うさぎパイナップル

主にフィギュアスケートの旅日記とテレビ観戦記とお題記事・ただ書き散らして生きていたい

蚊帳の外のささやかな祈り

某人気アイドルグループが今月末に解散するという報道。NHKが速報を流した瞬間をちょうど見ていました。てっきりガセだと思っていたのに、天下のNHKが報道したということは事実なんだと、相当な衝撃を受けたことを思い出します。
きっと色々事情があるのでしょうが、でも、果たしてこのまま終わってしまっていいのだろうか、と思う気持ちは拭えそうにないです。

何故そう思うのかというと、今年の早い時期に彼等の番組で流された謝罪映像が、あまりにも恐ろしかったからです。あれは一体何だったんですか。彼等は一体誰に謝ってたんですか。少なくとも視聴者やファンに向けて言葉を発してるんじゃないよねこの人、と数人に対しては思いました。
もちろん私はこの騒動とまったく、ひとかけらも関係ない他人なので真相の程はわかりません。わかりませんが、あの映像の何が恐ろしいのかを考えてみると、それはきっと、
「天下のあのグループですら所属組織には逆らえない」
という、日本の会社組織の暗黒面を最も嫌な形で全国民に強制的に示された、ということにあるんじゃないかと勝手に思っています。

実際は上に立つ能力など持ち合わせていないのに、年功序列や終身雇用などといった心優しい制度に守られて、上司の地位を得てしまう人たちがいます。心優しい制度に守られているので、どんなに仕事ができなくてもそのために組織が困っていても肩を叩かれることはありません。能力が評価されたわけではなく、多少スピードの差はあっても単に年齢を重ねた人から順番に地位を上げてもらえるだけなのに、自分の実力だと勘違いした彼等は、自分を敬え、奉れと威張り散らします。実際は心優しい制度はとっくに崩壊していて、本当の本当に最低限の生活しかできないような、しかもそれすらいつ終了してしまうかわからないというような待遇で彼等の部下が仕事のできない彼等を支えてくれるからこそ体面が保てているだけなのに、そんなことにはまったく気付いていないか、都合よく無視しています。心優しい制度がある限り追い出すこともできず、彼等もまた地位にしがみつき出ていこうとはしません。世代交代が完了するまでもたずに消滅する組織も多いことでしょう。

もちろん、そうではない人もたくさんいます。熟練の技術や知識がその組織を支えているような、組織に必要とされる人はたくさんいます。地位が上がり待遇が上がるということは、それだけ責任も重くなるということです。年齢と経験を重ねてきたからこそ、その責任をうまく引き受けられるようになっていくことも多いでしょうし、その覚悟がある人こそ上に立つべきでしょう。
責任も果たさず、技術や知識もなく、ただぬくぬくと年だけ取っていった人が、年を取っているというだけで組織の上部へのしあがり、自分たちは偉いんだ、逆らうんじゃないと威張り散らしながら、その場しのぎで無茶苦茶を重ねてきた結果が現在の世界のように思います。しかもそのツケを払うのは彼等ではなく、無茶苦茶になった世界で疲弊し、ようやく息をしているだけの若者です。

どんなにクズでも間違っていても、組織というのは古くからいる人間の方をかばうのだな、というのが私の感想です。

どんなことが起こっていたのかはわかりません。誰かが一方的に悪いという話ではないのでしょう。でも騒動の中心にいるグループは、日本人であれば知らない人はほぼいないであろうと思われるほどの大きな存在であり、彼等が所属する組織へもたらした功績は決して小さくなかったはずです。とっくの昔に組織よりもずっと大きな存在になっていたのではないでしょうか。
でも、その彼等ですら、あんな訳のわからない形で頭を下げさせられた。何が起こってるのかは全然わからないけど、まるで見せしめじゃないかと、ただ恐怖しか感じませんでした。

こんな結果になってしまったのは、彼等だけでなく彼等に深く関わっていた人全員の、とりわけ組織の責任が大きいでしょう。でも組織がその責任に対して何かを背負うという様子は、少なくとも蚊帳の外の我々には微塵も感じられず、それどころか、さすがにこれは真実を報道することへの圧力のようなものがあるのでは、と疑われても仕方がないような事態になっているように私には思えます。
しょうがないよ、それが会社だもの、という言葉で、自分の生活が保障されればそれでよいとばかりに理不尽なことも許してきた結果、自分たちの首を締めてしまったことに、我々もまた気付かなければいけない段階にとっくに到達しているのではないでしょうか。あの恐ろしい謝罪会見?は、そのきっかけとなるべくしてもたらされたもののような気がしてしまいます。

だからこそ、このままで終わっていいとは思えないのです。確かにファンなどというものは勝手になるもので、彼等の人生はファンとは無関係の彼等自身のものです。そういう意味では彼等の好きにしてまったく構わないと思います。でも、そのファンが、少なくはないお金と時間を彼等に使ってくれたからこそ、彼等は今の地位を得られた。ファンに砂をかけていくようなことになりかねない現在の状況は、どのような事情があるにせよ、プロとしての態度ではないように感じます。組織は彼等の上司として振る舞うのであれば、管理不足が招いた現在の状況を打開すべく努力すべきではないのでしょうか。

彼等より歌の上手い人たちはいくらでもいるし、彼等より見目麗しい人たちもいくらでもいます。でも、たとえばオリンピックの開会式に登場した時に、何だかよく分からないけど日本国民として一体感を感じられる、そんな存在になれるグループはそうそういないのではないでしょうか。私はまったくもってファンではないけれどそのように思いますし、彼等のことが嫌いでも、そういう場面に遭遇すれば納得してしまう人は少なくないように思います。勝手な想像ですけれど。
それだけの大きな存在が、ある意味で国家の財産とも言えるものが、何とも言えない不気味な雰囲気を纏ったまま終焉しようとしている。これを許してしまって本当にいいのでしょうか。仕方がない、で済ませてしまっていいのでしょうか。私にはそうは思えないのですけれど。

冠番組が始まった当初は家族で毎週見ていました。みんな、毎週楽しみに見ていました。彼等は友達じゃなくて仲間なんだろう、と私の父が分析していたことを思い出します。ベタベタと付き合うことはなくても、お互いを認めあって共に同じ道を歩いているのだろう、確かにそのように私にも思えました。その仲間たちが、こんな風にばらばらになっていくのを黙って見ていることしかできないなんて。どこかで踏みとどまることはできなかったのかと、とても残念に思います。どれだけ多くの人が胸を痛めたのだろうかと考えるとたまらない気持ちです。どうか、少しでもいい方向に動くように祈るばかりです。

もう少し長く色々書くつもりだったのですが、かなり脱線してしまう上長くなるので、この程度で。うまくまとめることもできていないし、今日の記事は色々申し訳ないです。