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さて再びコラボレーション。今度はステファンと岡本さん。曲はトゥーランドット、誰も寝てはならぬ。静岡で今度こそ最後だろうと思ってたのに、こんな形でまた見られるとは。
岡本さんが凄いのはもう書くまでもない状況だが、ステファンも当然のように歌に負けていない。既に滑りこなしているプログラムということもあるだろうけど、多少の手探り感は見えつつも、やはり流石と言うほかはなかった。
怒濤の展開は続く。プルシェンコが登場。カルミナ・ブラーナ。
凄い。静岡よりもっと凄い。土曜日の、上から数えた方が早いくらいの遠い席なのに、私はプルシェンコに睨まれて怖くて泣いてしまった。私を特に睨んだわけではなくその辺の客席は上から下まですべて睨まれたような気がしたのではないか。迫力なんてものじゃなかった。あれは完全に殺気だった。氷の世界を支配する魔界の帝王だった。これがプルシェンコか。これが世界の頂点に立ったあのプルシェンコなのか。ジャンプも決まっていた。彼は本気で現役を続けるつもりらしい。もう目を離すことはできない。
ああ、こんな恐ろしいプルシェンコが見られるなんて。そうだ、私は彼が怖かったわけじゃない。達人だけが持つ、空間を切り裂くような殺気に完全に当てられてしまったのだ。それは会場で、自分のこの目とこの耳と、体の全てで感じ取るからこそ知ることのできる、圧倒的で絶対的な、気。金沢、来て良かった。本当に。
ついに最後のスケーター。もうあの二人の後に滑れるのは彼しかいないだろう。羽生結弦。
美しいピアノの曲だったけど、どこか苦しくなるような演技と音色だった。この時は何の曲なのかわからず、羽生君が静かに氷にぶつけているやり場のない憤りみたいなものが何なのかわからなかった。
人は苦悩する、あの日栄光を掴んだ彼でさえ、みたいな感じのナレーションが最初に入っていたけれど、おそらく感性が豊かなのであろう羽生君には、受け止めるのが辛い、たぶんほかの誰かがそう感じるよりも辛い事がたくさんあったのかな、と思った。後から東北の震災をテーマにしたプログラムだと知って、色々納得したのですが。
羽生君がガッと勢いよく滑ってきたかと思うと急にギュッと振り向く振付があるのですが、その時に削られて飛び散る氷の飛沫が本当に美しかった。飛沫の中に一瞬見えた羽生君の姿は、まるで氷の精霊のように、この世のものではない何かのように、でも、過去を抱き締めてこれから生きていくことを決めた、人間の姿にも見えた。
そしてショーはフィナーレへ。岡本知高が歌い上げる、ラヴェルのボレロ。確かこのショーの放送はテレビ朝日だったと思うが、いいのだろうか(笑)。
アンサンブルスケーター、そして女性スケーターとジョニーが布をなびかせながら登場する。ジョニーはそこなのか(笑)。トマシュとジュベールとジェフが並んで滑る場面であやうく号泣しそうに。最高すぎる。ステファンはわりと最初の方に登場して目立つ位置にいた。重要なポジションのようだ。
最後に羽生君が現れ、スケーターたちの作る輪の中央でスピン。
ボレロの威力は凄い。フィギュアスケートと言えばこの曲、とイメージが出来てしまうくらい浸透している上に、そもそもこの曲とフィギュアスケートの親和性は高いように思う。世界を極めたスケーターの集合するショーの最後にふさわしい、素晴らしいフィナーレだった。
日曜日はフィナーレの最後に織田君が目の前にやって来て、本当にリンクの端ギリギリくらいの位置に立っててものすごく近かったのであわあわしました(笑)。あと、男子は皆黒いシャツだったんだけど、土曜日の羽生君はかなり前を開けてて気になった(笑)。暑いの?
いつもの音楽が流れ出して周回へ。日曜日はカナダ国旗を指差しながら満面の笑顔を見せるジェフの姿が目に焼き付いて離れなかったです。
恒例の一芸大会は、織田君とジェフがサイドバイサイド。日曜日は綺麗に決まってるのが見えました。ジョニーはスロージャンプに挑戦。ヤキメンコもバックフリップ。ヤキメンコさんオープニングとフィナーレだけ?安藤さんと鈴木さんかな?も技を披露してくれたと思うんだけど、あの技何て言うのかなあ。
4回転チャレンジは昌磨君は確か失敗、フェルナンデスは決めたはず、織田君も挑戦してたと思うけどどうだったっけ。ステファンは日曜日だけ出て来てしれっと成功させていた。じりじり真ん中に寄ってってたから(うろ覚えだけど確かそんなことやってたと思う。うろ覚えだから違うかもしれないが)やるんだろうな、と思ったらバッチリ。並み居る現役を差し置いてあんた…。羽生君は土曜日はかなりお疲れだったみたいで、周回でも頭ボッサボサだしよれよれに見えたんですが、それでも4回転ループは一発で成功。日曜日も大成功。スゲエ…。確か会場もめちゃめちゃ盛り上がってたと思います。
逆に日曜日の羽生君は元気だった様子。日曜日は集合写真の撮影があったんだけど、白いタオルを肩にかけた羽生君は、一部のスケーターだけで記念撮影してる時も真ん中を陣取っていたような(笑)。最後の最後にフェルナンデスと二人で挨拶にも出てきてくれました。目の前でその様子を見られて超満足した…。「ありがとうございました!」も音楽の音量を下げさせてから、思いっきり大声で叫んでました。土曜日も叫んではいたけど、音楽もそのまま流れてたし、とりあえず義務は果たしたって感じで、とにかくお疲れのように見えました。
あとステージには今回のゲストが皆出てきてたんだけど、岡本さんがノリノリ過ぎて気になってしょうがなかった(笑)。衣装が緑だったので、巨大な山が動いてる!って感じに(笑)。
個人的に今までのベストファンタジーオンアイスは2010年の福井公演だったのですが、今回それを越えたかもしれないと思った。とにかく良かった。静岡もすごくいいショーだったんだけど、金沢はもっともっと良かった。ゲストも演出も静岡と全然違ったので、無理矢理静岡にも行っておいて良かったと心底思いました。しかも晴明様をはじめ様々なものを正面で見られて大満足です。このために生きてるもんな、ホントに良かったなこの時の自分…。
以下次号。