うさぎパイナップル

主にフィギュアスケートの旅日記とテレビ観戦記とお題記事・ただ書き散らして生きていたい

幸せをつなぎとめる纜

今週のお題「人生で一番高い買い物」


これはもう、「これまでこのはてなブログで散々記事にしてきたフィギュアスケート鑑賞及び観戦にかけた総額」ですね…。だいたい2010年から2017年までほぼ毎回遠征を伴って出掛けていたので、それはもう、薄給からどうやって捻り出していたのかというくらいの諭吉が死出の旅に…(汗)

ご存じの方はご存じかなと思いますが、フィギュアスケートというものはとにかくチケットが高いのです。地方の小さなイベントや大会なら無料で見られることも多いのですが、世界大会でも活躍するような人気選手が出演するショーはもちろんほぼ有料です。ショーや試合のために会場に氷を張らなければならないので、その分高額になるのかなと思います。
浅田真央さんが以前、日本の各地でアイスショーを開催しておられましたが、あれはほとんどが元々その時期に常設的にアイスリンクとして使われている会場で行われていたように思います。氷を張る費用がかからない分、チケットの値段が抑えられるからではないのかな。

ショーと試合を比較すると、基本的に試合のほうが安いです。世界的に見て、日本では試合のほうがファンには人気だそうですが、チケットの価格も影響しているのかなとなんとなく思います。それでも、そこそこの席で見ようとすると諭吉がひとり飛んでいったりします。
これがショーになると、そこそこの席で見ようとすると飛んでいく諭吉が二人になることもしばしばです。試合なら場合によっては10時間くらい会場で過ごすことになりますが、2、3時間のショーを見るのに諭吉が二人ですよ奥さん。

しかし、フィギュアスケートというのはその高い席から売れていく傾向にあるようです。だいたいどの会場も数種類の席が設けられているのですが、価格によって見えやすさに差があるのですね。
最も高額の席は大抵が最前列なのですが、最前列なので当然目の前に客がおらず視界は良好。しかも運が良ければスケーターからのアピールが貰えることも。表情などもはっきり見えます。席数も少ないことが多いので、当然のように最も競争率が高くなりがちです。

それから最前列より少し後ろのブロック、そのまた後ろのブロックと続き、いちばん安い席は会場の天井近くでスケーターの姿はマッチ棒くらいにしか見えないこともしばしば。もちろん表情などもよっぽど目が良くなければわからないでしょう。いちばん安い席ではなかったけど、目の前にリンクがなく、いちばんよく見えるのが舞台袖だったなんてことも。
価格によって、視界の良好さに明確に差があるので、高くても皆諭吉が数人飛んでいく席を選ぶのですね。
ただし、高ければ必ずしも視界良好かと問われればそうとは言い切れないのが難しいところで、確かに前の方だけど端っこ過ぎて目の前にリンクがなかったり、端っこで見にくいから近くの席の人がずっと前のめってて余計に見えなかったり、前の席の人が背が高かったりバナーを高々と上げていてろくに見えなかったり、なんてこともあれば、安い席なので上の方だけど、会場全体が見渡せて群舞のフォーメーションがわかりやすかったり、ジャッジが座る側の席なので小さくだけどスケーターのアピールがよく見えたり、特別に組まれたので段差が低く見にくいアリーナ席よりも、元々その会場の座席だったスタンド席のほうがきっちり段差がついていてよっぽど見やすかった、なんてこともあったりします。また、そもそも会場によって見やすさや音響に大きく違いがあることもしばしば。
要するに、運の要素もたいへん大きいわけですね。しかし、少しでも良い席が当たることを祈って、思わず高い方の席から買っちゃうわけですね(汗)。私は恥ずかしいので最前列は買ったことはありませんけども…。

おまけに、お目当てのスケーターが見られる時間は、ショーならオープニングとフィナーレ、個人の演技、ミニコーナー的なものに登場すればその時間と、ショーの時間が2時間30分だとすれば、おそらくすべて合わせても30分もないかもしれません。しかも怪我などの理由で急遽そのスケーターが出演しないことも。その場合も払い戻しはありません。
好きなスケーターが何人もいる、そもそもフィギュアスケートそのものが好き、という方ならチケット代は決して高くないのですが、ひとりだけが見たいという方には相当高額でしょう。

また、スケーターによっては公演によって滑るプログラムを変更することもあれば、各公演によって演技の出来不出来があることもしばしば。まだ何の情報もないまっさらな状態で見られる初演と、出演者たちの一体感が増した最終公演では楽しさのポイントも違い、両方味わいたくなることもしばしば。
その結果、つい何公演も購入してしまい、死出の旅に出る諭吉が増えていくのです…。

無料の試合やイベントを除くと、今までに払ったいちばん高いチケット代は22000円、いちばん安いのが3000円。最前列じゃないけどこのお値段です。安いのは試合の公式練習のチケットです。
ショーの立見席でも、そこそこの舞台やライブの前の方の席くらいするかもしれない。座れないのに。

おまけに、私の居住地域では滅多に大きな試合やショーは開催されません。どうしても見たいスケーターが出演するショーとなるとなおさら。
そのため、基本遠征が伴います。チケット代がかかるので、交通機関やホテル、観光や食事に回すお金はよく考えなければとても足りません。おまけに、場所によっては早めに動かないと利便性のいいホテルは取れません。私は謙遜でも冗談でもなく本当に薄給の上、そこから学費の返済もしていてさらに実家から独立してひとりで暮らしていたので、家計簿を自作して1円単位で支出をシミュレーションし、ホテルや交通機関の情報に目を光らせていなければ、とても出向くことはできませんでした。3年で12kg痩せました(笑)。
もしもう少し生活に余裕があれば、交通機関や観光にもっと予算を回していたので、かかった金額はもっと増えていたことになりますね(汗)。

家庭が貧しかったり両親が多忙だったりで、ごく幼い頃を除いてほとんど旅行にも連れて行って貰ったことがないなど、経験をお金で買うという行為が難しかったので、大人になって狂ったようにそれをやっていたような気がします。子供の頃の趣味は貯金だった人間なので、本当は貯金したかったんですけど(笑)、貯金に回せるほど収入がなかった、というのが正しいです。そうでなければ、ある程度貯金を作った上でショーや試合に出向いていたはず。
お金を回すのは得意なんですよね。けど稼ぐのが苦手なんですよ(泣)。そこそこの家庭の主婦にでもなっていれば、賢く切り盛りしたであろうと思われますが、そういう道にも辿り着けませんでしたね。何をやってもうまくいかないんですよねえ。やっとうまくいくようになったと安心すると、不可抗力で事態がひっくり返されてしまう、の繰り返し。

繰り返した結果、もう何年も、コロナに関係なく試合やショーには行っていません。近くで行われた無料の大会くらいです。体調不良を抱えながら働くのが厳しく、生活していくのも難しくなってきたからです。もう、あの眩しい世界とは無縁のままで生きるのだろうなと諦めています。
色々生きていくのが大変だったので、大好きなスケーターたちが見せてくれる夢の世界は、私が人生を投げ出さないための纜だったのですよね。陸への戻り方がわからず、真っ暗な大荒れの海でずっと揺られているような感じです。

それでも、必要経費をシミュレーションするのは大変だったけど(笑)、その日にしかないものをその場で目に焼き付けるために全力を注いだことに悔いはないです。世界中で人気のあのスケーターも最初からずっと出ている大人気のあのショーに、当日券でも入れた時代を覚えていられるのは、映像も残っていないであろう演技のひとつひとつを覚えていられるのは、それらを文字にしてこのはてなの中に残すことができたのは、本当に好きなものを全力で追いかけたからこそなので。

今はもっとチケット代は上がっていると思います。決して安いチケットではないですし、競争率も高いことが多いですが、自分の目と耳と肌とで味わうフィギュアスケートは最高に楽しいですよ。あなたもいつか、その楽しさに巡り会ってくださったらいいな、と願っています。



「うさぎパイナップルnote分室」を開設しました。フィギュアスケート以外の話題は2018年9月よりこちらに集約させております。心の叫びや日々の呟き、小説から趣味の話、フィギュアスケートの話も時々、要するに何でもあり。タロット鑑定についてもこちらに書いております。週2、3回のペースで更新中なので、お気軽に遊びに来てくださいね。
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