うさぎパイナップル

ただ、書くことが好きなだけです。

幼稚園児の創意工夫

お題「思い出の味」

私は子供の頃、酷いアトピーでした。
生後半年くらいという、だいたいどんな人間でも可愛い姿をしているという人生の黄金期に、猛威をふるいまくるアトピーのおかげで禿げ上がっていました。頭頂部に申し訳程度に残った髪の毛に、何となくリボンを結んで何となくごまかしている哀愁漂う写真が何枚もアルバムに残されています。私の兄弟は皆、赤ん坊の髪の毛で作る筆を記念に持っているのですが、私だけはその筆がありません。そもそも髪の毛無かったから(汗)。

「この子は絶対に喘息になる。あれもこれもそれも食べちゃダメ。ぬいぐるみもダメ。ペットもダメ」的なことを当時の医者は言ったそうです。
でも私は子供の頃、何でもモリモリ食べていました。ぬいぐるみもいっぱい持ってました。犬も飼ってました。
母は医者の指示を無視したらしいです。そんなのいちいち聞いてたら食べるものなんかないし、生活にならないだろうと。
その代わり、健康的な食品をとるようにかなり気を遣っていたらしいです。母がいつも買っていた卵はスーパーで普通に売ってるようなものではなかったし、私は覚えていませんがご飯は玄米だっだようです。添加物入りの食品は食卓から排除され、パンにはジャムやバターではなくミキプルーンが塗られていました。子供には渋すぎる味でした、ミキプルーン…(遠い目)。
そして、恐らくはその一環でしょう、飲んでいいものも決まっていて、確か麦茶と、牛乳と、ポンジュース(100%)の3つだけでした。絶対に禁止だったのがコーラで、その時の影響か私は当分の間炭酸飲料が苦手でした。今でもコーラは飲めません。

そんなわけで、冷蔵庫にはいつも牛乳とポンジュースしか入っていませんでした。でも幼かった私と弟は、甘くて美味しい飲み物が欲しかったのです。いつもいつも同じ飲み物に、すっかり飽きてしまっていたようにも思います。
そこで我々は考えました。今あるものを使って新しい飲み物を作り出したらどうだろう。牛乳もポンジュースも飽きてはいるが美味しい。それならば、そのふたつを混ぜたらすごく美味しい飲み物が誕生するのではないのか。
実際にどんなことを考えていたのかは覚えてないんだけど(笑)、母が不在の時は、私は弟と「ポンジュース牛乳」を作っては飲んでいました。完全に混ざり合うことのない白とオレンジがコップに描くマーブル模様。ものすごく美味しく感じられたものです。こんな美味しいものはこの世にないとすら思っていたかもしれません(笑)。

さて、数年後我々は成長し、今で言うところのオーガニック信者的な何かだった母も、貧乏暇無し過ぎてそんなことやってる場合ではなくなったらしく、何を飲んでも怒られなくなりました。もうポンジュース牛乳(たぶんそんなんじゃない何らかの名前を勝手に付けてたと思うんだけど覚えてないや)を作る必要もなくなり、私たちはすっかりその存在を忘れていました。
しかし何がきっかけだったのか、懐かしいその味を作ってみよう、とある日私と弟は思い立ちました。たぶんたまたま家に久しぶりにポンジュースが置いてあったのだと思います。あれは本当に美味しかった。思い出に浸りながら我々はふたつの飲み物を混ぜ合わせ、わくわくと口に運びました。


………
…………………

あれ?
全然甘くない。
思ってた味と違うっていうか、その、
て言うか不味…

あれ以来、私はポンジュース牛乳を試したことはありません…。

よく考えると、飲み物としていちごミルクとかバナナミルクは存在するのに、「みかんミルク」って聞いたことがないような気がします。日本の冬のお供であるみかんと、何でもまろやかにしてくれる牛乳。ふたつが合わされば大人気の飲み物ができそうなのに。つまりはそういうことなのか。みかんヨーグルトやみかんソフトクリームはあるのに…。
おそらくはポンジュースのおかげでみかんの飲み物にはいまだに目がなく、コーヒー牛乳は大好きだけどブラックコーヒーは飲めずビールが大嫌いで一杯目からミルクたっぷりの甘い酒を頼む失格社会人へと成長した私は、どこかにとても美味しいみかんミルクが存在していることを心から願っています(笑)。

ところで、私のアトピーは中学生くらいになったら自然に治っていました。冬はカサカサ、夏はグズグズで本当に酷かったのですが。今でも何かのアレルギーは残っているらしく、耳鼻科に行くと毎回鼻炎を治せと言われ(←長年放置)、オーガニックなシャンプーで皮膚科送りになるほどかぶれたりしてますが(安全だと思い込んで買ったんだけどね…)、アトピーが復活したことはありません。二度と復活しないで欲しいですけどね(泣)。
健康的な食品というものはお金も手間もかかるもので、最終的には生活苦のため手をかけられなくなって適当に育てられたにも関わらず結局治ったので、あまりピリピリして自分や周囲を追い詰めずに、よっぽど無茶苦茶な食生活でさえなければ、楽しく食卓を囲めばそれでいいんじゃないかなあ、と思ったりしますけどね。牛乳とポンジュース以外もたまには飲ませてあげて(涙)。「いいもの」にこだわった母の努力が効を奏した可能性も十二分にあるしきっとそうなのでしょうけどね。兄弟みんな丈夫に育ちましたから。でもね、だいたいうちの母親、赤ん坊(私)を布団と一緒に屋根に干してた人ですよ。確かにアトピーが酷くならないようにしっかり布団を干せと医者が言ったのかもしれないけれど、赤ん坊を干せとは一言も言ってないと思うんですが(笑)。そもそも医者の話聞いてなかったっぽいし、何だか基本無茶苦茶なような気がしないでもないんですが!(笑)適当な方がいいなどといい加減に言うつもりは決してありませんが、こんな風に育てられても何とかやっている、というひとつの事例として読んでいただければと思います(笑)。決して参考にしちゃダメですよ(泣)。