うさぎパイナップル

主にフィギュアスケートの旅日記とテレビ観戦記とお題記事・ただ書き散らして生きていたい

3年前の君の若さは3年後の君の強さ

お題「24時間テレビ」

ここ数年、チャンネルを合わせることにしているこの番組。理由はたったひとつ。羽生結弦選手が出演するからである。そうでもなければ、とりあえず流していたとしても積極的に見ることはないでしょう。

昔は時々見てたし、歌詞を募ってサライを作った時のことも覚えているが(年がバレますねうっひゃーい)、番組のコンセプトが成長するにつれて鼻についてきたような気がする。
感動させるために作られた感動、には白けちゃう方なんだよなあ。もちろん感動したい人がいるから感動させる番組を作る必要があるというのもわかるんだけど。結局需要と供給だから。
そもそも、人間というものは自分よりは地位が下だと思い込める存在を常に作って、自分の自尊心を保たないと生きていられない生物なんだな、と常々思っている。どんな綺麗事言ってる奴も皆同じだと思う。頑張ってる人なんていくらでもいるんだけど、自分が無意識に優位に立てる、そう思い込んでる相手が頑張ってることが大切なのであって、誰でもいいわけじゃない。まずそこがおかしいし、結局それって相手に対する敬意など何もないということである。それがもっと悪意をもって行われた時に、それは差別とか偏見とかいじめとかいった言葉に名前を変えるのだろう。ここでは感動という言葉にすり変わっているわけだけど。
でもそうでもしないと、実態を伝えられないという事情を抱えた例もおそらくはあるはず。だから全面的に否定はしない。たとえ綺麗事にしかならなかったとしても、何もしないよりはずっとマシ、という場合も多々あるだろうから。一方的に否定してる人の心の中にも、きっと本音では「そういったもの」を求める黒い本音があるはずだ。まずそれを認めなければ、何も変わりはしないだろう。所詮皆、偽善者として育つように教育されてきたんだから。

そんなわけで、そこまで真剣に見たりはしませんが、ギャースカ拒否反応を示すのも何か違う、という冷めた気持ちでとりあえず垂れ流してる昨今。24時間ずっと同じ内容が流れるわけじゃないですし。

今年のテーマは「告白」だそうで、羽生君は喘息患者であることを初めてテレビで告白する、という触れ込みだったが、確かに一般的にはそれほど知られてなかったのかもしれないけれど、それでもかなり有名な話じゃなかったっけ、ソチで優勝した時も総理大臣とそんな話してたよな?と首をかしげてしまった。テレビ的にはそういうことにしておいた方が色々話が早いんでしょう…。

このブログでも何度か書いてるけど、私は赤ん坊の時から小学校の高学年か中学生くらいまで(よく覚えてない)アトピーを発症していて、赤ん坊の頃などは髪の毛が抜けてほとんど禿げてしまうほど酷かったらしく、この子は将来絶対に喘息になります、と宣告されていたようです。結局喘息を発症することはなかったのだけど、普通の人よりはずっとリスクが高かったというのは事実なので、羽生君の話は決して他人事ではないと思って聞いていました。今でも各種アレルギー症状に悩まされることは少なくなく、もうそれが普通のことになっているとは言え、時々凶悪にかぶれたりするとやっぱり辛く、競技中に羽生君の唇が紫になっていたり、アルコール消毒でかぶれたなんて話を聞くと、喘息の苦しみはわからないけれど、少なくともアレルギーのしんどさは多少なりとも理解できるので、過剰に心配してしまったりすることもありました。

でも羽生君は、それは自分にとって普通のことだって言ってましたね。そう、確かに病気は辛いけど、でもそれも含めて個性であり、その人自身。健康だから普通なわけでも、病気だから特別なわけでもない。もちろん、配慮しなきゃいけないことはあるけれど、でも、個性が違うだけで皆同じ人類。
もしかしたら羽生君は、特に深い意味はなくその発言をしたのかもしれないけれど、でも羽生君の口から自然にその言葉が出てきたことは、とても大きいと思った。私のようなただ人が何を言っても耳を傾ける人はいないけれど、羽生結弦が口にする言葉には多大な影響力がある。色々批判の多い番組だけれど、今年羽生君が出演したことには、かけがえのないものがあったのではないかと個人的に思います。

そして番組の目玉のひとつであったであろう、羽生君の演技。3年ぶりの「言えないよ」。そうそう、これカメレンゴの振付なんだよね。しっかり名前がクレジットされるあたり、なかなかやるな日テレ。

このためだけに郷ひろみが埼玉のアイスリンクまでやって来て生歌も披露。3年前のファンタジー・オン・アイスでは、喉の調子が良くなかったらしく本気のひろみの歌唱が聞けなかったが、彼もその時のリベンジが出来たのではないだろうか。いい歌だよなこれ。

肝心の演技ですが、3年前は彼の全力の青さを眩しく受け止めるとともに、もう少年・羽生結弦の演技を見る機会は残り少ないのだろう、と過ぎていく時の速さを噛み締めたものでした。3年経って、確かにもう、少年の羽生君はあの幕張のリンクに置いてきてしまったけれど、全力の羽生君は、むしろもっとパワーアップして戻ってきたように感じ、わりとポカンとしながら見てしまいました(汗)。

これショーで跳ぶジャンプ構成じゃねえええええええええぇぇぇぇええええ←エコー

スケート選手としての道を歩んでいる少年に、どうせなら目標となるような技を見せたいという、羽生君の気持ちはわかるのである。少年が練習中のトゥループと、少年が好きだと言った羽生君のトリプルアクセルアイスショーでもバンバン高難度ジャンプを跳びまくっている羽生君のことだから、別に驚くことでもなかったかもしれない。

だが。だがそれでも。それでもである。
なんっじゃああああの美しい4回転トゥループは!これ加点いくつつくんだよ!しかももう一本。さらに伝家の宝刀トリプルアクセル。コンビネーションこそなかったが、ほとんど競技ですがな。しかもビールマンスピンまで。一切の手抜きなし。私があの少年だったら泣きながら土下座してるぞこれ(笑)

22歳になった、氷の世界の若武者。フリルの印象が強い羽生君の衣装としては、わりと男っぽいシャツだけど、3年前よりもよく似合っていた。その情熱を氷に叩きつけるかのような青い演技は、包容力のある青年のそれに変貌していた。それは大人の男の愛と言うよりも、自分に憧れる少年スケーターへの暖かい眼差し、といったものだったように思うけれど、3年前に感じた、歌と本人の間にあるアンバランスさは、もうどこにもなかった。それは、ひたすらに上昇する若手だった羽生君も、もう次の世代へバトンを渡す側の年齢に差し掛かっているという事実でもある。あとどれだけ、選手としての羽生結弦を、我々は応援できるのだろう。時は流れるばかりで、決して元には戻らない。後悔だけはすまいと、改めて誓った。

至福の時間だったアイスショーは終了。余韻に浸っている我々視聴者を衝撃が襲う。2回転トゥループの練習中である少年にかけた羽生君の言葉。

「あと2回転回れば4回転だから」

なんかさらっと鬼みたいなこと言ってるんですけどーーーーー!!!

そういや少年との練習中にも「一生懸命キュッてやれば跳べる」とかなんとか、わかるようなわからんようなアドバイスをなさっていた。ああ、なんか思い出すんですけど。4回転ジャンプは4回回って降りるだけ、とかなんとか言ってた人がかつていたような。家電にやたら詳しい人だったような!←笑

いやいやわかるんですよ、遠い遠い目標に思える4回転ジャンプも、あと2回回るだけなんだって。その2回に気の遠くなるような努力が必要なのだとしても、でもたったの2回でいい。羽生君も少年の年頃にはきっとまだ4回転なんて遠い世界の話だったはずだけど、でも日々の積み重ねで今がある。すごく難しいよ、って言われるよりも、あとこれだけでいいんだよ、って言われる方が、ずっとずっとイメージしやすいしモチベーションも上がる。

だがそれでも!それでもやっぱり爆笑するしかないわ!(笑)もうホント、清々しいくらいのSですね(笑)。
個人的に、今年の流行語大賞は2017年四大陸選手権における羽生結弦氏の「金が欲しい!金が!金くれ!」でほぼ決まりでしたが、ここに来て超有力候補が現れてしまった。ああでも、スケートシーズンの区切りとしては6月末で年度が変わってるっけ。それなら問題ないか?…って、このへんすべて私のひとりごとなんでお気になさらず(笑)

そんなこんなで、今年の24時間テレビは終了したわけですが、羽生君ファン的に、24時間テレビの本番は実は「news every.」。ナレーションやらテロップやらをある程度カットして再び演技を流してくれるので、最悪everyだけを見てもいいくらい。今年も本編では流れなかったエピソードも含んだ素晴らしい編集。2年前の「花になれ」はeveryで流れた映像があまりにも素晴らしくていまだに忘れられない。あの時の演技はそもそもが素晴らしく、24時間テレビの方だけど、羽生君が巫女みたいで神々しくて、初めてフィギュアスケートを見て感動した、と熱っぽく語ってくれた人もいたっけ。吐く息まで幽玄の世界のようで、あれはホントに美しかった。

何だかんだとフィナーレは見ましたが、陸上部出身でまだ若いブルゾンさんはまあ無理のない方の人選だったのでは。サライ大合唱すれば何だかんだ言って「まあいっか」な気分になるのであの曲はすごいと思います。いつか羽生君がこの曲で滑ったらどうしよう。これより「昴」の方が似合う気も…。って、わけのわからんことを言い始めたところで強制終了(笑)