するかと思ったけど、羽生君はキスクラでもひとりでした。
カナダに戻れずひとりで練習していたとは聞いたけど、遠隔で指導は受けられても当然それだけでは十分でなかっただろう体制で、よくここまで仕上げてきたなと感嘆するほかないです。特殊な状況下で、通常であればライバルを牽制するためなどの戦略を立てる必要もさほどなかったからでしょうか。

得点は100点超え。彼自身は不満そうでしたが、シーズン初戦とかコーチ不在とか初披露のプログラムとか諸々考えると十分すぎる出来。しかも得点発表後にスピンがひとつノーカンだったと知って、それなら十分点は出てるんじゃないかとやはり思いましたが、110点超えたりしてる人ですもんねえ、そういえば。

んでやっぱり歓声欲しかったんですね、だって「ワーワーキャーキャー言ってね」とかいつぞや言ってやがったし「上の方までちゃんと見えてます」的な「どこのスターの方ですか」的なこともどこかのショーで言ってた気がする。
「お前ら俺のこと好きなんだろ?ほらほらもっと声出せよこんなこともやってやるからよ!!」みたいなお方じゃないですか。今日もまたこんな悪い顔しやがって。どこでそんなの覚えたの、いや10年くらい前には既に見た気がするから天性のものだよたぶん。ひいいいい。ひいいいいいいい←発狂

けど、こういう「頭が空白になるまで熱狂できるプログラムで滑る羽生君」を我々は待っていたんじゃないでしょうか。彼も自分が人を楽しませる力の持ち主であること、希望になり得る存在であることを知っている。
羽生君はとても頭のいい人だと前々から思っているけれど、「頭の良さ」って定義が難しい概念だなとも思っています。学歴や成績も絶対ではないし。けどもちろんある程度の指標になることは疑いなくて、だからこそ学歴や経歴をコンプレックスにしている人からして見ればその指標を自分が持たないことが面白くない。学歴マウントという言葉がありますが、実際は逆のケースが多いのではないかと私は感じています。
羽生君の言葉にいつも感心させられるのは、彼の視点が高く視野が広いからで、頭の良さとは言い換えればその視点と視野なのかもしれない。人間は理解ができないものに対して恐怖心を抱き、抵抗してしまいがちですが、勉学等によって視点と視野を広げれば理解の範囲もまた広がっていく。頭がいいとは言えないということは理解の範囲が広がらないまま恐怖心を抱いているということなのかもしれない。そしてそういう人をなだめるために世の中の様々な労力が割かれているような気がしてしまう。それが正しいとは思わないけれども。
エンターテインメントやスポーツといった「ただ見て、感じるだけでいい世界」に羽生君のような本当に頭のいい人が今まさに存在していて、その舞台装置を適切に活用して表現を行うということは、理解の範囲を超えて人間に言葉や希望を届けることを可能にするのではなかろうか。だからこそのこのプログラムだったのかもしれない。自分の存在が、表現が誰かの希望になり得ることを知っているからこそ、彼はただ言葉を届けるだけではなく、こんな時だからこそ演技を届けようと思ったのかもしれない。もちろん、全日本が必須の大会であるということがいちばんの理由だろうけども。

あああ~、あと100回くらい見たいんですけど。全然咀嚼できてない今回の演技。あっという間過ぎて咀嚼しきれてない…。よってポエムというよりはただの狂気ですみません。え?いつものこと?まあそうですね、そうかもしれない…。
しかも狂気だけでこんな長文書いててますます正気の沙汰じゃないんですけど。もう情報量が多すぎて追いついてませんよ!!!ただでさえ1日に約60人分の演技見ながら感想書いて少ない脳細胞が酷使されて全滅状態なのにもう来世の分まで死滅したじゃんどうしてくれるの←意味不明

ライブで見られなかったおかげで多少は落ち着いていたので、結構すぐに切り替えてこのあとの大会も楽しめたので良かったと言っていいのか…。ほとんどの選手の感想は演技後すぐに書き上げており、あとからの作業はほぼ採点表をチェックして修正するだけですが、さすがにこの文章量は不可能なので、羽生君だけはいつも後日です(笑)。


27:山本草
4回転は手をつきましたが転倒はせずこらえた。コンビネーションも無理せず3回転に。最低限のミスで抑えてしっかりまとめて、ステップやスピン、プログラムの完成度でも魅せてきましたね。
この黒い瞳、ものすごく草太君のカッコよさを引き出してるプログラムだと思うので、いい演技を披露してくれると私も嬉しい。もう一段階ガーンと爆発させられるような気がする!!
なんかこの最終グループ、ひょっとしてテンション爆上げ系の曲が続く?もし声が出せる状況だったら、観客の叫び声でビッグハットが破壊されたんじゃないのかなこれ(笑)。


28:宇野昌磨
昌磨君ってホントに素直な子ですよねえ。素直に表情が顔に出て、楽しいと感じた試合はホントに楽しくて仕方ないんだろうなって。もう本当に裏表何にもないから素直にそれが受け止められるのよねこちらも。久々に試合ができて楽しかったんだろうなあ。
4回転フリップ!!シーズン初戦からかっ飛ばしてらっしゃるわ、楽しいのね…と感心しておりましたらコンビネーションの方は転倒。セカンドジャンプが跳べなかったので得点的には痛いけども、昔みたいにジャンプの得点が丸々なくなるわけではないのでまだ傷は浅いか。
何よりこのプログラム、普段抑えてる観客の欲求や感情を強制的に爆発させるみたいなプログラムなんですよね。昌磨君自身はそんな意味を曲に求めてなくて純粋に音に合わせて滑ってるだけに思えるんだけど、だからこその触媒としてのエネルギーが半端ない感じ。あの会場を巻き込む興奮は競技だとより演技者の力になるのではと思ったので、ショートに焼き直してくれて嬉しかったですねえ。

リンクサイドのステファンを捉えたカメラが(笑)。あの人に大人しく見てろっていうのは無理でしょうねえ…(笑)。次が高志郎君だからステファンはキスクラに座れないけども。
インタビューの様子も楽しそう、昌磨君。ほんとに面白い子だなあ…。


29:島田高志郎
宮本賢二振付のファイヤーダンス。これも初披露なんて。本来ならば恵まれた練習環境のはずの海外拠点のスケーターにこそ厳しいシーズンになってしまいましたねえ…。
サルコウはよくこらえましたね、ツルっと滑ってしまうかと思った…。コンビネーションは転倒してしまいましたし、本田君によるとスピンもひとつ無得点??ほんとだ、最後のスピン点が入ってない。そんなに悪い演技には見えなかったのだけど、思った以上に全体的に得点が入ってないな。うーん、なんか色々もったいない。
曲がかかるとバチっと演技に入って、いつもと全然違う高志郎君になるのがちょっとゾクッとするものがあって良かったし、パーフェクトな演技が見たいです!!
ステファン今度はキスクラに。マフラーどこかで見たことあるやつのようなないような。マスクから下がってる赤い紐みたいなの何?


30:友野一希
4回転2本入れてきた。2本目は転倒してしまいましたが、全体的な出来は悪くなかったように見えました。ステップなどもキレッキレだったのに、意外と点が伸びなかったなと思ったのですけど、細かいミスが多かったのか、回転不足とかレベルの取りこぼしとか…。ホントだ、qとかVとかあるな…。演技の迫力を純粋に楽しんでいる観客にはわかりにくい部分なんですけど、きっちり見てるジャッジというのは凄いものですね。


もう長すぎなので簡単にまとめますが、上位3人はほぼ予想通りですね。鍵山君の2位は快挙ですけども。まだまだフリー次第なところがありますので、明日も楽しみ。
夢中になって見ていたので、どうせぼっちクリスマスの私に知人がプレゼントしてくれた「鬼滅の刃シャンメリー」をラッパ飲みするの忘れてました(笑)。来年飲もうかな(笑)。

ではでは、次回は女子ショートプログラムの感想でお会いしましょう。




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