うさぎパイナップル

主にフィギュアスケートの旅日記とテレビ観戦記とお題記事・ただ書き散らして生きていたい

All Japan Medalist on Ice 2013②

※この記事は昔書いたものを修正して今更載せています。詳細についてはこちらをご覧ください↓

usagipineapple.hatenablog.jp

 

さて、迎えた12月21日。この日が来るのが恐ろしかったような、待ち遠しかったような。
オリンピック代表が最終的に決まる運命の試合、全日本選手権がこの日から開始。
21日だけは直前までチケットを売っていたのですが、22日と23日がどうしようもなく取れないので、ギリギリまで悩んだけど家で見ることにしました。埼玉のホテルはもう全然空きがなかったし、東京は長居するには宿泊費が高いし。25日が休めることになったのも20日に決まったし、もういろいろ直前過ぎて動けなかった…。

でも無理してでも行けば良かったかな、とちょっと後悔もしています。競技が非常に見応えがあったのと、
某スイス人が3日間観戦していたからである。全日本選手権を。スイス人が。

今年の夏、ノービスからシニアまで、数多くの日本人スケーターの指導にあたった某スイス人。彼らの成果を見たいから応援に行く、と言っていたのは聞いていたけれど。
まさか初日の、男子の第1グループから見てるとか。どんだけ。ただのスケートファンだろお前。どんだけ熱いのお前。どんだけ←エンドレス

会場で観戦されているステファンのファン仲間・Aさんに奴の観察をお願いして(笑)、私は肉じゃがを作ってテレビの前で応援。懸賞でじゃがいもが27個も当たった上にご好意でニンジンやタマネギもいただいたので肉さえ買えば肉じゃが作り放題。そう言えばステファンにお弁当用に作った肉じゃが食べられる変な夢見たなあ(笑)とか思いながら友達の新婚旅行土産のスイスのピーラーでじゃがいもを剥きまくり。しかも高橋君が食べてたのにステファンにあげちゃうんだよねその肉じゃが弁当。高橋君ごめん(笑)。てかわけわからん夢ばっか見るなよお前(笑)

初日はペア・アイスダンス・男子シングルのショートプログラムアイスダンスショートダンスか。
生放送だったおかげで、変な煽りもなく淡々と進んでフジテレビにしては珍しく良い放送だったと思います。何より結果をまったく知らない状態で見られるから緊張感が全然違うし、録画放送ならカットされてしまう選手もちゃんと映るのがとても嬉しかった。放送は最後の2グループ、12人だけだったけど、それでも普段の放送より断然マシ。

第4グループの第1滑走、町田君からの放送でしたが、もうここから既にすごかった。すごい大会だった。なんという素晴らしいショートプログラム。これが本当にあの町田君なんだろうか。いきなり涙が止まらなくなる私←早っ

実は全日本までには何とか、と一念発起して、「エデンの東」文庫版全4巻を読破してから今回の視聴に臨みました。ノーベル賞作家・スタインベックの残した長編小説、エデンの東ジェームズ・ディーンが出演した映画がとても有名ですが、あれは小説の終盤だけを映画化しているらしいです。
さすがにノーベル賞作家。長い作品ですが全然飽きずに読めました。結構なページ数を割いて物語の舞台であるサリーナスの情景が冒頭で綴られるのですが、この冒頭部分で「あ、これは最後まで読み切れる」と確信しました。やはり昔の作家は文章に力がある。筋立てや謎が面白い作品は現在でもたくさんあるけれど、それなら小説の形でなくても映画や漫画で十分、と思うことが多々あります。小説が小説たる所以は文章そのものなのであって、いかに文章を味わえるかが小説を読む醍醐味ではないかと思うのですが、それは昔の、いわゆる名作で感じられることの方がずっと多いなあ、というのが近年の感想です。そんな当たり前のことに今更気付いたと言いますか。

この「エデンの東」の文章も、厚みや深みを持つ示唆に富んだものであり、それは作品そのものにも表れていました。聖書をモチーフにした話、と書くと我々日本人には理解しがたい作品のように感じられますが、まったくそんなことはなく、「人はただ愛されたい生き物である」という普遍的なテーマを扱っており(と、私は感じた)国籍や世代を越えて読める作品だと思いました。特に、物語の重要な鍵である「ティムシェル」という言葉。初めて町田君がそれを口にするのを聞いた時は「何その呪文(笑)どうしちゃったの町田君(笑)」なんて言ってたけど、

すみませんでした!心底すみませんでした(泣)!お詫びに私も座右の銘をティムシェルにする←結構本気

「ティムシェル」の解釈には諸説あるらしいのですが、町田君は「自分の運命は自分で切り開く」という意味にとらえ、オリンピックを目指すモチベーションにしていましたね。私は「人の運命は神によってすべてを定められているわけではない。自分の道を自分で決める権利を人は与えられている」ということだととらえました。この世界と人間を創ったのは神だけど、その世界で生きていくのは人間自身。人は自分の置かれた状況の原因を他者に求めてしまいがちだけど、本当に運命を形作っていくのは実は自分自身。自分の意思で生きているのだから、自分の運命には自分が責任を持たなくてはならない。どうしようもない、と嘆くのではなく。今、この世界で生きているのは、ほかならぬ自分自身なのだから。
…深い、深いよティムシェル。私のこの解釈は的外れかもしれないが、それでも深いよティムシェル。もっと若い時に読んでいたらもっと衝撃を受けていただろうと思ったので、町田君の年齢ならそれは強く影響を与えられたことでしょう。

こうして予備知識を得てから改めて見た町田君の全日本の演技は、アメリカの大地を吹き抜ける風や、その大地で葛藤し、翻弄されながらも続くトラスク家とハミルトン家の3世代に渡る物語が、2分40秒という短い時間の中に凝縮されていて、そしてそれが初めてわかって、今までで一番感動しました。番組が始まったばかりなのにもう涙が溢れて困った。映画の内容や歌の歌詞を表現しようとするスケーターは多いけど、本の内容をスケートで表そうとした人はあまりいなかった気がします。
もちろんそれは技術に裏打ちされてのことで、すっかり失敗する気配のなくなった美しいジャンプを次々と成功させ、精一杯心を込めて滑っている町田君の姿は、本当に昨年までとは別人のようで、感慨深さで涙はさらに溢れました。会場行ってたらヤバかったなこれ。号泣だったなきっと。

相変わらずイケメンの中村健人君や、村上大介君を久々に見られて嬉しかった。全日本くらいでしか映らないもんな(泣)

最終グループはもう胃が痛くて胃が痛くて(泣)。羽生君は予想通りぶっちぎりだったけど、高橋君…。キス&クライで見せた表情には本気で胸が痛かった。いつも良くない演技のあとは舌を出して苦笑いしている高橋君が、あんな捨てられた子供みたいな打ちひしがれた顔をするなんて…。足も痛いのだろうし、何よりオリンピックに出られないかもしれないという現実があまりにも重くのしかかってきたのだろう。虚ろな眼差しが痛々しすぎて、とても見ていられなかったです…

織田君も相変わらずいい調子だし、さらにずっと不調だった小塚君が3位につけたことでますます混迷を極めるオリンピック代表選考。そんな中、ツイッターで悲痛な願いを呟いてた(泣)佐々木彰生君が最終滑走。ある意味トリにふさわしい方でした(笑)。君も全日本くらいでしか映らないもんねえ(泣)。私は帰らなくていいからしっかり見たよ、テレビだけどね(泣)。
確か佐々木君の前に滑った子もなかなか上手いと思いました。坪井君だっけ?

ちなみに某スイス人は、客席と同化する黒い服を着て、安藤さんやいろんな人としゃべりまくって、やっぱりバレバレでサイン攻めにあっていたとのこと。何満喫してんのアンタ…

以下次号。