今週のお題「卒業」
卒業と言う呼び方は変かもしれない。卒業ではなく、活動終了だから。
以前にも記事を書いたことのある「土佐おもてなし海援隊」が、今月末で活動終了してしまう。
詳しくは先月書いた記事を参考にしていただきたい(最後にリンクを貼ります)。
土佐おもてなし海援隊とは、幕末の志士6名で構成された、高知の観光PR隊の名前だ。通称は「もて海」。
日々に疲れ、ふらりと足を運んだ高知で、私は本当に偶然彼らに出会った。偶然声をかけられて見た彼らのステージは、エネルギッシュでかわいくて、本当にキラキラしていた。まったく未知の状態から、嵐のように心に飛び込んできた彼らを、私はずっと地味に追っていた。ブログやツイッターで発信される情報は、本当にまったく彼らのことを知らなかった私にとって、少しずつ少しずつ宝物が増えていくように感じられた。こんな感覚は何年も忘れていた。
どうしても、もう一度会いに行きたかった。
行きたかったけど、私はついに彼らの活動終了までに自分の生活を立て直せなかった。私の心からの願いは、おそらく叶うことはないだろう。奇跡でも起こらない限り。
でも、強い悔しさの反面、とても幸せな気持ちも日々抱いている。もて海さんに出会ったあの日、闇の中をさ迷っていた私は新しい光を求めて歩き出せたのかもしれない。頑張ってもう一度会いに行こう、そう思えたから。もて海さんの情報を追っている日々は、本当に楽しかったから。それはもて海さんが、いつも素敵な笑顔だったからかもしれない。結局頑張りきれなかったのだけれど。
平成の世に蘇ったもて海さんは、平成が終わってしまう前に幕末に帰ってしまう。高知の観光PR隊を卒業してしまう。思い出はたくさん残るけど、平成の次の世に、もうもて海はいない。卒業生の去った学舎に新入生が入ってくるように、別の何かのファンになったり、もて海の後を継ぐ観光PR隊がまた現れることはあるかもしれないけど、それはそれでチェックしてしまいそうな気もするけれど、それは卒業していった、もうそこにはいないもて海ではないのである。そして、後を継ぐ者が現れるとも限らない。
いつだって、「次がある」なんて保証はないのだ。
それをわかっていたのに、結局「次」を手繰り寄せられなかった自分に、私は情けなくてため息をついてしまう。
でも。出会えないよりは、ずっと良かった。それは間違いないと何故か思う。誰かや何かとの別れはいつだって身を切られるようで切ないのに、この別れまで含めて、出会えて良かったと思った。たった一度ステージを見ただけのくせに、生意気言ってごめんなさい。でも、ただ素直にそう思うんです。
私はもて海の思い出をそっと胸に抱いて生きていく。たった一度だけの偶然の出会いを、その思い出だけを胸に。きらきらきらきら、宝物のように心の奥で輝く、その思い出を胸に。
あと、10日。たった、あと10日。
3月末までに高知に行かれる予定のある方、急に行きたくなった方。ぜひもて海さんのステージを見に行って下さい。歌もダンスも、とってもキラキラしていますよ。
あのキラキラした世界は、あと10日でこの平成の世の中から失われてしまう。そのキラキラした欠片が、ひとりでも多くの人の心に残っていて欲しい。勝手な願いだけど、そう思ってしまうのです。
もて海さん、ありがとう。本当にありがとう。私の元に形として残る思い出は、たぶんひとつかふたつでしょう。その思い出と、高知の青い空の下でこの目と心に焼き付けたステージの記憶を、私は平成の次の世にも持って行きます。持って行きたいと心から思える思い出と出会わせてくれて、本当にありがとう。
いつかまた、高知へ行きます。皆さんが教えてくれた、素敵な高知を探しに。
幕末に帰るその日は、桜の舞う穏やかな青空でありますように。
以前書いた記事はこちら↓
usagipineapple.hatenablog.jp
noteにも新たにもて海さんの記事を書いたのでそちらもついでに貼っておきます↓
note.mu