うさぎパイナップル

主にフィギュアスケートの旅日記とテレビ観戦記とお題記事・ただ書き散らして生きていたい

シリーズ・間黒男氏を主役とする一連の物語が如何に好きであるかを語る・第3回(実質第4回)←だからまわりくどいって

早くも説明がめんどくさくなってきましたが、月に1回くらいのペースで手塚治虫先生の傑作医療漫画『ブラック・ジャック』の好きなエピソードについて勝手に語っています。今回で実質4回目ですね。月イチって随分スローペースだな、と思っていたが、いざ書いてみると1ヶ月なんてあっという間だな…。まあ今はフィギュアスケートもシーズンたけなわですしね。

今回取り上げるのは、秋田書店少年チャンピオンミックス版第9巻のラストに収録されている「幸運な男」。もしファンによる好きなエピソードの人気投票があったなら、おそらく上位に入る話ではないかな。
以下、ネタバレにくれぐれもご注意ください。内容知らない方は先に読んでからまた来てください、と言いたいくらいの傑作なので。

イランで起こった石油タンクの爆発事故。事故に巻き込まれたものの軽傷で助かったイラン人の男は、爆発により死亡した日本人の技師になりすますことを思いつき、ブラック・ジャックの元を訪ねるのですが…。

これが序盤の展開。その後、物語は二転三転し、思いもよらなかった結末を迎えることになります。詳しく語りたいんですけども、是非読んでいただきたい話なので出来る限り控えますが、初めて読んだ小学生当時、こんなに面白い物語があるのかと感動したのがこの話です。細かい点を挙げれば確かにツッコミどころは満載なのですけど、とりあえずそんなことは忘れてグイグイ読めてしまう力が、特にラスト3ページにはふんだんに詰め込まれている。たった22ページ程度の作品なのに、死ぬほど面白い映画を1本見終わったような素晴らしい読後感です。

第1回で取り上げた「二度死んだ少年」が私にとっての『ブラック・ジャック』への入口であったのだとしたら、この「幸運な男」が本格的に『ブラック・ジャック』にハマる決定打となる作品だったように今にして思います。この漫画家はすごい、何かが違う、と子供心に思いました。
自分の好きな話には何故かブラック・ジャックが出ずっぱりではないものが多く、この作品も実はそうなのですが、それでいてブラック・ジャックがいなければ成り立たない話です。どの話も結局そんな感じでちゃんと『ブラック・ジャック』なので、毎週毎週こんなレベルの短編を連載していたのかと思うと正直めまいが…。リアルタイムで読めたチャンピオンの読者がうらやましいくらい。たまに何じゃこりゃな話もあったりするけど、それくらいはご愛嬌じゃないのかしら(笑)。
出番の少ないブラック・ジャック先生が最後に言う台詞もさりげなく名台詞ですね。名台詞って言っていいのかどうかわかんないけど、こうやってさりげなくなんか言ってる先生がめっちゃ好きなんですよね(笑)。

「幸運な男」というタイトルの意味が、小学生の時分にはよくわかっていなかったけれど、今読み返してみると素晴らしく味わいのあるタイトル…。ああ、やっぱりこの作品も3本の指の1本に入れたいなあ。よし、5本の指にして入れとこう。ってそんな解決法でいいのかよ。そのうち10本になるんだろそれ(笑)。