うさぎパイナップル

主にフィギュアスケートの旅日記とテレビ観戦記とお題記事・ただ書き散らして生きていたい

全日本選手権2016⑦

まずは女子ショートプログラム。…観戦後にすぐ執筆できれば良かったのだが、1年近く経過した今はさすがにほとんど覚えておらず、しかも諸事情で疲れ果てていてメモもろくろく残していない…。なので、特に印象に残っている選手のことだけピックアップして書いていきます。肝心の観戦の部分が薄っぺらになってしまってすみません(泣)。

各グループに注目の選手がいるあたり、さすがに全日本という感じ。第1グループはやはり坂本さんでしょうな。ジュニアとは思えん。

第2グループは遥ちゃん。アイスショーで何度も見てきた彼女にはやはり思い入れも強く、頑張って欲しかったけど…。ほんの少し前まで世界のトップ大会に出場していたような選手でもこの成績に甘んじてしまうのかと思うと、女子選手のピークの早さに悲しい思いが…。

それから白岩さん。かなりのファンらしい人が近くにいたのだが、衣装の一部が落ちてしまったらしいのに気付いて頭を抱えておられた。減点ですよね、あれ(泣)。

第3グループ。久し振りに大庭雅ちゃんの演技が見られて嬉しかった。それから広島の選手の中塩さん。頑張ったんじゃないかな。
第1グループからさすがに全日本だな、と思って見ていたけれど、このグループくらいからレベルが跳ね上がってきた印象。見応えあるわ…。

第4グループはさらに跳ね上がり、最終決戦っぷりがすごいことに…。まずは本郷さん。カルミナ・ブラーナ。会場で見てた限りでは彼女がいちばん良かった。泣いてる人いたぞ、確か。本当に氷上で映えますね彼女。引き込まれました。

続いて宮原さん。さすがである。安心安定、素晴らしい見応えで、あっという間に終わってしまった。ただ、テレビではわかりにくかったけれど、生で見るとジャンプの低さはどうしても気になった。演技が小さく見えてしまって損だな、と思ってしまいました。きっと対策はしているのだろうけど。

さらに松田さんも素晴らしい演技で続く。木原さんにはミスもあり得点が伸びなかったが(思ったより低いんだなあと感じた記憶がうっすらと)、樋口さんがこれまた素晴らしい演技を見せつけ、そしてこのグループの最終滑走が佳菜子ちゃん。とにかくジャンプが抜けてしまう印象の彼女、今回も…(泣)。ミスがあったとはいえ、彼女だってまだ若いのに、ほんの2年前はオリンピックにまで出た人なのに、と思うと、この順位は少なからずショックだった。今振り返ると、彼女の最後の全日本を、ショートプログラムだけでも見届けることが出来たということになる。やっぱり来て良かったな。とても寂しいけれど…。

そして最終グループ。会場の空気がガラリと変わる。6分間練習のリンクに滑り出てきた真央ちゃんに、視線が集中するのがわかる。綺麗なアクセルジャンプを跳んで、会場から歓声が上がっていた。きっとトリプルアクセルだよね。あれをこの目で見られただけでも、滅茶苦茶な行程を組んででもここまで来た甲斐があったというもの。

このあと四大陸で躍進を遂げる三原さんから始まる最終グループ。これまた熱い。こんなに上手な選手がいるのに代表の枠って3つしかないんだな…(泣)。

真凜ちゃんは確かにほかの子とちょっと違った。華があるとはこういうことなのだろう。努力で多少はどうにかなるのかもしれないが、こればかりは持って生まれたものなのでしょうな。マスコミが彼女に注目するのも無理はないのかもしれないなと思った。
もちろんそれだけの選手ではなく、ジャンプにも高さがあって綺麗だったし、上位に食い込んでくるのも当然だろうという演技だった。思わず泣いてしまっている姿に、会場が温かな眼差しを向けているのが印象的でした。

昨年グランプリシリーズでメダルまで取っていた永井さんの不調。ジャンプを修正しているという話を聞いた。時間はかかるかもしれないが、諦めずに頑張って欲しい。

そして最終滑走、浅田真央。私の見た、最初で最後の競技における浅田真央の演技である。これが最後になるなど、この時はまったく思っていなかった。
冒頭のアクセルがシングルになってしまい、会場があからさまにがっかりした空気に…。しかし即座にそれを払拭するように、真央ちゃんは円熟した選手にしかできない演技を見せた。ジャンプは確かに決まらなかった。でも、見ていて引き込まれたのは圧倒的に彼女の演技で、その点で真央ちゃんの右に出る選手は今回いなかった。

ジャンプはとても大切な要素だ。今大会の女子は皆とてもいい演技をしていた。次々と成功するジャンプは爽快の一言だった。だが、似たような演技が多いな、と感じたのも正直なところである。選手たちは皆若い。子供と言ってもいいくらいだ。魅せる演技という意味で物足りないのはある意味仕方ないのかもしれない。
年齢を重ねることで、演技に味わいが出てくる。積み重ねた人生が、氷の上の彼女たちの世界をより拡げていく。ただのジャンプとスピンとステップの集合体だったものに物語が生まれ、ひとつ上の作品へプログラムは昇華する。しかし、その時にはもう、成長した肉体は以前のような高く軽やかなジャンプを跳べなくなっている…。
実は男子より女子の方が、ずっと技術偏重の競技になっているような気がした。同じような技術レベルならば最終的にものを言うのはやはり表現面なのだが、ジャンプが決まらなければそもそもお話にならない。ジャンプはやはり身体が軽い方が有利であるようだ。個体として成熟することと高く舞い上がる力とが共存できないのは実にもどかしい。今は恐れるものなど何もないように氷を跳ねるこの少女も、いつか跳べなくなるのだろうか、と厭世的な気持ちにすらなってしまう。

そんなやるせない感情も覚えた全日本観戦だったが、しかしそれ以上に面白かった。面白かったけど、見ているだけなのにとても緊張した。会場に張りつめる空気は、私が初めて感じる大きな大会のそれだった。これまでは競技というとスケートヒロシマしか見に行ったことがなかったので、リンクにも客席にも漂う緊張感は、これまでに経験したことのないものだった。スケートヒロシマは客席を子供が走り回ってたりしてわりとのんびりしてたからな…。
ああ、会場で見ていた時はこの選手はここがいい、あの選手はそれがいい、といちいち感嘆してたはずなのに、完全に忘れてしまってとても悔しいです(泣)。言及できなかった選手の皆さんも、素晴らしい演技をありがとうございました。

以下次号。