うさぎパイナップル

主にフィギュアスケートの旅日記とテレビ観戦記とお題記事・ただ書き散らして生きていたい

全日本選手権2019雑感⑨

メダリスト・オン・アイスの記事の続きです。全日本の記事は本日で最終回です。最後までお付き合いいただければたいへん嬉しく思います。ではでは、早速どうぞ。

エキシビション

★三浦璃来&木原龍一
三浦さんがスロージャンプを降りたと思ったら転倒してしまい、そのあとにもつまずいていて足に何か、と心配したら靴紐が解けただけみたい?ちょっとホッ。
本当にこのペアには期待しかない。木原君の動きが非常に良くて、お互いの良さを引き出し合えるペアなのかも。世界選手権が楽しみです。三浦さんも明るくてかわいいなー。
世界選手権代表にはアンコールあり。例年通りかな。


★小松原美里&ティム・コレト
今シーズンはなかなか演技を見られず心配していましたが、怪我を乗り越えてまたひとつ上の段階に進んでいったように感じました。この『君の名は』のプログラム、たいへんいいプログラムですよね。映画に思い入れがなくてもそう思えるのが本当に凄い。補正が入らず彼らの演技の魅力だけで魅せてくれているってことですから。


田中刑事
刑事君かっこいいいいいいいいいい!非常にいい表情でしたね、運動量も半端ないな。ジャケットプレイがこれだけ様になるの、日本じゃ刑事君くらいでは。羽生君が実行したらキャーキャー言ってくれる人は多いでしょうが、たぶん私は吹いてしまいます(笑)。昌磨君が実行したら思考がついていかずにフリーズすると思います(笑)。

ところで、アンコール見た人生きて帰れたの?動きにくいからかジャケット脱いでいらっしゃるし、凄まじくキレキレでしたし…。私なら会場で「いい人生でしたありがとうございました」と言い残して息絶えてたと思います(笑)。


宮原知子
年齢を重ねないと出せない、成熟した美しさが表情や演技に出てきていてすごくいいですね。それだけに、最近ジャンプの調子が悪そうなのがもったいない。長い人生、不調な時もあるよね。
重厚な哲学書のようなプログラムでいいんだよなこれ…。喪服の未亡人みたいにも見えるし、とにかく渋くていい。


樋口新葉
競技でも思ったけど、だいぶ絞りましたよね?演技が安定したのはそのせいなのかな。このエキシビションも最後までキレがあり、非常に見ごたえありましたね。振付はジェフなのか。なるほどそれでこのゴージャスさ。

アンコールはフリーだよね。こちらもエキシビション1曲滑り終わった直後だと思えないくらいキレキレでした。


羽生結弦
当日流れてくるニュースを見ながら「会場行きたかったああああああ!」と暴れまわっておりました。やっと、やっと見られたよ。ショーバージョンの『SEIMEI』!
私ねえ、大好きなんですよこのプログラム。過去に散々語ってますが(笑)、羽生結弦の日本の美を体現した外見や二次元の世界から抜け出してきたようなキャラクターなくしては成立しないプログラムだと思うんですよね。艶やかな黒髪、透き通る白い肌、涼しげな切れ長の瞳、細くしなやかな体躯…。これほど説得力のある「和のヒーロー」は存在しないのでは…。

平昌のシーズンから使用している、品のいい衣装で登場した羽生君。今回髪型はプロがセットしているのですかね。さすがプロとしか言えない仕上がりで、壮絶なまでに美しい晴明が白いリンクに立っていました。
…調伏される魑魅魍魎の姿が見えましたよ。何度も伝説的な瞬間を生んできたプログラムですが、過去最高に情景が浮かんでくる、スポーツと言うよりは舞台芸術のような演技でした。でも、決して大袈裟に演じてるわけじゃないんです。スポーツの文脈で滑っているのに、陰陽師の物語が目の前に展開されてくるんです。凄い、この人凄い…。

最も印象に残ったのはコレオです。平昌では足の怪我の影響か、力を振り絞るように、羽生結弦に戻って滑っていましたが、今日の安倍晴明は実に軽やかで、京の街を自在に駆けるヒーローそのものでした。彼が元気に全日本に出場して、軽やかにこのプログラムを滑ってくれたことに、改めてこれ以上ないほどの幸せを感じてしまいました。
うう、もう一度見たい…。久しぶりに何度でも何度でも繰り返し見たい演技でした。SEIMEIに思い入れなくてもそう思ったと思います。やはり、羽生君のマスターピースですね…。

アンコールは『秋に寄せて』。衣装と曲が全然合わないのでは、と思いながら見始めましたが、テレビアニメのエンディングみたいでこれはこれで良かった(笑)。夕焼けをバックに黄昏る陰陽師みたいなイメージ←意味不明


紀平梨花
見るたびに貫禄が出てきますねこのプログラム。ものすごく短く感じてしまいました。表情も凛としつつ余裕があり、非常に良かったです。

アンコールはフリー。おお、この衣装での演技もいいなあ。ラスト部分だけでもスッとプログラムに入り込んで見られるのさすがです。


宇野昌磨
ステファン振り付けのラヴィアンローズ。久しぶりですねこれ滑るの。ステファンが正式にコーチになるから故のチョイスなのかな。
滑り出す前の昌磨君の柔らかい表情にものすごく驚いた。昌磨君がこんな表情で滑るのを私は初めて見たと思う…。
昌磨君はいつもクールな表情を崩さず、それが魅力でもあったんだけど、あともうひとつ何かが欲しい、とずっと思ってた。ああ、これがそれだ。「余白」とでも言うのだろうか。

最後のピースが加わった昌磨君はおそらくもっと強い選手となるだろう。私は羽生君の最大のライバルになる存在はほかの誰でもなく昌磨君じゃないかと思ってる。同じ国にふたつの大きな才能が生まれる奇跡。我々はなんと贅沢な時代に日本のスケートファンとして過ごせるのだろうか。
ステファンがメインコーチとなることで、こんなに昌磨君に変化が生まれるとは…。昌磨君がステファンを選ぶと私は何故かまったく予想していなかったので、こんな驚きを味わわせてもらえるなんて、まさに嬉しい悲鳴ですよ。


フィナーレを楽しみにしていたのですが、髙橋君と羽生君が手を繋いで一周する様子がまさかのまさかで流れなかった。あんなに話題になったのに…。
当日に流れてくる写真や、テレビのニュースで放送された映像を見て、私は本気で泣いてしまいました。これを、これをこの10年近く待ってたんですよ、私は…。

当時も書いていますが、髙橋君が復帰した時、私は心から願ったのです。これをきっかけに、髙橋君のことも羽生君のことも、誰のファンであっても分け隔てなく応援できるファンの世界になって欲しいと。これはいがみ合ってばかりのみっともないスケートファンに与えられた最後のチャンスだと。
ほとんどのファンはそんな人じゃなく、惜しみ無い拍手を多くの選手に送れる方々だと思うのですよ。だけど、時々思い込みの強い声の大きな人がいる。本当はその声が的外れだと知っていても、大きな声に惑わされてしまう人は非常に多いのです。マスコミなどの情報を何も考えず鵜呑みにする人はもちろん、そういった情報を過剰に疑う人もそうだと思います。まず自分の頭で咀嚼して考えてみる習慣を養ってこなかった人なのかもしれません。

ふたりとも、声の大きな人の存在は知っているだろうと思います。彼らが何も言わないのは、たとえそんな人物でも建前上はファンとして大切にしなければならないからです。あんな若い青年たちに、我々はそこまで気を遣わせて、優しさを無駄遣いしてもらってるのですよね。おそらくそれなりの年齢の方々が。どこの国の女王様なのかしら。
まさに「選手の邪魔をするな」「疲れさせるな」ってギャーギャー言ってる人がいちばん邪魔なんですよ。一生気付かないのかもしれんけど。邪魔とか言われるの悲しくない?こっちだってそんなこと言いたくないよ。

手を取り合って笑顔で滑る二人の姿を見ても、まだ同じ事を言い続けるのなら、もう本格的に、彼らと同じ言語で会話する日は来ないだろうなと思った。この二人の姿だけじゃなく、舞台裏や滑走順抽選で昌磨君も加えた3人で写る様子など、この全日本は本当にスケートファンの心を強く揺さぶるシーンに溢れた大会だったと思う。こんな繊細な競技のファンが、個性はそれぞれにしろ、ある程度の繊細な感性を持てないのは寂しいな、と個人的には感じている。
彼らは確かにライバルで、お互いに負けたくないとも思っているし、複雑な感情を抱くことも時にはあるだろう。けどそれ以上に、同じ競技を愛する仲間たちなんだよ。彼らが愛するものをあんな風に傷付ける権利を持ったファンなんて、未来永劫存在していいはずがない。

髙橋君、羽生君、ありがとう。本当にありがとう。正直もうファンでいることが辛いと感じたことも何度もあった。でも、それでもずっと、フィギュアスケートが好きで良かった。この光景を、私は一生忘れないよ。どうかこれからも応援させてください。精一杯の拍手を送らせてください。

リンクに降る雪の演出も美しかったですね。舞い散る雪の中に佇むSEIMEI衣装の羽生君の姿はこの世のものとは思えなかった…。会場に行きたかったなあ。今年はどうしても行きたかったんだよね。単なる予感ですが、おそらく来年は行けないので…。とほほほ。


以上です。相変わらずのんびりペースの掲載で申し訳ありません。最後まで読んでくださった方がいらしたら、心からありがとうございました。
非常に情報量が多く、咀嚼するのに二週間はかかると思った全日本でした。そして、これからも私のペースで、いつまでもフィギュアスケートのファンでいたいと思えた全日本でした。当分、余韻が残りそうです。

ではでは、また次回の記事でお会いしましょう。そして来年の今頃にはまた、全日本の記事で…!




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