うさぎパイナップル

主にフィギュアスケートの旅日記とテレビ観戦記とお題記事・ただ書き散らして生きていたい

NHK杯2015雑感②

昨日に続き、昔書いた文章発掘シリーズです。2015年に書いた文であり今年のNHK杯の内容ではないのでお気をつけください。プログラムは一緒だけど細部は全然違うからわかるか…、うん。
ではでは、以下をどうぞ↓↓↓↓↓



明けて11月28日。この日はどうしても生放送で見たかったので、休みを交代してもらってました。体調も良くなかったので休みにしてもらえたのは心底有り難かったです。
昨日の衝撃が醒めやらないものの、体調のよろしくなさもなかなかのもので、放送開始まではほとんど寝てました。でも放送時間までにどうにか落ち着いて全力でテレビの前で待機。第1グループから全員生放送で見られるなんてNHK、そして生放送ならでは。なのでNHK杯の3日間は全日休みたいと毎年思ってます。まあ無理なんですけども(泣)

第1グループは何と言っても田中刑事君の素晴らしい演技。最終滑走があの化け物じゃなければ刑事君のことをもっと語りたいところですが、化け物の衝撃が凄まじすぎるので割愛します。刑事君ごめんね(泣)。テレビの前で思いっ切り拍手したよ。
第2グループの6分間練習はニュースが流れたためろくに放送されませんでしたが、羽生君の調子は悪くなさそう。振付の良し悪しがわからないほどジャンプが壊滅的だったミハル(フリーの振付はステファンだったんだ…)、表彰台ならファイナル確定だったはずのコフトゥンなどが次々撃沈したためじわじわ順位の上がる刑事君(最終的には4つ上げて5位!立派!)や無良君の表彰台に喜んだり、シニア最初のシーズンで266点出してる(十分すごい点です!)ボーヤンにびっくりしたり、羽生君密着カメラがTシャツを脱ぐ羽生君の背中を映す放送事故(汗)があったり(しかもカメラの前におっさんが立ちふさがって羽生君を隠す←笑)とかなんとかしているうちに羽生君の番に。

どんなに強い選手でも演技の前は見ている方も緊張します。テレビの前で正座して、祈りながら羽生君の息の音で始まる演技を見つめました。
4回転サルコウ、4回転トゥループトリプルフリップまでは冷静に見る。いちばん陰陽師らしさが出てると思うステップも冷静に見る。しかし後半に入ってからの4回転ー3回転のトゥループのコンビネーション。ここで、ここでこれを決めてしまうなんて!今まで演技に組み込んでいなかった(はず。違ってたらすみません)このジャンプを!しかもこれほどクリーンに…。
思わず声と涙が出てきた。トリプルアクセルとダブルトゥループのコンビネーション。息をするように自然で鮮やか。なんとジャッジ全員がGOE3点をつけた、つまり満点だったジャンプ。これについて言及していた情報番組はたぶんスッキリだけだったけど、4回転3本成功以上にもしかしたら偉大な記録かもしれません。満点なんてそうそう出ないよ。4回転3本成功させた選手はこれまでにもいるけどね。
さらにトリプルアクセル、シングルループ、トリプルサルコウのコンビネーション。羽生君だから簡単そうに見えるけどこれも無茶苦茶難しいらしいよ。トリプルアクセルについてはショートでも触れた通りほぼ心配はしてなかったが、トリプルループでも思わず声が出て、最後のトリプルルッツで本格的に泣き出す。羽生君はルッツで転倒することが多いので、いちばん心配だったのです。会場もそういう空気だったと羽生君も言ってたけど、むっちゃくちゃわかる(笑)
ルッツから間髪入れずスピン、コレオステップと畳みかけるように流れ、フィニッシュ。いつもの阿修羅かと思ったら笑顔。鬼神ではなく羽生結弦の笑顔。力強く振り下ろすガッツポーズ。涙が止まらない自分。
300点を超えたことはもう疑いなかったけど、そんなことどうでも良かった。羽生君がフリーをノーミスしたのはシニアの大会に出るようになってからは初めてではないのか?少なくとも私は記憶がない。全部の試合を見られている訳ではないので、記憶違いだったらごめんなさい。羽生君が陰陽師を滑ると聞いた時、待ち望んでいたことの実現に私は狂喜した。和風のプログラムを競技で滑って欲しいとずっと思っていたのだ。アイスショーで見たショーバージョンの陰陽師は、競技で完璧に滑ったらどれほど驚異的な作品になるかいやが上にも期待させる非常に魅力的なプログラムだった。その「完璧」を見ることができたのである。それだけでも私は満足だった。

得点発表。会場の悲鳴で発表の声がかき消される。フリー216.07。合計322.40。ショートの点はある程度予測できていたのか冷静だった羽生君も顔を手で覆って驚くほどの驚異的な点数。
これまでのフリーと総合の最高記録を持っていたのはパトリック・チャン。彼はカナダの国内大会で総合300点を超えたこともあったのですが、国内大会なので参考記録にしかならず、公式には彼が国際大会で出した295点が最高でした。フリーもこれまでに200点を超えたことはなかったはず。それなのに、いきなり216点。総合だって夢の300点超えと言われていたものが、はるかに凌駕する322点。実に30点近く更新するというもはや有り得ないレベルの偉業。2位のボーヤンとは実に56点差。普通はボーヤンくらいの点を出せば十分優勝圏内なのに…。羽生君が完璧に滑れば誰も叶わないのではと思ってはいたけれど、それが得点に如実に表れたのである。涙が止まらない。

ヒーローインタビュー。客席に感謝を述べた後、カメラに向かって「テレビの前の皆さんもありがとう」的なことを満面の笑顔で語りかける羽生君。号泣。頷きながら「頑張ったね」と呟く私。この日私が発した言葉これだけ。次の日風邪気味で声がおかしいことに初めて気付きました←孤独過ぎ(笑)
こんな嬉しそうな羽生君どれくらいぶりだろう。長野と名古屋を言い間違えて「間違えました、テンション上がってますね私」とか何とかオタクの喋り方が出ちゃってる羽生君に笑ってしまう。詳しくは割愛するけどあの子スケートやってなかったらたぶんただのハイスペックなオタクだったと思います(笑)

表彰式、ウイニングラン。織田君に花束を渡す羽生君の様子に微笑ましいものを感じているうちに番組終了。昨年のNHK杯では4位に終わり、涙目でインタビューに答えたり、寂しそうな切なそうな、小さな子供がじっと悔し涙をこらえているような佇まいで表彰式を見つめていた羽生君を思い出し、また涙が出てきた。その時の得点とは実に100点近くの差。彼の今回の演技がどれほど驚異的なものだったかはこういう点においてもハッキリしていると言っていいだろう。

今回の演技がどのように素晴らしかったのかは、ワイドショーのように4回転ジャンプだけを取り上げていては決して伝わらない。すべての技にGOEでプラスの評価が下され、演技構成点も満点に近い97点台を叩き出した。難易度の高いジャンプを次々挑んでくる選手ならほかにもいる。だが、非常に難易度の高い構成を、作品としての完成度を損なうことなく滑りきった選手は新採点法の時代になってからは男子シングルの選手では彼が初めてではないのか。そこに大きな価値があるのだ。
しかもこのプログラムのテーマは陰陽師という日本人でも説明に困窮するような非常に日本的なものである。使用されているのは映画音楽なのでそれほど取っ付きにくさはなかったのかもしれないが、それでもこのテーマをジャッジが理解するのは厳しかったはずだ。私はその点を心配していたし、同じ心配があるからこそ羽生君陣営も今シーズンに挑戦したのだろう。しかし彼は97点という高得点を叩き出した。非常に日本人らしい容姿に少年のような身軽さ、まるで二次元作品のような雰囲気、そして時に観客を戦慄させるほどの彼の激情を表に出しても違和感のない陰陽師という題材。このプログラムはこれ以上ないくらい羽生君の特性を活かしている。たとえ陰陽師が何者かわからなくても引き込まれてしまうのだ。そしてその表現は高い技術に裏打ちされたゆえのものである。ジャッジも認めるしかなかったのではないか。

長野に行かなかったことを私は一生後悔するだろう。今死んだらこれを後悔しながら息絶えると思う。けどほかの嫌なことすべてを思い出すことなく「でもチケット取れたかわかんねーじゃん、バッカで」とか思ってるうちに死ぬんだったら逆に幸せかもしれない(笑)
それに、NHK杯だったおかげで、日本中がこの歴史的瞬間を生で視聴することができた功績は大きい。ずっとフィギュアスケートを見てきて良かった。どれほど価値のある演技だったか理解できるほどには知識があって良かった。感無量です。プロトコル印刷して家に飾りたいくらいだ。あんなプロトコルこの先見られるのか?織田君のセリフ通り「神が誕生しました」ですよ。

でも、今回が天井ではないと思わせるのが羽生結弦という選手の面白さだ。きっと彼はこの自分の点を超えようとしてくるだろう。そしてまた「久しぶりの世界記録更新ですけど」などと普通は人生で何度も言えないはずのセリフを吐いてしまうのだろうか(笑)。彼は本当に、この平成の世に神が遣わせた何かなのかもしれない。これからも私は彼に注目し、ひっそりと応援していこうと思う。とりあえず羽生君モデルのファイテンの磁気ネックレスのメモリアルセット予約しました。い、いや、肩こり酷いからさ(笑)←ずっと迷ってたんだけど世界最高点のお祝いに勢いで予約の電話しちゃったよね!やっちゃったよ!
ところでフリーの最後に笑ったのはショートの阿修羅っぷりに対して「どやりすぎ」って言われたからってホントかよ羽生君。涙ちょっと返して(笑)

以上です!独り言に付き合ってくださってありがとう!ではまた!



↑↑↑↑↑以上です再び(笑)。死ぬほど体調が悪かったのは何となく覚えているが、寝込み続けて見逃す羽目になったりせずに本当に良かった…。ファイナルについての文章も書いてた気がするんだけど、書いてる途中で消えてしまって諦めた記憶がうっすらと(泣)。たったの二週間での本人による記録更新は、フィクションの世界なら没になるだろうこんなの、というくらい現実も非現実も超越した、神にしか書けないプロットのような何かでしたね…。
今年のNHK杯も楽しみです。まずはロステレコム、そしてスケートカナダか…。吐きそうなほど緊張するけど、4年に一度のオリンピックシーズン、全力で応援していきましょう!