うさぎパイナップル

フィギュアスケート旅日記とテレビ観戦記とその他色々色々・ただ書き散らして生きていたい(ライター始めました2018・生活の糧と居場所募集中)

「10/6引退 町田樹の軌跡」雑感

9月15日にBSジャパンで放送されたまさかの町田樹引退特番。これまでにジャパンオープンとカーニバル・オン・アイスで滑ったプログラムを一挙放送。
たったの30分ですが、放送されないのとされるのでは天と地ほどの差。何故なら、テレ東が入らない地域にお住まいの上、長年BSも見られなかった私には、町田君が現役引退してからのプログラムをほぼ目にする機会がなかったのです。だからもうかぶりつきで見ました。
そう、なのでもう何年も、ジャパンオープンとカーニバル・オン・アイスは放送そのものを見られず遠い世界の話になってしまっていたのですよ…。もちろん会場に行きたかったですとも(泣)。実はどちらも結局一度も行ったことがないのですよね…。


★2015年 カーニバル・オン・アイス
「継ぐ者」

シューベルトの曲。ジャンプ綺麗…。6種類7本だそうである。引退翌年だったからできたプログラムかも、と本人。私は町田君の演技の中ではジャンプがいちばん要素として好きなので、めっちゃガン見してしまいました。
少しカットされてるのはしょうがないかな。30分しか時間ありませんしね。


★2016年 ジャパンオープン
アヴェ・マリア

使用したのはライブ音源だそうです。冒頭だけ?いや全部だよね?会場の特性を活かしたプログラムだそうで、ちらほら話は聞いてたけど、本格的に実験的なプログラムに挑戦し始めた頃なのかな、と思いながら見ました。
ジャンプがまったくないプログラムだそうだが、「排除」って言ってたのが何とも独特。無機質なような有機的なような。スパイラルがすごい、見所ですね。


★2016年 カーニバル・オン・アイス
「あなたに逢いたくて」

私は町田君のジャンプが好きなんだよ、やっぱり。だからジャンプが入ってる方が嬉しい。個人的にはだけど。
しかし、ものすごくいいプログラムでびっくりした。町田君の新しいプログラムが松田聖子だと聞いた時、「お母さんがファンなのでは?」と私と知人は勝手に想像していたのですが(笑)、いやこれ普通に本人が好きなんじゃないかな、この歌が。思い入れというのかな、本人がすごく楽しんで滑ってるのが伝わってきたから。

これは本当に私の勝手な印象なんだけど、町田君ってものすごくいい意味で「普通」なんだと思うのですよ。成績がふるわなかった頃から、この人は絶対世界の舞台で活躍できる人だってずっと信じていたけれど、でも天才肌でもなければカリスマでもない。だからこそ、「普通の人」でしか持ち得ない感性で演技を構築できるのでは、と思ったのです。
映画館で映画を見たあとって、何だか主人公のような気持ちになって映画館を出てきたりするじゃないですか(笑)。フィギュアスケーターには「映画に出演してる側」の人が多いけど、町田君はそうじゃなく、映画館の椅子に座って主人公に思わずなりきってしまう側の人なんだと思うんですよ、たとえて言うならば。それは才能が無いとかそういう意味ではなくて、「映画の中の人」になれるスイッチを持っている普通の人、というイメージ。どんなに映画の世界に憧れても、その世界を実際に実現できる人はそうはいないんです。天賦の才があり、どうしてもその世界に導かれていく人と、その世界に近付き再現できる感性と能力を持った人だけが、スクリーンの向こうに行ける。町田君は後者で、ワクワクしながら映画を見ている人の気持ちを保ったまま映画を作っている。だからこそ観客に届く。ひとりの、等身大の人間の人生として。
「Don't Stop Me Now」や「白夜行」、そしてこの「あなたに逢いたくて」は、そんな町田君の等身大の良さが最大限に出たプログラムだと思うのですよ。物語の主人公を演じながら、そこには物語を必死で見守っている観客の目線が同時にある。その「普通の観客のまなざし」みたいなものも、彼が実験とも言うべき独創的なプログラムを生み出す原動力になったのかなあ、なんて。

日本のショーだけでもいいから、もっと日本語の歌詞の曲で日本のスケーターには滑ってみてもらいたいなあ、と私はひっそり思っているのだけど、それは歌詞が理解できるからこその観客への「届きやすさ」があるから。けど、届きやすいがゆえに実は大きく求められるであろう「表現の力」が必要だとも感じている。表現に長けたスケーターならば、その歌の物語や言葉の美しさまでもスケート靴の刃に乗せて、リンクを超えてどこまでも広げていけると思うのである。日本人スケーターが日本語の歌で滑ることへの可能性を最初に感じさせてくれたのが、高橋君がアート・オン・アイスで滑った「Another Orion」。高橋君という素晴らしいスケーターの演技だったからということもあれど、これが出来るなら、日本語の歌での演技にはまだ開拓されていない可能性がもっとあるんじゃないかと思ったのですよ。
その私の勝手な期待感を、最大限に満足させてくれる演技だな、と感じました。きっと町田君なりに歌の世界を噛み砕いて、なおかつ歌の世界がシンプルに彼の体を触媒にして広がるように構成されているのだと思った。そして、この路線で滑る姿をもっと見たかった、と思ってしまった。彼の決断を尊重する意向ではあるけれど、素直にこう書いてしまいたいほど、ものすごく残念に思ってしまった…。

実はこの歌、歌詞全部覚えてます。二番の歌詞がものすごく、本当にものすごく好きだったから。この歌と福山雅治の『最愛』は私の人生にずっと寄り添い続ける曲だと思ってる。人生など求めても得られないものばかりで、それでも心を去らない深い想いに墓標を立てるために、文学や芸術、音楽は存在するのです、きっと。
ものすごく綺麗な解釈をすれば、町田君にとっての「あなた」は現役のリンク、なのかな、とやはり思う。2014年の長野での「Je te veux」に感じたことと同じなんだけれど。あの赤いスカーフが、競技としてのフィギュアスケートに思えたのですよ。少なくともあの日のリンクで、町田君が共に滑っていたその相手は…。

しかし、今これ流されたら町田君ファン立ち直れんだろ…。半年くらい経った時の町田ファンの心境だぞこれ…。


★2017年 ジャパンオープン
ドン・キホーテ

全3幕の大作。ひとりで3幕構成って、どんだけ斬新なんだ。
本人の解説によると、1幕は「技のバジル」、2幕が「夢見るバジル」、そして最後の3幕が「祝祭のバジル」。3幕構成にしたのは、バジルの内面の多面性を表現するためだとか。さらに過去のフィギュアスケートの名作から振付を引用しているそうで、解説を聞いているだけでも情報量がすごい。何も前知識の無いままの鑑賞、自分なりに解釈してからの鑑賞、本人の解説を受けてからの改めての鑑賞、と何重にも楽しめるはず。3幕はスピード感もすごかった。


★2017年 カーニバル・オン・アイス
白鳥の湖

こちらも3幕構成。ジークフリートをめぐる物語を時系列に演じているそう。純白の氷を湖に見立てたとか。相手がオデットじゃなかったのにびっくりしてる振りとか、演劇の世界をそのまま氷上に持ってきたという感じ。
3幕は「ジークフリートの死あるいは永遠の誓い」がテーマ、という話だったかな。この3幕で初めてジャンプが入り、それはジークフリートの決意を表しているとのこと。だったと思うんだけど記憶違いだったらすみません。
ラストは白い羽を手に再登場。やはりジークフリートも死んで終わるらしい。この時1回だけの演技だったそうで、見られた人は一生の思い出になったのでは。ショーだからこそ可能な思い切ったプログラムで、これは見た人が虜になるのも仕方なかろう、と思ったよ…。


最後のプログラムは現在鋭意制作中、音楽は内緒だとのこと。是非箝口令でお願いしたいですな。楽しみはギリギリまで取っておきたい。もうこれで最後なのですから…。どっちも楽しみなテーマですし、めっちゃ会場で見たいです。めっちゃ見たいけど圧倒的に絶望的な諭吉不足である…。人生最強レベルに諭吉がいないし。住むところ無くなるんじゃね?ってレベルだし。冗談じゃねーんですよこれが。「是非会場でご覧ください」ってな、私も行きたいんだよおおおおおおおおおおまちだあああああああ(血の涙)

しかし、プロ引退を決めてから色々と心境の変化があったのか、町田君の露出が急に増えたような…。現役の頃はローカル番組にこれくらい気さくに出てくれてた気もするけど、全国区の番組にもこうして出演してくれるのは本当にありがたい話ですね。現役引退直後には正直今の状況は考えられなかった。もう表に出てこないのでは、とすら思うほどでしたし。


…ほとんど聖子の話になってしまった(汗)。聖子だけで独立した記事にしようかと一瞬思ったけど中途半端なのでもうこのままで…。しかし聖子いいプログラムだったな、また放送して欲しいなあ←録画機器がない←ついでに再生専用デッキも壊れました…
30分の番組だったけど、3時間くらい見てたような密度の濃さでした。さすがに不可能だろうと思ってるけど、こんなん見るとジャパンオープンとカーニバル・オン・アイスに猛烈に行きたくなるなあ(涙)。渾身のレポート書く自信ありますけどね…。仕方ない、床から石油が噴き出してくると信じて掘ってみるか←おなかが空きすぎて起きたまま寝言を呟いています気にしないでください←泣