さて、出発当日です。腹を括ってから出発までほぼ期間もなく、わらわらし続けていたため気が付いたら当日になっていました。
今回は広島駅から乗車することにして、ラッシュアワーの駅へとやって来る。広島駅の北口の改装はほぼ終了だろうか。暗い地下通路を通って南北を移動していた頃の駅の姿がだんだんぼやけて、今の佇まいが当たり前だったように感じられていく。今度は南口が改装されるのかな。すべて終了するのはいつ頃なのだろう。
トイレに寄ったらたいへん並んでいたため、バスの出発時刻までの暇がほぼ潰れた…。コンビニでさっとホットのほうじ茶とサンドイッチを買って、朝の日差しの中を滑り込んできたバスに乗り込みました。もっと早く来て駅で朝ごはんでも食べようかと思ってたんだけど、まあいいか。
高知までは約4時間と比較的近距離のため、車内は4列シート。ラッキーなことに隣の人はいないらしい。のびのびできますな。長距離だとだいたい3列シートなんだけどね。
あっ、座席にコンセントがついてる。しまった、あるとは思わなくて充電器持ってこなかった。床にも綺麗なシートが貼られている。以前に乗車した時、こんなんだったかな?行きはとにかくぐったりしていたためほぼ記憶が無いのだった。帰りは帰りでもて海さんのステージの衝撃でぼんやりしてたし…。
高速バスも快適な車両が増えてきた気がする。近年は貧民過ぎてバスにすら乗れていないけど、コンセントはもちろんのこと、各座席にカーテンが付いてるとか、床が木目調で落ち着きがあったりとか…。
個人的には横浜行きの路線が好きだったりします。広島からだとあまり混んでないので、東京に行くのにもわざと横浜行きを取って東京まで電車で移動したりしてました。いつか全席個室の高級な高速バスに乗ってみたい。もう横浜線は無くなってたように思うけど。
この日は本当の本当に快晴で、真冬の1日とは思えないほどの日差しが揺れるバスの窓を通して降り注いでいた。暖かいを通り越して、痛いと感じるほどの強い日差しがこぼれてくる。
その日差しがうつらうつらしていた私の肩を揺さぶる。瞼を開けるとそこには青い海。ああ、瀬戸大橋か。私は何故かいつも海を越える大きな橋を渡る少し前に眠ってしまって、橋に差し掛かると目が覚めるのだ。冬の太陽を反射して輝く海は、私の魂の奥底の何かに囁きかけてくるのかもしれない。理由はわからないけど私は昔から、遠くから海を眺めるのが好きだった。
道中、バスは2回程休憩のためにサービスエリアに立ち寄りました。2回ともバスを降りてみたのだけど、サンドイッチ買わないでどっちかで名物でも味わえば良かった、とちょっと後悔。残念ながらサンドイッチでお腹が一杯になってしまっておりました、無念。とりあえず最初のサービスエリアでホットレモンだけ購入。比較的暖かな1日でしたが、それでも温かい飲み物がいいですな。
ふたつめのサービスエリアでは高知の観光パンフレットを貰ってきた。立派なコーナーがサービスエリアの片隅を占めておりました。
実は今回、ある目的以外はまったくのノープランだったのです。4時間しかないので、行き先を厳選して効率的に回ろうか、などとも思ったのですが、何故かまったくその気になれなかったのですね。
誰かと一緒に行動する場合や、公共交通機関があまり発達していない土地へ行く場合などは特に、私は結構ゴリッゴリにリサーチしてから現地へ赴く方です。観光スポットとか時刻表とかお土産とか温泉とか。ホテルも口コミと価格とを徹底比較して最もコスパのいい部屋を探し当てたりとかね。何せ貧民なもので、削れるところは削っていかなきゃ予算が足りない。ただし、あんまりケチなこと言ってると後悔する羽目になるしそもそも面白くないので、出すべきところはバンッと出す。その兼ね合いを見極めるためにもゴリゴリに調べあげたりします。
その一方で、まったく何も考えずにふらっと出掛けてしまうことも多々あります。近年はアイスショー目的で旅に出ることが多かったのですが、ショーを見ること以外は何も考えてなかった場合も存在しますし、とにかくこの場所へ行こう、とだけ決めてバスに飛び乗ったことも。前々回の高知行きもまさにそうでしたね。
どうも今回は後者のパターンのようでした。せっかく行くんだからどこかの博物館の展示とか美味しいランチとか、なんてチラリと頭を掠めたのだけど、そしてネットを通して高知の様々に触れるようになった今、情報収集は比較的容易になったはずなのだけれど、まったくその気になれなかったのです。
こんな時は自分の心の赴くままにさせた方がいい。そうだ、着いてから考えよう。駅前には立派な観光施設があったじゃないか、あそこで聞けばいい。
ぼんやり窓の外を眺めながら、私はそう考えていました。そこに足を踏み入れるのが最大の難関でしょ、と自分にツッコミを入れつつも。一人じゃ行けないよ、と友達に泣きついたのはそれが理由なのに(汗)。しかし、揺れるバスのリズムに身を任せていた私は、とりあえずその緊張感は青い空の向こうに追いやってしまっていたのです。
以下次号。
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