うさぎパイナップル

主にフィギュアスケートの旅日記とテレビ観戦記とお題記事・ただ書き散らして生きていたい

プロローグ雑感

まさかの地上波放送にびっくりでした。地域的に、野球中継が行われると華麗に一部地域に該当しそうだったのですが、中継が他局だったので無事に視聴することができました。普段は野球中継楽しみにしてるんですけどね、今回だけはかぶらなくて良かった。

そんなわけで、羽生結弦氏単独のアイスショー『プロローグ』。実はまったくの初見です。ええ、まさかの今の今までまったく見られなかった民がここにおります…。
ぎりぎりで生きてる人間にとって、試合で見られないということはもう一切演技を見られないに等しいということなんですよね。これまで競技もショーもさほど見に行ってた様子がないのに、急に引退後(あえてこの言い方をしますが)にガンガン課金をするようになった層も見かけたりしますが、飢餓感からなんだろうなあと思いました。でも、それができないからってファンではないということにはないと思うのですけどね…。あと、引退後にファンを離れてもそれ本人の自由ですよね。色々見かけてもやもや。うーん、まあいいや。

色々思うことはありますが、放送は純粋に楽しみましょう。てなわけで以下、感想です。


★6分間練習
話には聞いてたけど、面白い演出ですよね。彼ひとりの公演だからこそ可能な演出なのですけど、ありそうでなかったから面白い。彼の中では自分はまだ選手、という位置づけの確認作業でもあるのかなあ。


★SEIMEI
彼のマスターピースですね。6分間練習後に滑りたい気持ちもわかる。何度見ても名作…。


★Change
ジュニア時代のプログラムでしたっけ。たぶん生で見たことあるんだけど、どれくらいぶりかなこれ見るの。曲聞いてて、ああそうだ、これだこれだ、って思い出す。覚えてるもんだよねえ。

今改めて見ると、ジュニアのちょっと可愛い感じも振付の端々に残しつつ、青年の落ち着きが出ていてすごくいいなと思った。三味線の音色が彼にぴったりで。和のテイストはもちろん言うまでもないけど、力強さが楽器の音にそもそもあって、それが彼の身体にピタリと馴染んで離れなくて。今回のショーでこのプログラムがいちばん良かったかもしれない。


★オトナル
会場にいるファンからのリクエストがいちばん多かったってことで滑ってたような?
そう言えば、プログラムを丸々滑ってしまうわけではないのね。ひとりで休憩もなしで多数のプログラムって、一体どうしてるんだって思ってたけど、なるほどそういうことか。でもそうでもないとさすがに本人が大変過ぎるよねえ。


★シング・シング・シング
精霊とか魔王とかいった感じの曲が多いから、ジャズで滑るの見られるの珍しい気がする。またこういうジャズ系統のプログラムもやってほしいですね、盛り上がるでしょうし大人だからこその小洒落た感じも出せそうで。
これもビールマン入れてる、もう当分見てなかったから嬉しい。羽生君の代名詞的なスピンでしたものね。もう30近いのにまだビールマンできるのすごいな…。


★悲愴
氷に情熱を叩きつけるような演技をしていた、あの頃の彼を思い出した。これが彼なんだ、と久しぶりに少しゾクッとした。大人になっていく過程で彼がコントロールしてしまった激情。もう見られないであろう(彼に引退したつもりはなくても競技の場にいないことは事実なので)それを、ほんの少しでも感じられた気がして。
でも彼がここで伝えたかったのは震災のことだから、この感想的外れだなと思うんですけどなやっぱ置いときたいと思ったので置かせてください。


ロミオとジュリエット
競技の映像から繋がるように中盤から滑るのか、よく考えてある。振り返り映像含めてそれらが流れてる間に息整えて着替えて出てこられますもんね。
やっぱ羽生君と言えばこれなのよ。このプログラムなのよ。個人的にそれを思ったのはもうちょい前だけど、本格的に「あ、この子ヤベエ」と思ったのはやっぱ世界選手権の演技だもん、このプログラムの。あれは今後彼の人生が映画化なり舞台化なりされた時にも外せないであろう。
少年の向こう見ずさみたいなものはもう無いかもだけど、やっぱ彼だなあという感じがやっぱいいなと思った。そして今日何度目だビールマン。これさり気なくキツそう(笑)


★いつか終わる夢
メイキング映像で、あれ、これあの曲だよね?タイトル出てこない…と思ってたけど、ああああそうだよ、ファイナルファンタジー!ユウナとか出てたやつ!続編がこの曲とは正反対のハジけたギャルゲーみたいになってたやつ←意味不明
世代的に遊んでそうですよねご本人。
プロジェクションマッピングが美しい。元々ゲームの曲ということもあってこういう演出が余計に違和感ない気がする。
ゲームの曲はひそかな名曲も結構隠れてると思うので、ゲーマーなスケーターが発掘して滑ってくれることを今後も期待。


★春よ、来い
こちらもプロジェクションマッピングで。見るたびに印象の違う曲だけど、こうして見るとさらに幻想感があっていいな。ジャンプの着地でぱっと花が散るような演出めちゃめちゃ良い…。
ラストの方も花びらが散ってる感じの映像なら儚くて良かったと個人的には思うけど、散らずに咲いてるお花の方がメッセージとしては適してますよね。人魚姫の悲惨なラストが好きな幼児だった人間なので、すぐ悲劇に走ってすみません!(笑)
このプログラムは羽生君にしか滑れないという印象を久しぶりに見て改めて感じたなあ。「人間かどうかわからない羽生君」の極致と言いますか。


★パリの散歩道
羽生君の知名度を一気に押し上げたプログラムですよね。…すみません、中途半端に書いたまま1ヶ月くらい記事を放置していたので、見たものを既に覚えてない(泣)。


こうして見て行くと、意外と初期のプログラムが多い感じ?彼のこれまでの足跡を辿っていくとそうなるのでしょうか。

あと、ショー全体を通して感じたことだけど、このショーはある意味での「実験」だったのかなと思った。ここで色々試してみたことを、後のショーに改良して活かしていくという目的もありそうだなと思いながら見てました。あまり見たことないタイプのショーだし、彼の方も試行錯誤の場が必要でしょうしね。

彼しか滑らないということで彼のファンしか見に来てなかったと思うけど、実験の場ならそれはアリかなと思う。ただ、彼がこの先も、彼のファンのためだけにしか滑らないのなら、それはあまりにももったいないと思った。彼の演技にあるものは、そんな小さな世界の中だけにとどめておいていいものじゃないと思うのです。
競技の世界にいたときには、それは誰にでも触れられるものに近かったけど(そういう意味でもオリンピックって意義のある大会なんだと思った)競技を離れたら特定の、わざわざ能動的に見たいと考えて労力をかける人にしか触れられなくなってしまう。そうなると、熱狂的なファンは見たものすべてを肯定するだろうけど、それが果たして彼のスケーターとしての光を増す要因になるのだろうか、と少し冷静に見ています。彼のことだから心配はいらないと思うけど。
けど、正直、こうして彼のことを語るのは勇気が必要になってしまっていて、「そんなファン」の山程いる世界で今後も「羽生結弦というコンテンツ」を楽しむ自信がなくなってきています。そんな人一部だと思うんだけどね。

兎にも角にも、貴重な機会をありがとうございました。この先、彼の演技を見る機会が私にあるかどうか、もうわからないので…。趣味にかけられる予算がね、本当に1円もないですよ…。切ない。


ではでは、また次回の記事でお会いしましょう。