うさぎパイナップル

主にフィギュアスケートの旅日記とテレビ観戦記とお題記事・ただ書き散らして生きていたい

北京オリンピック雑感㉖

女子の感想、ようやく最終回です!長い記事になったので、早速どうぞ!

女子フリー②

第3グループ

14︰エリシュカ・ブレジノワ
なかなかピリッとした演技のできる選手が出てこない。彼女もジャンプの乱れが出てしまった。
練習ではステップももっと動けていたという鈴木さん。オリンピックだからでしょうか、ドーピング問題で揺れていておそらく今までにない雰囲気が会場に漂っていたからなのでしょうか、集中が乱れる選手がいてもおかしくないのかな…。


15︰マライア・ベル
斜めに跳んでるように見えるジャンプが何本かありましたが問題なく降りる。ジャンプはすべて降りる!ステップやコレオにも素直な伸びやかさがあり、プログラムの世界に嫌味なく観客を連れて行く。いい演技でしたねえ…!
客席のネイサンが抜かれてるぞ。アメリカの選手への声援がショートからとても大きい気がしますが、たくさんのアメリカ関連の人が見てるのかな。
ついに暫定1位が交代だー!


16︰アナスタシア・グバノワ
ジャンプの質がとにかく素晴らしい。シャープで無駄のない美しいジャンプ。無駄な力の入ってなさはステップや滑りそのものにも感じてしまう。
素晴らしい出来でした。本人も演技後に感極まった表情…!自己ベスト更新で暫定2位。今後もチェックしたい、この選手。


17︰キム・イェリム
目の覚めるような高さのあるコンビネーションジャンプからスタートし、ラストのスピンまでスピードが落ちない。
滑り終わってのガッツポーズを、こんな大きなガッツポーズは見たことがないとアナウンサー。トゥーランドットの気品あるメロディにのせた素晴らしい演技。エッジのミスなどはあったものの暫定1位!


18︰アリサ・リウ
トリプルアクセル決まったあああああ!レビューはついてましたが非常にいいジャンプに見えます。うーん、ダウングレードか。
ヴァイオリン協奏曲はとても盛り上がるプログラムになるけれど、スケーターに実力がないと曲に負けるという印象なのですが、これは素晴らしいヴァイオリン協奏曲でした。スピードの落ちない演技に華やかなメロディ。とても高揚感がありますね。いい演技でした!


19︰ルナ・ヘンドリクス
単独のフリップの着氷が素晴らしい。曲のイメージまでをも表現したダブルアクセル。達人の足元を感じさせながらも迫力のあるステップ…。
凄まじいパーフェクト演技が見られるかと思いきや、ラストのサルコウがパンク!あああ!惜しい!惜しいいい!
鈴木さんも言ってたけど、確かに後半は慎重だったかもしれない。けどラストのスピンからフィニッシュまでの流れも素晴らしかったです!
ルッツのアテンション含め惜しいポイントもありましたがとても良かったです。ファンなので嬉しい。オリエンタルとヨーロピアンな雰囲気が不思議にマッチして素敵過ぎた…。

第4グループ

第3グループはいい演技が続いたので、このグループもそうなってほしいですねえ…!


20︰ユ・ヨン
いきなり天井カメラ!いや大人しくしてろよお前!
トリプルアクセルきたああああ!うっ、しかしレビュー。その後も抜群の安定感でジャンプをすべて成功させ、ラストまでスピードの落ちない素晴らしい演技を見せてくれました。
しかしレビューがすんごくついてたんですよね、回転不足がどうか。結構取られてるけど高得点のジャンプも入ってるからか、暫定1位。


21︰樋口新葉
トリプルアクセルめちゃくちゃキレのあるいいジャンプ!レビューついてない!ついてないよ!!
しかし直後のコンビネーションのセカンドで転倒。ここだけが惜しかった、そこからはノーミスだったので。
ステップに入る直前には、ここまでに残しておいたエネルギーを全部ぶつける、という気合いの声が聞こえた気がした。荒々しい自然の生命力を歌い上げるようにステップを踏み、ラストのスピンになだれ込む。
オリンピックシーズンによくぞこのプログラムを用意した…!転倒はあったけれど素晴らしかったです!
暫定1位!入賞はもう確定だ!


22︰アレクサンドラ・トゥルソワ
うわああああ…。うわああああ、えええええ…。日本語忘れた…。
驚異の4回転5本。フリップ、サルコウは切れ味抜群、トゥループは着氷乱れ。トリプルは余裕かと思いきや次のコンビネーションも乱れ。
しかし後半立て直す。4回転ルッツ2本。なんと成功。2本目で思わず声出た…。
呆然としてるうちに終わる。これをオリンピックでやってのけるとは…!技術点100点超えてるよ、女子の点じゃない。
フリーの点は驚異の170。これはメダルの色が最後までわからない…!


23︰坂本花織
あのトゥルソワの衝撃の演技で会場は相当ざわついただろうに、雰囲気に飲み込まれずパーフェクト演技!素晴らしすぎる!
トゥルソワが上へ上へと飛び上がるロケットなら、彼女は一度の羽ばたきで世界の端まで飛んでいける飛行機、雄大な鷲のようだ。スピード、流れるジャンプ、飛距離、何をとっても申し分なかった。
153!素晴らしい高得点!4回転もなしにこれだけの…!ルッツのアテンション以外ミスもほぼなかったですしね…!


24︰アンナ・シェルバコワ
このオリンピックはシェルバコワのオリンピックだったと思う。シーズン中には不調な演技も見られたのに、完全にオリンピックにピークを合わせた最高の演技。
冒頭に4回転フリップを2本。1本のみだったことが多かった気がするのに。レビューがついているのもいちばん最初のフリップのみであとはオールグリーン。セカンドがトリプルループのコンビネーションも含めノーミス。
凄まじかった。これが世界女王の実力…!フリップの加点に目を剥く。トゥルソワの点を超え暫定1位。凄まじい戦い…!メダルの色はどうなる…。


25︰カミラ・ワリエワ
真相のほどはわからない。もしかしたら本当に彼女は何も知らなかったのかもしれない。真相がどこにあったとしても、この騒動の中で平常心が保てる年齢でもないだろう。
4回転サルコウは彼女ならもっと余裕を持って着氷するはずだ。トリプルアクセルはショート同様ステップアウト。4回転トゥループのコンビネーションもぎりぎり、後半のトゥループに至っては転倒。
トリプルジャンプの着氷も鉄壁のスピンも乱れがあるように感じた。足の調子が悪いんじゃないかと疑ってしまうほど。

圧倒的優勝候補だったはずの彼女が、まさかの表彰台を逃した…。この大会はそういうオリンピックだったのだろうか。まるで、ワリエワが表彰台なら表彰式をしないという予定にスケートの神が逆らうような結果だった…。


衝撃の結末。今回のオリンピックで、いちばん優勝が固い選手がワリエワだと思ってたのに。これ以上に恐ろしい「オリンピックの魔物」がかつていただろうか。

真相のほどはもちろんわからないけど、出場は認めるけど優勝しても表彰台に乗ってもメダルは無い、セレモニーそのものも無い。ショートに25人出場ということは彼女は出場していても存在していないのと同じ。たとえ優勝してもエキシビションにも呼ばれないっぽい。
国として優勝した団体戦もセレモニーが中止され、共に戦った選手たちは栄光にあずかれない。真相を求める記者の群れ、世界中から向けられる厳しい目。
この状況で、いつもどおりの演技ができる15歳の少女がいたら、それこそ怪物だ。

あれだけの演技が、いくら薬を使ったところで可能になるとは思えないし、ワリエワ本人の天賦の才や鍛錬によるところも大きかったはず。それをこんな形で潰してしまうのはあまりにももったいないし、潰していいとも思えない。

こんな形で、優勝候補が沈んでしまうとは…。これを予想できた人間がいたのだろうか。純粋な勝負の結果がこれならば、ここまでショックも無かったであろうに。


この結果ロシアで独占されるはずだった表彰台に、坂本花織が割り込むことになった。トリプルアクセルも4回転も持たない彼女が、極限までに高めた質でその座を掴み取ったのだ。
それだけじゃない、スケートの神は、この闇の色の濃くなってしまった物語に、希望と明るさを取り戻すために彼女を選んだのかもしれない。4回転5本をもってしても勝てなかったトゥルソワは銀に納得いかず、シェルバコワも金メダリストなのにドーピング問題に話題をさらわれ、しかもワリエワと同門のふたりはいちばん複雑な立場だったはず。そんな中、ただ純粋に喜んでいる坂本さんの屈託のない笑顔がどれだけ見るものの心を癒やしただろうか…。これは「運命」だったのかもしれない。

ワリエワが4位だったため表彰式も、私は見られなかったけどセレモニーも実施された。シェルバコワの会見の内容も少し見たけど、冷静な受け答えで感心した。このメンタルだから彼女はこの大会を制することができたのかも。

平昌に坂本さんが出てほしいけど、さすがに無理かなあ…と思っていた5年前の私に、彼女は平昌を経て北京でメダリストになったぞ、と教えたらどんな顔をするかしら。やっぱり、ってドヤ顔するかもしれないな。2014年のメダリスト・オン・アイスで彼女の滑りを見て一目惚れしてから、ずっとファンです!


オリンピックの種目は女子が最後のパターンが多かった気がしますが、今回はこの順番で良かったのかもね。というわけで、衝撃の結末を迎えた女子の次はペア。北京オリンピックは、ペアですべてのフィギュアスケート競技が締めくくられます。

ではでは、次回はそのペアの感想でお会いしましょう。



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