うさぎパイナップル

主にフィギュアスケートの旅日記とテレビ観戦記とお題記事・ただ書き散らして生きていたい

Fantasy on Ice 2019 in KOBE 雑感②

前回の続きです。ここはいつも「昨日の」って書いてたけど、毎日更新をやめちゃいましたからね。ちなみに、今回の感想文は全4回の予定です。


★エフゲニア・メドベージェワ
May J.とのコラボ。ショーのためのコラボだしそこまで滑り込んでないだろうけど、環境の変化などで昨シーズンに見られた不安定さが消えてるなと思った。これは今シーズン楽しみ…。ロシアは国内だけでえらいことになってるけど頑張って欲しい。
彼女も三原さん同様、もう少女じゃないんだなとしみじみと思った。フィギュアスケートという競技は若者のまばたきをしている間に過ぎていく一瞬を見つめる競技でもあるのだなあ…。


★タチアナ・ヴォロソジャール&マキシム・トランコフ
こちらもMay J.とのコラボ。あれ、この曲前も滑ってなかったっけ彼ら。違うっけ?
そう言えばお久しぶりですね。スローは痛そうな失敗をしてたものの、お久しぶりとは思えない先端まで当たり前のように行き届いた美しさ。これが金メダリスト。隠しても隠しきれない実力だな…。隠してないだろうけどさ。
トランコフがあんまり胡散臭くないのでちょっとびっくりした(笑)。


紀平梨花
彼女は幕張と同じ衣装かな。上半身のデザインが腕を締めたり振り回したりするのに邪魔そうなのに、ものともせずジャンプをビシッと決めちゃうのがすげえ…。
宮本先生の解説がやっぱり面白い。技術解説の人と振付師とかそっち方面の人と両方いたら完璧なのかもしれん。


ジェフリー・バトル
過去の恋愛を特に表現…。そうだったのかジェフ…。それを最初に聞いてから演技を見るとイメージが変わる。少し切なそうに見える表情もあったけど、ジェフ、笑ってるんだ。あの心を溶かす笑顔で何度も笑ってるんだ…。
これまでも彼が幸せであったこと、これからも幸せであることを祈らずにいられない。涙が出た…。ヤグディンの次に大好きになったスケーター、それがジェフだった。ヤグディンの引退にあまりにも強いショックを受けた私の心を、あの笑顔と爽やかな滑りでフィギュアスケートに繋ぎ止めたのはほかの誰でもない、彼だった…。
終盤のあまりに美しいイーグルは絶品としか言いようがない。会場で見たかった…。


エリザベータ・トゥクタミシェワ
一時期女子スケーターがあまり出てなかったけど、今年はたくさん出演してていいですね。その中でも彼女は特に見たいスケーターだったから今年は行きたかった…。トホホ。
幕張と同じプログラムですかね。炎を帯びたようなヴァイオリンの音色やおろした髪、光沢のあるさりげなく豪華な衣装、すべてが彼女を美しく彩ってる。贅沢なひととき…。


アリーナ・ザギトワ
椅子が赤いとますますカルメンっぽいですね。細かいことだけども。
競技のプログラムをこんな風にアレンジしてコラボプログラムにするのって、面白い試みかも。競技のカルメンはプログラムに隙がなかったので本人にも隙がなかったけど、このカルメンはしっかりファム・ファタルっぽくていいですね。ザギトワのいい意味での「少女っぽくなさ」がよく活きてる。


ステファン・ランビエール
正統派クラシックのステファンは久しぶりな気がする。衣装がめっちゃ「ファンタジー・オン・アイス」って感じがするわ。
泉の水が湧くようなピアノの音。ステファンの足元、手の振り。あらゆるものがピアノの音色であり、ステファンそのものでもある。ただ美しいのではない、これはあえて定義するなら「ランビエール」という分野なのかもしれない。おそらく会場にいたら私は一切拍手をせずに食い入るように見つめるだろう。拍手をする手間すら惜しく、余計な雑音を耳に入れたくない。それくらい集中して見たいのだ。もう丸2年も彼の演技を見ていない。禁断症状が出そう…。

宮本先生が演技中無言だった。何を喋るのか楽しみにしてたのだが。演技が終わってからいっぱい話してたけど。宮本先生のステファン評面白いよね。


エフゲニー・プルシェンコ
フードかぶるのやめたのかい?やっぱり当時の衣装の再現なのね、めちゃくちゃ既視感あるもん。
プルシェンコってめちゃくちゃ美形というわけじゃないのに、ほかにはない美しさに圧倒されるんですよね。特にこういう咽び泣くようなプログラムだとそれは顕著で、初めて見るスケーターでもないのにいつも知らない誰かを見つけたようにハッとしてしまう。あの肉襦袢と同一人物だと誰が信じるんだ…。同一人物だけどな…。


★テッサ・ヴァーチュー&スコット・モイヤ
テッサの衣装がなかなか大胆なんだけど、わりと見てる場合じゃない。足元も見なきゃいけないし腕の動きも見なきゃいけないしスコットも見なきゃいけないしああああああああ!←見るところが多過ぎてパンク
何がすごいって、一人でも音に合わせるのって大変なのにこの人たち二人だから。二人で揃って音拾ってる。達人だよ。何これ。
スコットの雰囲気にダークなプログラムは合ってそうだし、すごく良かったと思います。うう、見たかった、圧倒されたかった、とほほ。


羽生結弦
羽生君はおそらくトリに1プログラムだけだったのだろうけど、日によってプログラムを変えたのでここで収録日以外の日の演技も流してくれるらしい。

ToshIの歌声もわりと両方の性別を内包している印象だが、その声質が「時に少女のようにも見える青年」である羽生結弦の独特な佇まいに非常にマッチしているのではないかと思った。女性の声のような柔らかな高さを持ちながら、魂の底から突き上げてくるかのような迫力は男性のそれである。ToshIの歌声には魅力を感じていたけど、こんな風に分析しながら聞いたことはなかった。

その声を背に、時に内側から響かせるように羽生結弦は滑る。ベタな言い方をすれば、これは「怒りの羽生結弦」なのだろう、と私は感じた。
羽生結弦としての価値を我々に等しく与えるために、彼はいつの頃からかその仮面で彼を隠した。けれど、本当の「羽生結弦」はいつだって我々の前にちゃんと立っている。その内で渦を巻くマグマは、彼そのものであり時に仮面すらも融解させる。その瞬間を仮面をつけて見ようとしないのは、おそらく我々の方だ。
本当は言いたいこといっぱいあるんだろうな。それは永遠に、仮面の下に沈めてしまうのだろう。せめてその怒りが、氷上を焼き尽くす炎となって彼を最高に美しく燃え上がらせることを、ただ願う。

オペラ座は炎に包まれて崩壊し、クリスティーヌもおそらくは命を落としたのだろう。いや、最初から存在しなかったのかもしれない。ファントムの本当の復讐が始まる。仮面の下の、さらなる仮面を外して。
世界は燃える。ただただ紅い、怒りの炎。炎の中から生まれたファントムは血塗られたその運命ごと生まれ変わる。炎の紅に染まる横顔は、壮絶なほど美しい。
燃え尽きて崩れ落ちる瓦礫の音。振り向いたその顔は何物にも覆われぬ。魂を燃やさずして歩む人生は、所詮は仮面の下。二度と現れないはずだった幻の、脈打つ鼓動。彼は確かに、此処に居るのだ。

…シーズンオフにしてはそこそこのポエムが書けたわ…。勝手に「オペラ座の怪人・第2章」とか言ってました。ごめんなさい何でもないです…。現地で見られてたらもう少し印象や解釈が変わってたと思うので、それがとても残念です…。


羽生君はイレギュラーに挟まれているのだろうから、テッサとスコットで第1部は終了かな。というわけで、キリがいいので本日はここまで。また次回の記事でお会いしましょう。



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