うさぎパイナップル

フィギュアスケート旅日記とテレビ観戦記とその他色々色々・ただ書き散らして生きていたい(ライター始めました2018)

Continues ~with Wings~ ライブビューイング③

オープニング終了後、画面がリンクから羽生君の映像に切り替わる。事前に撮影したものだろう、羽生君によるスケーターの紹介映像である。
今回のショーの出演者は全員羽生君がオファーした、今の羽生君に繋がるスケーターであり、羽生君自身が演技を見たい面々だという。それ故に、羽生君が語る各スケーターへの想いは非常に実感がこもっていた。
まず紹介されたのはジョニーだった。ジョニーのファンだという話は有名だと思うが、パンケーキスピンを真似していたという具体的な話が映像も交えて行われるのはなかなか興味深い演出であった。

そして画面がリンクに戻る。羽生君が憧れた、ジョニー・ウィアーの姿がそこにある。
プログラムはアヴェマリア。昨年ファンタジー・オン・アイスでも着ていた衣装かな。肩がフッサフサなやつ。とてもいい演技だった。大画面で見るジョニーも美しい。
織田君の解説を映画館で聞けるというのも贅沢な話だが、自分も滑りたかったんじゃないかなあ、と織田君の口調からなんとなく感じた。私は織田君も出演するのかな、と思ってたんですが、解説を任せられるのは彼以外にはないと羽生君が考えたのだとしたら、この人選はまったく何の不思議もないんだよなあ。

再び羽生君による紹介映像。第一部に滑ったスケーターの演技の前にはすべてこの紹介映像が入っていました。
紹介されたのは無良君。なかなかアクセルが跳べなかった頃に、無良君と無良君のお父さんに教えてもらったのだという。兄貴分、というコメントで既に泣きそうでヤバい自分←早過ぎ

無良崇人の演技が始まる。プログラムは彼の代表作のひとつであろう、オペラ座の怪人。全日本での素晴らしい演技が記憶に新しい人も多いのではないか。
残念ながらこの春に引退を発表したが、ごくごく最近まで競技に出ていたということもあり、現役の選手と何ら遜色のない演技である。豪快なトリプルアクセルも素晴らしい。無良君と言えばこのアクセルであり、それは多くのスケートファンの共通認識であると言えるくらいの彼の代名詞なのである。
これ羽生君の使ってたオペラ座と同じ音源だよね、たぶん。ただでさえ全日本の演技を思い出して泣きそうなのに、音を聞いているとどうしても羽生君のファントムが連想されてくる。NHK杯の際の日本男子3人による会見だったと思うが(うろ覚えです、ごめんなさい)、カップ・オブ・チャイナでのハンヤンとの衝突事故について尋ねられている羽生君を、本当に気の毒そうに、心配そうに見つめていた無良君の表情が実は今も忘れられない。あの時はフィギュアスケートの競技の在り方のようなものにまで批判が集中し、羽生君だけでなくスケート関係者は皆嫌な思いをしたのではないだろうか。その中心で容赦のない声を受け止め続けねばならなかった19歳の羽生君の心中を思うと、今もいたたまれない気持ちになるが、そばでその様子を見ていた人々にとっては私の感じた以上のつらさがあっただろう。そのことが、無良君のあの表情に現れていたように思う。…平昌の演技に感動したなどと言う前にまずあの時の自分の発言を羽生君に土下座して謝ったら?と、かつてその無慈悲な刃を振りかざした大衆に私は冷めた視線を向け、ため息をつく。
無良君が今回このプログラムを選んだのは羽生君への深い想いがあってのことなのだろうけど、その想いを色々勝手に想像していると涙が滝のように溢れてきてしまった…。何よりこれが本当にいい演技だったのである。無良君の心がそこには溢れていた…。

もうボロッボロに泣くとかちょっと早すぎでしょ自分(汗)。ショーの会場でも泣かないように耐えることが多いのだが、これは無理でした…。いろんな、いろんな感情でいっぱいになってしまいました(涙)。無良君初めて見た時まだノービスだったなあとか思い出すともう耐えるの不可能…。

涙を拭きながら再び流れ出す羽生君のスケーター紹介映像を見つめる。次に紹介されたのはジェフ。振付風景も流れて思わずガン見。
パリの散歩道はジェフが滑ったらかっこいいんだろうな、と思ったというコメントには少し頷いてしまった。そうか、羽生君もそう思ってたんだな…。正直に言うと、初めてあのプログラムを見た時の私の感想も同じだった。私はジェフの大ファンだったので、彼の巧みなスケーティング技術があって初めて生きるプログラムなんじゃないのか、とまで思った程だ。でも結局、気が付いたら羽生結弦以外の人間が滑っている姿が想像できないくらいに羽生結弦の代表作になっていた。ジェフの大ファンだった私からジェフの影を忘れさせ、なおかつジェフの姿をその滑りに溶け込ませた羽生君を、私が応援するようになったのはごく当然のことだったのかもしれない。

ジェフリー・バトルの演技が始まった。白いシャツを纏った爽やかなジェフ。本当に彼にはこの風のような空気が似合う。大画面なのでジェフの演技の細かいところまでよく分かって最高だった。
何度も書いてるけど、私がフィギュアスケートを見るようになったきっかけはヤグディンだった。そのヤグディンが故障で引退し大きなショックを受けた私が、それでもフィギュアスケートを見続けたのはジェフがいたからだ。当時はまだジャンプの名前もろくに覚えてなかったであろう、何もわかってなかった私の心にただ素直に入り込み、今に至るまで続く爽やかな風を吹かせたのは、ほかの誰でもない、ジェフだった。彼の滑りをこの場で見られることに、ひとり感慨深いものを覚えながら、やっと涙の乾いたその目で私は静かにスクリーンを見つめた。

以下次号。