うさぎパイナップル

主にフィギュアスケートの旅日記とテレビ観戦記とお題記事・ただ書き散らして生きていたい

きみはなんにも言わないけれど、きみが居なくちゃだめなんだ

お題「#新生活が捗る逸品」


一人暮らしを始めたばかりの頃の私は、まったくお金がなく、ベッドも買えずにフローリングに直接布団を敷いて寝ていたし、本棚は段ボールで作っていたし、洋服もあまり持っていませんでした。

それなのに、私は実家から自分の荷物を乗せてアパートへ移動する車に、あるものを積んでいたのです。

それはミッフィーのぬいぐるみでした。ジャンボサイズのぬいぐるみです。顔は私のそれより大きくて、大きすぎるので洗濯機にも入らないくらい。抱き上げるとずっしりと重いです。
車の助手席に、きちんとシートベルトをかけて座らせてあげると、本当にミッフィーが乗っているように見えるくらい大きいです(笑)。

ベッドも机もないのに、私は実家からミッフィーのぬいぐるみをいの一番に連れてきたのです。暖も取れない、ごはんの代わりにもならない、身につけることもできない巨大なミッフィーを。

でも、空っぽに近い部屋にミッフィーがいる。寂しい時はわざと玄関に座らせてから出掛けると、じっと玄関に座って待っていてくれる。寒いのにごめんね。
何もしゃべらず動くこともないミッフィーと暮らすことから、私は自分の新しい人生を始めたのです。


いつも変わらない、達観した表情のミッフィーは、今も私の部屋にいるのです。
一人暮らしを始めたあの日から、いつも何も言わずに黙ってそばに居てくれたのはミッフィーだけ。ミッフィーはこれからも何も話してはくれないでしょうが、ただそこに居てくれるだけで何だか嬉しくなります。いつかこの部屋を出ていく日が来ても、やっぱりミッフィーは新しいどこかの部屋で何も言わずに座っていてくれるのでしょう。いえ、座っていてくれなきゃダメなんです。

ねえミッフィー、すっかり真っ黒になっちゃったから、洗濯しなきゃね。いつか住むお部屋には、ミッフィーが洗えるくらい大きな洗濯機があるといいね。




「うさぎパイナップルnote分室」を開設しました。フィギュアスケート以外の話題は2018年9月よりこちらに集約させております。心の叫びや日々の呟き、小説から趣味の話、フィギュアスケートの話も時々、要するに何でもあり。タロット鑑定についてもこちらに書いております。週2、3回のペースで更新中なので、お気軽に遊びに来てくださいね。
note.com