うさぎパイナップル

主にフィギュアスケートの旅日記とテレビ観戦記とお題記事・ただ書き散らして生きていたい

高知旅日記2020③

バスは快調に青空の下を高知へ向かって走ります。車内でパラパラとパンフレットをめくるものの、やはり何も計画が立てられない私。不思議なくらい気が向きませんでした。

友達に泣きついた理由は、一人旅が苦手だからではありません。むしろ一人でふらりと旅に出てしまうことはよくありました。休みを合わせるのが面倒だとか、理由は様々だったかと思います。
確かクリスマスイブに札幌に一人で行って物議を醸したり(※メダリスト・オン・アイスを見に行った)、わざわざ一人で和歌山まで猫見に行ったんですかって鼻で笑われたり(※たま駅長に会いに行った。駅長はずっと寝てて一瞥もくれなかった。まあ猫ですし…)、一人で行った今治で迷子と間違われたらしく知らないおばあちゃんが道案内してくれたり、わりとそんな人生でした。ええそんな人生…。

もちろん一緒に行ってくれる人がいればその方が楽しいです。だいたい珍道中になるし(笑)。ネタの神様って複数人いる時の方が降臨しやすいみたいよ(笑)。フィギュアスケートの旅の場合は、現地集合で遊んでくださる方がいたりしてそれがすごくすごく楽しかったりしますし。
しかしある程度の年齢になると、主にライフスタイルの変化によってなかなか遠出に付き合ってくれる人は少なくなってしまうんですよね。みんな結婚する前は「これからも遊ぼうよ!」って言ってくれるんだけどね。まあしょうがない…。

母の知人に占いに詳しい人がいて(確か台湾の方だったと思う)、母の手相には旅行線と呼ばれる、移動の多い人生の人間に出る線があると言われたそうです。実際、母は海外で暮らしていたことがありました。
家族旅行すらしたことのなかった子供の頃の私には、自分にもたぶんその線があると言われてもまったくピンと来なかったのですが、どうもやはりこの線、私にもはっきりあるらしい。旦那の転勤等であちこち行くことになりますね、ととても当たる手相鑑定で告げられているのですが、これまでのふらふらぶりからすると、これからもふらっと旅に出たり、あちこち仕事に行ったりできるのかなあ、という印象です。引っ越しが多いのは大変だからそのくらいでいいんだけど、果たしてどうなるのやら。ちなみに旦那なんて現状おりません(笑)。

なので、たとえ滞在時間4時間でも、高知へ行けるのは楽しみでした。日常と異なる場所に身を置くこと、そのことそのものが好きなのかもしれない。がっつり観光地を回るとか名物を食べるとか、そういうことではなく。
特に計画を立てずに歩く街並みで、犬のあとを追って見つけたお店の方との会話がすごく面白かったり、ふらりと入ったお店で意外な情報に出会ったり。それが人生を大きく変えてしまうこともままあること。私にはもしかすると、そういう無計画な旅の方が向いているのかもしれません。


バスは往復で買う方が安いので、そういう理由もあって潔く日帰りにしてました。バス代以外に、食事代とお土産と入館料的なものがかかるとしても、アイスショーの2番目に高い席買った時より断然安いんじゃないかな、とつらつら計算する私。だんだん値上がりしてて、現在はおそらく諭吉が2名はいないと2番目に高い席でも座れません。でもその席よりも高い、いちばん高い席から売れていくらしいですよアイスショーって。私は座ったことないんですけどね、恥ずかしくて。カメラに映るのも嫌だったし。昔のショーはそこまでテレビカメラ入ってなかったとは言え。2番目に高い席までしか買ったことがないのはそういう理由。
しかも、公演によってプログラムが変わったり出来が違ったりするから、ついつい複数公演買ってしまったりするわけですよ。さらに交通費に宿泊費、飲食費などの現地滞在費、ファンレターやプレゼントを贈る人はその料金、ショーに合わせてファンミーティング的なものが開催される場合は参加費、等々…。フィギュアスケートのファンの年齢層が比較的高いのは仕方がないだろうな、と思います。私はよくあの薄給から費用を捻出できていたものですよ…。3年で12kg痩せました(笑)。

好きなスケーターが引退しているケースが多かったのと、試合は緊張するしテレビ中継があるから、という理由でショーを中心に見に行っていた私のポリシーを曲げさせたのが、羽生結弦その人でした。どうしても試合での彼の演技を見たくてチケットを取ること2回。しかし、そのいずれも彼は体調不良や怪我で試合に出場できず、私の願いはいまだに叶っていません。彼がアサインされるかもしれないと期待した地元で開催された国際大会も、その年に限り彼は振り分けられませんでした。地元ですし、試合そのものを見たかったので行きましたけれども。試合はショーに比べるとチケット安いですし。

羽生君が平昌でオリンピック連覇を果たしたことは皆様の記憶に新しいと思います。そのエピソードが語られる際に、必ずと言っていいほどオリンピックの約3ヶ月前に彼が負った怪我の話が出てくるのを、耳にしたことのある方も多いだろうと思います。
実は、その試合も見に行きました。羽生君が負傷したのは私が大阪へ出発する前日のこと。彼の背負ったプレッシャーはほかのどの選手とも違う。彼は前回大会の勝者なのです。それなのに、こんな時期に大きな怪我を負ってしまった彼の気持ちを思うと、どうしたらいいのかわからなかった。どうしたらいいのかわからず、涙が止まりませんでした。
同時に、こんな絶望的とも言っていい状況なのに「平昌で勝つのは羽生結弦だ」と信じて疑わない自分にも呆れて、呆れて呆れて泣きじゃくってしまいました。人間は会ったこともない他人のことでこんなに泣くんだな、と思ってしまった。そして、会ったこともない人間のことをここまで信じられるんだとも。平昌での結果は皆様もご存知の通りです。一生忘れることはないでしょう。

また羽生君が怪我をしてしまったら、と思うとトラウマで、チケットを取る勇気が持てなくなっています。そんなの関係ないと思いたくても。
彼が健康に、自分の願う通りにスケートが出来るなら、私は一生彼の演技をこの目で見られなくてもいい。いくらでも我慢する。それでも、それでも、一度でいい、たったの一度でもいいから、私の我儘を叶えて欲しい、と願わずにいられないのです。
私は彼の中で蒼白く燃える、闘争本能に満ちた修羅の炎に何よりも惹かれているのです。あんな冷たく熱く美しい炎を持つ人間に、私はこの人生で再び巡り会うことはあるのでしょうか。おそらくは無いでしょう。それを、この目に、この魂に焼き付けたい。彼と同じ時代に生まれ合わせた運命を全うしたいと願ってしまう。時代を動かしてきた偉人の姿を目にしていたその時代の人々は、きっとこんな気持ちだったのではないかと、彼の物語に身を震わせるたびに私は思ってしまうのです。

美少女のように小首をかしげて笑う羽生君のあざとさに震えたりもしてますが(笑)、私が何より好きなのは競技者・羽生結弦なのですよね。私はこの人生が続く限り、そして羽生君が現役選手で居てくれる限り、この願いを諦めたくないのですよ。どうしても。彼が競技のリンクを離れてもきっとずっとファンだけれど、だからこそ競技者としての彼の姿を覚えていたいのです。


…何故か羽生君の話になってるし(汗)。脱線し過ぎだし(汗)。
本日は旅日記ですらありませんでしたが、華麗にスルーしていただければ(泣)。

そんなことをつらつら考えているうちに、バスはいよいよ高知駅へと近付いてきました。以下次号。




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