うさぎパイナップル

主にフィギュアスケートの旅日記とテレビ観戦記とお題記事・ただ書き散らして生きていたい

記憶で辿る三銃士 ─映像、文字、そして氷上─

フィリップ・キャンデロロの代表的なプログラムと言えば、なんと言っても『三銃士』でしょう。私は2017年までファンタジー・オン・アイスに毎年行っていた人間なので(この2年行ってないのは単純に金がなかったからです…。それさえあれば絶対に行ってます…)、このプログラムは何度も見ました。しかし、不思議と何度見ても飽きなかった。正真正銘のエンターテイナーなのだなあ、と唸ってしまいます。

キャンデロロの名前を覚えたのは長野オリンピックでしたが、その時に滑っていたのも『三銃士』だったかと思います。それともダルタニヤンと言った方がいいのか。とにかく、三銃士と言えばキャンデロロ、と完全に結び付いてしまうくらいに有名なプログラムですね。


しかし、私は長野のキャンデロロを見るまで、三銃士のイメージがとある作品にほぼ固定されていたのです。そのイメージが強かったので、たぶんキャンデロロらしくかなりコミカルになってるけど、本来の三銃士はこっちなんだろうな、と慣れるまで実はちょっと時間がかかりました。

その作品とは『アニメ三銃士』。30年ほど前にNHKで放送されていたアニメーション作品です。歳がバレそうですが(笑)。
これがたいへん面白い作品で、毎週のように楽しく見ておりました。だいたい全話ちゃんと見たのはたぶん再放送時ですけど。


現在の日本のテレビアニメーションがどのような傾向なのか私にはよくわかりませんが、一昔前は、世界の名作をアニメ化する際には、日本のお茶の間に合わせたアレンジが施されることが多かったように思います。
この『アニメ三銃士』ももれなくそのパターンで、しかもかなり大胆な変更が加えられておりました。

まず、主人公のダルタニヤンは15歳くらいの少年です。それでも子供向けアニメ作品の主人公としては年齢が上のせいか、「はだしのジャン」という子供キャラが登場します。
コンスタンスをはじめとして多くの登場人物の設定が変更される中、最も大胆な変更が行われたのがアラミスです。作品をご存じの方には頷いていただけるかと思いますが、このアニメーションを非常に魅力的な作品にした大きな要因が、アラミスのキャラクターにあったと言えるのではないでしょうか。美しくミステリアスなキャラクターは、たいへん人気もあったと聞き及んでおります。アラミスが主人公の映画があったくらいですもんね。

この様々な変更によって、全年齢層に楽しめる、少年ジャンプ的な熱い作品になっていたのではないかと思います。ただ熱いだけでなく、フランスという異国の文化がアニメ作品と言えど優雅な雰囲気を醸し出し、憧れとワクワクの両方の気持ちで見ていたような気がします。
「ダルタニヤン」とか「コンスタンス」とか、舌を噛みそうな名前で当時はなかなか覚えられませんでしたね(笑)。


しかし、私にとって人生で最初に触れた三銃士がこの『アニメ三銃士』だったわけです(たぶんね)。当然原作の内容など知らず、アニメの内容がそもそもの三銃士の内容だと素直に思っておりました。
なので、子供向けに書かれた『三銃士』の本を読んで、それはそれは驚いたのです。えっ、アラミスはそうだったの?!コンスタンスマジですか??!!
そうか、アニメはテレビ用に色々変更されてるんだな、と小学生でもちゃんと理解しましたさ…。

その後、大人になったかならないかくらいのタイミングで一般向けの小説を読み、子供向けの本では書けなかったであろう様々を含んだ全容を知る。アニメではあんなに大活躍していた、ダルタニヤンより主役らしいんじゃないかと思っていた(笑)、ロシナンテの扱いに息ができなくなるくらい笑ってしまったことは今もよく覚えてます…。アラミスより衝撃的だったかもしれない…←マジかお前…

たぶん最初の方(第1部?)しか読んでないので、続きを含めまた読んでみたい気持ちです。ほとんど内容忘れちゃったし。大人になってから見たり読んだりしたものの大半が記憶に残ってない気がするけど、子供の頃もよく覚えてること以外は忘れちゃってるだけで一緒なのかな。


ストーリーやキャラクター以外で印象に残っているのは音楽です。アクションシーンで流れる軽快な曲、重要なシーンで流れていた気がするヨーロッパの薫りが漂う壮大なイメージの曲。耳に残る音楽ばかりでした。確か大人になってから、たまたま見つけたCDを懐かしくて買ってしまったのですが、そこで初めて作曲が田中公平さんだったことを知る。
機動武闘伝Gガンダム』というアニメのBGMが大好きで、田中公平さんの名前はその作品で覚えました。熱い音楽で知られる方なのかなと思いますが、三銃士やGガンダムを思い出すと、ヨーロッパのクラシック音楽が基礎にある方なのかなあ、なんて勝手に想像してたりします。Gガンダムの、ドモンのテーマっぽいメロディのクラシックな感じのアレンジがものすごい好きなんですよね。私が男子スケーターだったらあの曲でスピンしまくりたい(笑)←誰にも通じないネタ

私は昔から貧民のオタクだったため、本当に好きな作品のCDを厳選して買っていました。なので当時のCDはどれもこれももはや簡単に手に入りそうにもないものばかりで宝物です。もちろん『アニメ三銃士』のCDも宝物。


キャンデロロ以外で三銃士を滑っていたスケーターの印象がほとんど無くて、どれだけキャンデロロのインパクトがあったんだ、と改めてびっくりしてます。アニメで知り、本にも目を通し、そしてフィギュアスケートに出会ってキャンデロロの三銃士を知る。どれもこれも特徴的で、三銃士という作品のベースが魅力的だからこそこれだけ様々な『三銃士』に出会えたんだろうな、という気分。
次はどんな『三銃士』と出会えるのでしょうね。個人的には、もう一度キャンデロロの三銃士は見ておきたい気持ちでいます。トホホ、次にアイスショーに行けるのはいつだろう…。



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