うさぎパイナップル

主にフィギュアスケートの旅日記とテレビ観戦記とお題記事・ただ書き散らして生きていたい

オータムクラシック2019雑感⑧

長々と綴って参りましたオータムクラシックの記事も本日で最終回。最終滑走者についての記述があまりにも長くなってしまったので、男子フリーの記事を2回に分けました。何も、何も聞かないでください…←バレッバレ

非常に長いですが、最後までお付き合いいただければ幸いです。

男子フリー②

12:羽生結弦
やはり衣装は紫か。あしらわれているのは花のようだ。配色は紫をベースに、ポイント的に赤、紫に滲ませるように黒、決して多すぎない程度に散りばめられた金、というところだろうか。相変わらず繊細で、華麗な装飾は女性的だが、濃い色の配色のせいかどこか男性的でもある。と言っても、普通の男子スケーターはまずこんな可憐な衣装着ないでしょうが…。
私の頭に最初に浮かんだ言葉は「ビジュアル系阿修羅」だった…。ビジュアル系の中でもすんごい耽美なグループのボーカル。とか言ってるのに脳内を流れるのが『蝋人形の館』でごめんな…←まさかこのネタ引っ張るとは…

昨シーズンの衣装とデザインのラインは一緒だと思うが、色と装飾で随分イメージが変わる。羽根を散りばめた黒と金の衣装はカッコ良かったが、実は今だから言うけども、私は少ししっくり来ていなかった。これじゃない、という感覚がシーズンが終わるまで拭えなかったのだ。
しかし、この衣装を見た瞬間「そうだ、これだ」と一気に腑に落ちた。私はこの衣装、とても好きだ。羽生君に非常によく似合っている。濃い紫が、白い肌と黒髪をよく引き立てていると思う。羽生君の細い身体もより引き締まって細く見える。

なんだろう、耽美だ。彼の衣装の中でも抜群に耽美な気がする。装飾を見る限りはどこかメルヘンですらあるのに、何故か背徳感に溢れたその姿はまさしく魔王だ。花や蝶を愛でる切れ長の瞳に炎が燃える、儚い少女の如く美しき魔王である。
昨シーズンの魔王は溶岩の流れる冥界の奥底で翼を広げる姿が見えるようだったが、この魔王は天界と冥界の境目に立ち、その美しさに息を飲んだ魂を冥界に連れ去ってしまう、静かだが絶対的な魔王のような印象を受ける。何にしろ、一瞬で「魔王だ…」と思ったからプログラムにも非常に合いそうな気がしてくる。紫の薔薇の魔王、か。なんかどっかで聞いたなそれ(笑)。


演技が始まる。ショートプログラムの様子では体調に問題は無さそうなので、ジャンプ構成はおそらく世界選手権のそれから変えてくるだろう。

『Art on Ice』が流れ始める。私はこの曲が本当に本当に大好きなので、羽生君がこの曲で滑ると聞いた時の高揚はちょっと尋常じゃなかったです…。
魔王の登場を告げる、打ち付ける銅鑼の音。ゆっくりと鎌首をもたげるかのように、鼓動と共に魔王はその切れ長の目を覚ます。半年振りに冥界から姿を現した、魔の国の氷の王。

冒頭は4回転ループ。綺麗に回ったと思ったが転倒しそうになり、本当に無理やりこらえた。続く4回転サルコウもほぼ同じような体勢でこらえている。よく転ばなかったな、と思うほどの着氷体勢だった。どうもサルコウの成功率が下がっているな…。世界選手権のパンクがどうしても頭をよぎるのかもしれないが…。

しかし、身体のキレはここしばらく見ていなかった程良かったのではないかと思う。それはステップによく表れていた。少年のように軽やかなあの羽生結弦だ。レベル4の評価が下されているのを見て何故かホッとする。総合力の高い羽生君の演技の構成要素のうち、ステップだけがレベル3の評価を受けがちだったことを記憶している方も多かろう。もちろん本来はレベル4の実力がある選手なのだろうしその評価を受けたケースも多々あるわけだけど、おそらくステップのレベル4はそもそもかなり獲得するのが難しいものなんじゃないかなと思う。

昨シーズンくらいからかな、記事を書くにあたって、内容の確認がてら記事にした選手の採点表はすべてチェックしています。ざっとですけれど。その大会の出場者全員の感想を書いたこともありますが、そういう時はもう全員。ペアやアイスダンスは見てもよくわからんことの方が多いのですけど…。すみません(泣)。
それらをざっとでも見ていると、スピンのレベル4はわりと獲得してる選手が多いのだけど、ステップのレベル4評価が下されている選手は思った以上に少ないのですね。素人目にはエモーショナルで素敵なステップに見えてもレベル2なんてよくある話で、要するにステップのレベル判定はそういうところで行われるのではないらしい。スピンのレベルは取れなかった場合に何となく「そうかもな」と思うことも少なくないのだが、ステップは素人目にはどうにも判断が難しい。レベル4が取れる選手は毎回のように取っている場合も多いので、レベルの取れるステップを確実に踏める上手な選手なんだな、と採点表から得た知識を元に次の大会で足元をガン見したりしてます。

そのステップでも確実に点がもぎ取れるように、きっちり対策と修正と練習を行ってきたことを伺わせる内容だった。この時期にこれだけ仕上がっているとは、初戦ではまだ寝惚けたままのような例年の羽生君ではないことがショートに続いてよく分かる。

ステップに続いてトリプルルッツ。ここにルッツを入れるのか。もしかするとゆくゆくは4回転ルッツを投入する予定なのかもな。

後半のキレがこれまた凄かった。単独の4回転トゥループ、4回転トゥループオイラーからサルコウのコンビネーション、トリプルアクセルのコンビネーション2本と次々と決めていく。ラスト3本のジャンプがすべてコンビネーションジャンプという「あんたリカバリーどうするんですか」と思わず尋ねてしまいたくなる、絶対に失敗できない両刃の剣のような構成である。あっ、トリプルアクセルのシークエンスがリストラされた…。今回だけ?今後ずっとか?

コレオシークエンスから溢れる紫の薔薇。シーズン序盤からなんて完成度だ、と興奮気味に画面を見つめていたら、最後のスピン、いやそのひとつ前のスピンでライストが固まってしまいましたあああああああああ!!!生き返った時には演技はとっくに終わっていた…。号泣…。

得点が出る。むっ、思ったより随分低いな。大きなミスがあるとPCSがそれに連動して上がらなくなるというルールが導入されるという話は聞いていたので、PCSについてはそれだなとすぐにピンと来たが、技術点はどうしたことだ。てっきり3桁はいくと思ったが。ジャンプミスはあったものの転倒もせず、最低限の失敗に抑えられていた気がするのに。
採点表を見てみると、全体的にジャンプの加点が渋い。冒頭2本の4回転をステップアウトしたので焦りが出てしまったか。それより何より、4回転トゥループとトリプルトゥループが回転不足判定となっている。そうか、原因はこれか。転倒など大きくミスの出たジャンプが回転不足とされる場合は分かるのだが、あの高く真っ直ぐな、お手本のようなジャンプが?とさすがに驚いてしまう。これについては後述。


とにもかくにも、羽生結弦の優勝である。ジャンプに乱れは出たものの、スピードのある動きや絞った身体からは「これが羽生結弦である」という有無を言わさぬオーラが出ていた。足は完治するものではないのかもしれないが、少なくとも世界選手権の際のような無理をした状態ではないのだろう。しばらくこんな羽生君は見ていなかったような気がする。単純に嬉しかった。この調子を保っていけば、持ち越してでも納得の行く演技を完成させたい2つのプログラムを、伝説の一作として歴史に残すことも可能かもしれない。

表彰式。ライストがやっぱり息をしなくなってたけど、メダル片手に嬉しそうな羽生君の笑顔は見られたから良かった。国旗掲揚は行われなかったんですかね、その代わりに君が代が流れる間に表彰台の後ろに立ててある日本国旗を広げてあげるキーガンの心遣いと、表彰台を降りて国旗に敬意を払う羽生君が素敵だった。

ショートプログラムの時点から「何言ってるか全然わかんないんですけどこのジャンプの変態が」とあんぐり口を開けてしまう衝撃発言をかましていた羽生君ですが、フリー後は「スーパーマリオのスターの時の音楽が止まらなくなる」くらい連発していた(←わっかりにくいたとえ)。

「4回転アクセルをやるために生きてる」には吹いてしまった。らしい、ものすごくらしいわ…。大好き…(笑)。数年前から、羽生君は近々引退するものと思って話を進める人が多くて、確かに年齢とか本人の過去の発言から考えてそれを予想するのはおかしくはないと思いつつ、あんなスケート大好きなスケートの鬼が簡単に引退するとは思えないんだが、というのが正直なところだった。黙っていたけど。平昌の翌シーズンにも続行を決めたあたりからも、身体のこともあるので何とも言えないけれど現役生活が思った以上に長くなる可能性はあると思っている。
若手の活躍の場を奪うな、というよく分からない主張を昨シーズンは何度も聞いた。彼らは、誰よりも長い現役生活を送る可能性のある選手の筆頭が、自分の愛してやまない羽生結弦であることに気付いていないのだろうか?子供が単なる不快感から暴れて投げたブーメランは必ず本人のところに戻ってくる。戸籍上の年齢はおいくつか存じ上げませんけども。そしてあくまで可能性であって、実際に羽生君がどうするかは誰にもわからないことだけど。

北京についてもついに言及したか。これについてもあくまで可能性であって絶対ではないが、まったくその気がないことを彼は匂わせたりしないと思う。本当に出場するならそろそろそれを想定して動き出したとしていてもおかしくないはずだ。もうあと2年半しかないのだから。そもそも、4回転アクセルを含んだクリーンなプログラムを滑るためには、北京まで続行するくらいの期間が必要なのかもしれない。そうなれば普通に出場するだろうな、と何となく考えてはいたけど。

実は、私はプルシェンコが「(羽生君は)平昌ではトゥループサルコウだけで勝てる。北京ではルッツが必要になるだろうけど」的な発言を平昌の数ヵ月前にした時に、羽生君の北京出場の可能性に初めて思い至り、しかもその可能性は高いかもしれない、と思い始めていた。何故そう思ったかと言うと、発言者がプルシェンコだから、以外に理由はない。フィギュアスケートに関することであれば、プルシェンコの未来予想は耳を傾ける価値があると私は思っている。もちろん絶対では無いだろうけれど。だから、プルシェンコってやっぱりすげーな、と今回も思った次第である。

これは余談だが、私は以前に受けた手相鑑定で「2022年の頭くらいには仕事が忙しくなる。遠くへ行くことになる」と予言されている。瞬時に北京のことだと思った。めちゃくちゃ都合がいいけどそう思った(笑)。仕事かどうかはわからないけど、最低でも客として北京に行けるに違いない、と私は信じている。まだこのブログが続いていて、延々と旅行記を書く=仕事、かもしれないし。いや、どうせなら本当に仕事になってくれた方がいい(笑)。
ただ、問題はそこに至るまでにも色々予言されていることである。それらはすべていいことなのだけど、時期によっては北京行きが怪しくなりそうな予言も含まれていた。運命が動くなら早い方がいい。
自分のためだけではなしに私はそれらの予言に当たって欲しいのだが、それらはある「きっかけ」が起きなければおそらく芋づる式にすべて外れる。たぶん北京にも行けなくなるどころか私は命を落とすだろう。そのきっかけは既に起きているのでなければ、年内に発生しないといけないはずなのだが…。うううん…。すべてはおそらくそれ次第。鑑定は今のところすべて当たっているので(怖い…)、本当に祈るような気持ちである。もうこの最低の生活からは抜け出したい。あなたが幸せになれるかどうかはわかりませんが私は絶対幸せになれます。そして北京に行くんだ…!

さて、今回は採点が厳しかったですね。特にトゥループの回転不足にはさすがに驚きました。羽生君の4回転トゥループはこれまでにも高いGOEを獲得してきたお手本のようなジャンプ、という認識がありましたので、余計に。
今回も素人目には問題がないように見えましたが、「素人目には」というところがポイントだろうと思います。いくら羽生君の演技を穴が開くほど見て目を皿のようにしてプロトコルをチェックしても、所詮は素人判断ですから。

記事のチェックがてら、ざっとですがたくさんの選手のプロトコルに目を通していると、選手によっては毎回のように同じジャンプで踏切のアテンションや回転不足の判定を受けるのだな、と気付きます。つまりそれはその選手の癖で、修正しなければならないポイント。たまにマイナス判定が下されていない時は、今回はちゃんと跳べたんだな、と思うだけで、ジャッジや大会によって評価が違う、と考えることはあまり無いです。そもそもジャッジや大会によって評価が違う、という判断は何を根拠に下しているのでしょうか?スケーターが言ってるならまだしも。

問題の羽生君のトゥループですが、もし羽生君の跳び方に回転不足と判断されやすい癖があったのなら、これまでにも同様の評価が下されていたとしてもおかしくないのではないかと思います。さすがにプロトコルの内容まで覚えていないですが、これまでにそういう傾向がプロトコル上に見えていた記憶は今のところありません。
これが1本だけなら、冒頭で2本ミスしたし跳び急いだんだな、と予想もできますが、ダブルトゥループ以外すべてとなると、羽生君はそもそも回転不足気味にトゥループを跳んでいる、という評価なのだろうか、という予測が立ってしまいます。回転不足の判定基準に変更が加えられたとすれば、その可能性は無くはないかもしれません。
もちろん初戦ということもあって焦りがあり、本人も無意識のうちにほんの少し回り切れないまま降りてしまった、それがたまたま3本続いてしまった、という可能性も十分あるでしょう。

何が言いたいかと言うと、「素人がいくら浅い考えを巡らせてもわからない」ということです。実際にジャッジが出来るほどルールと技術に精通したファンなどおそらくほぼいません。自分はちゃんと勉強してて分かってる!と主張したい人もいるかもしれませんが、その考え方は非常に、非常に恐ろしいです。

何で回転不足なのかわからないのも何で評価が低いのかわからないのも、要するに自分の知識不足です。何故自分の目が正しいと思い込んでいるのかまったく理解できません。私はその方がよっぽど危険で恐ろしいと思います。
それなのに、ジャッジがおかしいとかいじめだとか不正だとか、何で人のせいにしてるんですか?あなたの目が絶対に正しいと論をぶつなら、せめて一切の感情を挟まず理論的に論じるべきではないでしょうか。何しろあなたのその強烈な言い方では、あまり深くものを考えない人は惑わされてしまう可能性がありますから。そこまで考えて、論じるべきです。
疑問を持つところまでは構いませんしそれは重要なことでしょうが、そこから先をどうするか、それはもっと重要かと思います。


ジャッジも人間なので間違えることもあるでしょう。今回が間違いだったという可能性も当然あります。間違いだったでは許されない場合も多々あるのでもちろん間違ってはいけない。でも、それでも間違えることってあるんですよ人間は。あんた一度も間違ったことないの?周囲の人、ずっとものすごく我慢してきてくれたんでしょうね。
もちろん間違いではない可能性もあります。基本はそのように考えるべきです。ルールやジャッジをどうしても信じられないならその競技を見ることにそもそも向いてないと思います。特にフィギュアスケートは、芸術的な側面も強いため、絶対的な判定が存在しないスポーツの筆頭だと思います。その辺りの曖昧さを曖昧に受け入れられる余裕が無ければ楽しめない競技ではないかと予想します。

今回のジャッジは非常に公平だった、と考えることもできるでしょう。あのオリンピック連覇の羽生結弦にこれだけ容赦ない評価を下したのです。それは彼をえこひいきせずひとりのスケーターとして冷静に見ている証拠です。と言うかそれは本来論じるまでもなく当然のことです。容赦ない評価を与えることで、このままではトゥループが危ないよ、とシーズン序盤に教えてくれたのかもしれません。
羽生君は負けることが嫌いな選手ですし、私も彼が負けると正直悔しいです。でも、羽生君がいつも一番でいつもプラス評価しかないプロトコルで無ければ不正だ、連盟がおかしい、とか一切思いませんけど。金メダリストだからって評価に色をつけるようなジャッジをして欲しいですか?それは羽生君に対して最も失礼な行為です。絶対的な羽生君以外受け入れられないのってしんどくないですか?その感情、ほんの些細なことで簡単にアンチ化しますよ。

羽生君は本当に素晴らしい選手ですが、それでも彼はフィギュアスケートや競技を構成するピースのひとつ、選手のひとりでしかないのですよ。彼ひとりだけが好きでもまったく構いませんが、最低でもその視点だけは持っていた方がいいと私は思っています。


羽生君も何故回転不足だったのか演技直後のインタビューの段階では理解に至らなかった様子でした。彼だけはその疑問に「何故?」を突きつける権利があります。本人ですからね。本人の体感と評価が違えば疑問を抱くのも当然です。
ただし、羽生君は必ず今回の評価を参考にして対策を立て、次回以降の演技に活かしてくるはずです。度重なるルール改正に柔軟に対応してきたからこそ彼はここまで第一線で戦ってこられたのです。むしろ「まだまだやることがあるぞ」と喜んでるかもしれません(笑)。

こうも考えられないですか。ジャッジは完璧な羽生君が見たいのですよ。彼が完璧に滑れば永遠に忘れられない演技が生まれることを皆知ってるはずです。またあの至高の瞬間を味わいたいがために、あえて高いレベルを羽生君に求めた、と考えてみればちょっとは気が楽になりませんかね。
少なくともPCSの改正は、実は意外とノーミス率が低い(特にフリー)羽生君にはもしかすると大変かもしれない。羽生君の発言にノーミスにこだわったものが見られたのはその辺もあるかもな、と勝手に予想してます。いや、いつも言ってるか。
ミスはあっても心を揺さぶる演技が存在するのがフィギュアスケートの面白いところですが、わかりやすい評価を数値で求める声がある限り、そういった個人の視点によるものが排除されがちになるのかもしれません。あんまり文句ばかり言ってるとホントに自分の首絞めますよ?ノーミスだけど面白くはない演技が評価されるとなったらまた怒るんでしょうけど。シーズンが進んでみるまで新ルールがどのように機能するかわかりませんが。


私は基本的に、採点の内容については意見を述べないことにしています。私のようなファンを「お花畑」とか「事なかれ主義」って言ってる人もいるみたいです。表面しか見ない人か、自分の考えに固執してる人の言葉だなあ、と思いました。
私が何も言わないのは、そんなことを言っても不毛だからです。どうせわからないことを延々とこねくりまわしても時間の無駄だから。外野が騒いだくらいで判定を覆すような団体なら競技が成り立ちませんよ。それをやっちゃったのがソルトレイクのペアの一件で、多面的にものを見て真相にアプローチしようとしない人がこんなにいるんだなあ、と今も背筋が凍ります。

「曖昧さを受け入れる」のは、実は広い視野が必要で、難しいのです。自分に理解できる範囲だけで判断し、それ以外にはひたすら「不快だ」と暴れる方がよっぽど簡単です。今回の判定に思うところがあってもあえて黙っている人も多いはずです。どちらが冷静かは書くまでもないことかと思います。ギャグにしちゃってる人たちなんて高尚すぎて、さすがだと関心しちゃいますね。
事が無いのに在ることにして、反応しなければ事無かれ主義だ、って随分滅茶苦茶だなあ。そういうの捏造って言うんじゃないのかな…。そんなこと下手に言わん方がいいですよ、としかこちらは言えないよ。

そんな不毛なことに躍起になって、選手を守らなきゃ!とか思っているのなら、選手はいいから自分の身近な誰かに目を向けたら?と心底思います。
いじめられてる同級生、パワハラに遭ってる同僚、無視されてるママ友、若そうに見えるけど実はめちゃくちゃ体調悪い自分の座ってる電車の席の前に立ってる人、あなたの手で「守れる」人なんていくらでもいますよ。でも、自分が仲間外れにされたくないとか仕事を失いたくないとかめんどくさいとかいう理由で目を反らしてる。中心人物じゃないだけで、それいじめと一緒ですからね。どの口が「選手はいじめられてる」とか言うんですかね…。

身近な環境すら変えられないのに、手の届かないフィギュアスケートの世界やスケーターのことなんて変えられるわけないでしょうよ。変えるつもりなんかなくて、ただストレス発散に文句言いたいだけかもしれないですけど。てか実際のところはそうなのでしょう。
しかもそういうこと言ってる人、意外と生活にも人生にもそこそこ余裕がある層だったりするんですよね。「普通の人」なんですよ。だったらなおのこと、そのエネルギーは現実的なことに使えば?としか言えない。要するに暇なんだろうし。
あまりラベリングするのもどうかと思うので詳しくは書きませんが、何でそういう判断をするのかなあ、と一般人含めスケートの話題で感じた自分の周囲の人々には、やはり一定のパターンがあるのですね。ひとつだけ共通項を挙げると、「自分に都合が悪くなった」と判断したらバッサリと切ってしまうこと。その切り方がえげつない。その人の中の理解が追い付く範囲があまり広くなくて、理解出来ないことに耐えられんのだろうなあ、と思います。処世術としては本人が生きるのを楽にするかもしれませんが、周囲の人たぶんすごく困ってますよ。でもね、こういう人たち、明らかにどこか壊れた人間じゃなくて、カテゴライズすれば皆「普通の人」なんですよね。


本当に恐ろしいのは愚かな大衆。これに尽きる。「スケートファンは頭も悪いし怖いね」って言われるの、もう嫌なんだけどなあ。そんな人ばっかりじゃないのに。とりあえず一度落ち着きましょうよ、としか言えん。

ジャンプが全部回転不足でもスピンが全部レベル1でも、その選手のその演技をあなたが好きならそれでいいんじゃないですか?もちろんスポーツなので冷静なジャッジは必要ですし勝敗は大切ですが、ジャッジとは別のところでその演技を愛せるのは私たちファンならではです。むしろファンの役目はそれじゃないのでしょうか。

羽生君がファンタジー・オン・アイスのインタビューで言っていた「フィギュアスケートを好きになってください」、この言葉がすべてだと思います。羽生君は本当にスケートが好きなんですよ。真っ直ぐに大好きなんですよ。大好きな人の大好きなものが信じられないのに、ファンでいるのは辛くないですか?一度、好きなスケーター以外の選手も第1グループから全カテゴリー全員見たり、地方の小さな大会に行ってみたりしたらいいんじゃないかな。フィギュアスケートそのものが楽しくなると、全然視点が変わると思いますよ。


以上、長々と書きましたが、果たして最後まで読んでくださった方はいるのか…。これだけ長々書くには時間も労力も必要なので、後半部分は書かずに済まそうかと思いましたが、今までにも書いてきたことと一緒なので、今回もまあ書いとこうかな、くらいです。こういう人間もいるんだな、程度に思ってくれたら。これnoteで書いてたら無料で読めるけどひっそり値段つけたいくらい時間かかったわ…。まさかの1万字オーバーですし…。私のこのブログは1円にもならない方式のブログです。一応言っとくけど。

今シーズンも楽しく応援したい。私はそのつもりです。口汚く暴れるならお友達とおうちの中でやってね。それなら誰の耳にも届かないから、誰も傷付かないよ。

できれば読んでくださってる皆様と、選手の笑顔や切れ味鋭いジャンプや絶品のスピンに何よりもワクワクする、そういうブログで今シーズンもありたいと思います。こんなに美しいものがリンクに溢れてるのに、わざわざその裏側を勝手に想像して勝手に汚いものを見た気になって勝手に怒り狂う遊びはここでは開催しませんので、よろしくお願いします。
まあそんな遊びに夢中な人、まずこのブログ読まないし、読んでも自分のことだとは思わないんだろうけどさ。

最後まで読んでくださった皆様、ありがとうございました。また次回の記事でお会いしましょう。




「うさぎパイナップルnote分室」を開設しました。フィギュアスケート以外の話題は2018年9月よりこちらに集約させております。心の叫びや日々の呟き、小説から趣味の話、フィギュアスケートの話も時々、要するに何でもあり。週2回のペースで更新中なので、お気軽に遊びに来てくださいね。
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