うさぎパイナップル

主にフィギュアスケートの旅日記とテレビ観戦記とお題記事・ただ書き散らして生きていたい

全日本選手権2018雑感⑧

この出だしを書いてる今、まさに地上波にチャンネル変えて10分くらいで、たぶん整氷中で煽りとか公式練習の様子とか流れてるのドキドキしながら見てる。羽生君と昌磨君はもう代表に決定してると考えるのが妥当だけど、最後の一枠がまったくわからなくなってきた。最後まで目が離せない。しかも最後の最後にキスクラに座るコーチはあのステファン・ランビエール…!高橋君にステファン(実はこの二人日本で言えば同い年)、そこそこ年季入ってるスケートファンにもテンションの上がる顔触れが揃う。過去に見たことのないような全日本になりそうでワクワクが止まらない…!

おおステファン、チラ映りどころじゃなく、コーチだからがっつりインタビューされてるわ。世界一全日本に馴染んでるスイス人では…。クリスマスを日本で過ごすの何年目ですかあなた…。来年も島田君のコーチでいる限り日本かしら。来年こそ行きたい(泣)。

男子フリー②

第3グループ

6分間ちょっとしか流れなかった…。女子もそんな感じだったっけ…。


13:日野龍樹
衣装カッコいい。シンプルだけどカッコいい…!紫のハイネック。
ああ、足痛めてたのか…。確かにジャンプに細かいミスは見られたが、冒頭のトリプルアクセルのコンビネーション素晴らしかった。あとスピンが凄く良かったです。全部じゃないけどやっぱりレベル4なんですね、さすが。


14:山本草
4回転降りた!客席から悲鳴のような歓声が上がる。トリプルアクセルは2本ともミスがあり、最後のコンビネーションも転倒してしまった。得点的には厳しいかもしれない。しかし美しい滑りとスピン、静かな気合いを感じる出だしの表情。完璧じゃなくても、ここまで戻ってきた…!あと少し、あと少しで完全復活だという気がする。今までよくめげなかった…!ちょっと泣きそうになったよ…。


15:壷井達也
滑りやスピンが達者なスケーターが続くと楽しいですね。冒頭のトリプルアクセルこそ転倒でしたが、そこから先はジュニア選手とは思えないほど落ち着いて滑っていて素晴らしかった。スタミナ切れなども感じなかったし、本当にこの先が楽しみです。
目まぐるしく1位が変わる。壷井君暫定1位だ!


16:山隈太一朗
2本目のトリプルアクセル、こらえたかと思ったんだけど転倒してしまった。しかしそれ以外は素晴らしかった!ステップもちょっとした視線の動かし方も音楽を捉えていて、コレオはもう会場の観客みんなが彼を大好きになりそうな素晴らしいコレオ。この曲よく使われるけど、今まで見た中ではいちばん好きなプログラムかも。ショートもフリーもいい出来の全日本になりましたね!


17:友野一希
4回転サルコウのコンビネーション降りたあああああ!しかし直後の単独のサルコウは転倒。後半のアクセルも乱れていて、フリップのコンビネーションもヒヤッとした。しかしステップで起こる歓声で彼のスイッチが入った気がしたし、コレオもめちゃめちゃ気合い入ってた。是非またどこかで披露して欲しい、このプログラム…!
プレゼント、あんなに抱えてキスクラに向かっていく。いい子だなあ。しかもトナカイの被り物してる(笑)!さすが過ぎる(笑)


18:木科雄登
去年はショート23位だったのか、そうだったっけ。ああ、そうだったかもしれない。たった1年でめちゃくちゃレベル上がってない?って思ったもん。
トリプルアクセルの2本目で転倒してしまい、コンビネーションにならなかったので得点源はひとつ失ってしまったが、そこ以外は良かったと思う。サスペンスとアクションを堪能できるプログラム。これもキャシー振付なんですね。

第4グループ

ついに最終グループ…!ステファン今日もリュック背負ってる。
いやいや、ステファン見てる場合じゃない。挨拶の表情を見るに、皆緊張しているように感じる。百戦錬磨の高橋君も不安そうだが、全日本ってホント緊張する試合なんだな。
6分間練習ってだいたい目が足りないけど、テレビ放送はスロー再生してくれるのがありがたいですな。


19:田中刑事
今シーズンの刑事君の演技でいちばん良かった気がする。2本目のサルコウは抜けたし、手をついたりザヤックに引っ掛かったりとミスもあったが、4回転サルコウのコンビネーション素晴らしかった。降りた時に「うおっしゃ!」と言ってしまった(笑)。
全体的にものすごく気合いが伝わってきて、コレオなんてもう目が離せなかった。これはPCSも出るはず…!いちばんのライバルは友野君だろうが、ああ友野君の点を超えた…!


20:鍵山優真
私は待ってたんだよ、『龍馬伝』をあんまり変じゃない編曲で、高い質で滑ってくれる選手を…!この曲は絶対日本男子には合うとずっと勝手に思ってたんですよ…!
ジャンプの着氷ミスが多少あったが、中学生、しかも全日本の最終グループということを考えると、本当に堂々とした演技。未来のトップ選手の貫禄を備えた選手だと思う。


21:中村優
最終グループ初めてなのか、意外な気もしたが、そう言えば強い選手たくさんいたもんなあ。
一目でロミオとジュリエットだと分かる衣装。トリプルアクセルのコンビネーションで派手な転び方をしてしまい、思わずああっ、と声が出てしまった。でも後半は落ち着いて滑れてたんじゃないだろうか。さすがに最終グループ、大崩れすることもなく、皆基本的な力が高い。
うーん、でもあまり点が伸びなかった。暫定8位。


22:宇野昌磨
フリップは大丈夫かな、と少し思ったがちゃんと加点がついている。サルコウは3回転に。最初からそうしたのかもしれない。トゥループは大きく減点されている。足は本当にもつのか…?と誰もが心配したと思う。
しかし昌磨君は後半で驚異の演技を見せることがある。今回もそのパターンだった。前半のミスが嘘のように凄まじくクリーンに決まっていく。スピンやステップは確実にレベル4。強い…!
本当に完成した月光はお預けだろうが、本人の両手でのガッツポーズがすべてを物語るだろう。どうかこのあとは無理をしないように…!


23:髙橋大輔
4回転やっぱり入れてきた。3回転になっちゃったけど。トリプルアクセルは2本とも素晴らしかった。何年も現役を離れていた、もう30代の選手に跳べるのか、あの質で…。
しかし4回転のチャレンジで少しリズムが狂ったのだろう、ジャンプには乱れが多く、転倒もあったため技術点は伸びないかもしれない。だが、ステップとコレオは別格だった。コレオの加点には目を剥いてしまった。まさに絶品である。現役選手の誰のステップとも違う、まさに高橋大輔のステップ。凄い…!見ごたえという点では群を抜いていて、これは確実にPCSが高く出るだろう。あとは総合的にどうか。
出た、暫定2位。表彰台確定…!本人が嘘でしょ?とか言ってますけど!


24:島田高志郎
最終滑走に怖じ気づくような選手じゃないだろうと勝手に思ってたが、4回転挑んできた…!2本とも抜けてダブルになってしまったが、ここで守りに入らなかった彼の気概を買いたい。
そのほかのジャンプはしっかり跳べてたと思うけど、もっと熱いものを演技に込めて滑る選手のはずだと感じる内容ではあった。やはりまだ若い選手、場数が足りなかったかもしれない。でも、これが後々いい経験になるんじゃないだろうか。
今日はコートを着てないステファン。カメラがキスクラを映すと早速手を振るのだが、コーチがカメラアピールする必要本来ないよね(笑)。カメラ慣れし過ぎですから、あなた(笑)。


昌磨君のインタビュー。やっぱり捻挫だったのか…。選手生命に関わるような怪我じゃないとの話だが、まさに羽生君も足首の怪我でファイナルも全日本も出られなかったことを考えるとヒヤヒヤしてしまう。正直、棄権しても確実に世界選手権の代表には選ばれただろうから、出場しないという選択肢も十分考えられたはずである。
でも、昌磨君はそれでも出たかったし、それが彼の「プライド」であり「生き方」だと言うのか…。ああ、彼もやはりスポーツ選手なのだ。
どの選手にとっても試合は大切で、外野は今後のことを考えろとか好き勝手言っちゃうけど、その選手にとっては、その年のその試合は人生でたったの一度しかないのだ。出場したいと思うのが当たり前だろう。それは時に、選手生命と引き換えにしてでもの決断かもしれない。でも、スポーツ選手にとっての試合とは、まさに人生を懸けた舞台なのである。その決意と選択に我々が口を挟む権利があるだろうか。
怪我をおしての出場には、時に激しい批判が寄せられる。その批判の根拠は、本当は選手を心配する気持ちではないのだろうと思う。心配している自分の気持ちが苦しいだけなのではないか。その選手のことを信じられないのなら、応援しているというその言葉は嘘になるんじゃないだろうか。ファンに出来ることはその選択を信じることだけだと私は思う。
でも、昌磨君は何を言われたとしても、この決断を後悔したりはしないんじゃないか。そしてまた、素晴らしい演技を見せてくれるだろう。まだ若い選手だし未来もあるし、とにかくしばらく無理しないで欲しいのだけど、淡々としてるように見える昌磨君の中にある、静かな炎が見えた気がした。


表彰式でも昌磨君は普通の靴。身長を気にするようなそぶりを見せてたけど、スケート靴履いてない分ちっちゃくなっちゃうこと気にしてたのね、舞台裏映像で見たところ(笑)。刑事君は意地の表彰台、高橋君はなんか照れくさそう。
NHK杯のレジェンドオンアイスを会場で鑑賞した際、実際にこの目で見た高橋君の動きが明らかに現役のキレで、これは表彰台の可能性が十二分にあるのでは、と思ったんですよ。まさかその通りになるとは…。しかし、これで選考がいちばん揉める展開になるな、とちょっと不安に。

刑事君が表彰台に乗ったので、普通に考えると選出されるのは刑事君だろうなと思ってはいた。直前まで忘れてたけど、高橋君は世界選手権出場のためのスコア要件を現時点で満たしておらず、そもそも何年も競技から離れていたので、近々の実績が何もない。だが、その選手が2位に入ってしまった。
羽生君と昌磨君は日本のみならず世界でも実力的に突出していて、選出しない選択肢は存在しないと言っていい。実質、日本の男子の出場枠はあとひとつ。その二人に続く順位に、高橋大輔が入ってしまった。実力的に日本の3番手は高橋だ、と言えてしまう結果になったのだ。やはり彼は長年トップで戦ってきた選手で、ブランクがあるからと我々はその実力を見くびり過ぎていたのではないか。
刑事君や友野君が、たまたま全日本だけ調子が悪くて、今シーズンは全体的に好調だったのであれば、高橋君は選考対象にもならなかったかもしれない。でも、刑事君も友野君も、決め手に欠けていた、という状況なのは否めなかったと思う。羽生君と昌磨君がいつも通りの演技をすれば、枠の確保は心配の必要がない。どうせ決め手に欠けるなら、日本開催の世界選手権に、オリンピックメダリストが揃うという展開を夢に見る人がいてもまったくおかしくないし、実際に高橋君の全日本の演技は「彼に夢を託したい」という期待を抱かせるものであったと思う。

だが、高橋君はこの結果をどうも予想していなかったようだった。そもそも全日本の最終グループが目標、と口にしていたし、あまりポジティブな発言をするタイプでもない。当然、負けたくない気持ちや自分を見て欲しい気持ちもあっただろうが、とにかく後悔なく競技と向き合いたい、という想いが最優先のように感じた。
現役を離れている間、報道する側として若手の活躍を見守ってもいる。現役の頃から、男子のフィギュアスケートを盛り上げたいという発言もしていたと思う。若手選手たちの活躍や実力を知っているからこそ、応援してきたからこそ、その盛り上がりの中に自分もいたいと考えたんじゃないだろうか。スポーツ選手としての闘争本能は当然あるだろうが、それを前面に押し出すのではない、少し特殊な立場で競技に臨んでいるように私には見えた。
こう考えると、高橋君は仮に選ばれても辞退するのでは、と少しだけ頭をよぎった。最初から世界大会に出るつもりなら、目標を全日本とは言わない気がする。確かにそこまでの準備には時間が足りないし、考えてもいなかったのだろうという印象はあった。本人も世界で戦うためには何が必要なのかよく知っているだろう。ただ、実力的には出場できるだけのレベルまで戻せているということであり、しかも活躍を求められたのであれば、悩ましいところではあったんじゃないかと思う。もっと復帰が早ければ、おそらく悩まなかったのだろうが…。


代表発表はいつものように会場では行われなかった。終了時刻が遅くなるからなんだろうか。いつも結構な時間になってたよな。
その発表の中に、羽生君の名前を見つけてホッとする。四大陸には出場しないようだが、おそらく治療の状況を考えると現実的ではなかったのだろう。実は羽生君は四大陸のタイトルを持ってないので、機会があれば取りに行ってもいいんじゃないかと勝手に思ってるけど。
昌磨君の名前が四大陸にあるけど、大丈夫ですかー(泣)?あと1ヶ月くらいしかないよね、ちょっと心配…。
刑事君も世界選手権に選ばれてる、ホッ。女子は表彰台の通りに選ぶしかない、まさに選考のためにやってる大会だもんな。
そして、この発表されたメンツの中に、高橋大輔の名前はなかったのである。

詳しいことまでわからないが、高橋君が辞退したというのは確かのようで、本人自ら会見を行っていた。最初から選出されていなければ会見そのものもなかったと考えるのが自然かもしれない。
この会見が行われたことで、様々な声をすべて丸く収めてしまえたんじゃないか、という気がする。実力が拮抗する選手が複数いた場合は特にそうだが、代表選考に対しては批判的な声を耳にすることが多い。自分の好きな選手に出場して欲しい、その気持ちは皆同じだろう。
でも、自分がその選手を好きなように、ほかの選手を好きな誰かがいるのである。「好きな選手に出て欲しい」まではまだいいけれど、「だからこの選手には出て欲しくない」という気持ちや主張が見える意見には、いい気持ちはしなかった。論理的に主張しているようで、本音が隠しきれていない。そういった主張をしたいのであれば場は考えた方がいいだろうし、できたら親しい人との間、もしくはまったく興味のない人との間にとどめていて欲しい、とこの度も思った。

外野なんていつでも勝手なもので、その勝手な外野より高橋君はずっと大人で冷静だったという話になるのではないかな。本来、本人が勝ち取った勝利であって誰に遠慮する必要もないはず。出場すると決めたなら私は応援したが、フラットな気持ちになれない人も大勢いただろう。それがいいことだとは、私は思っていない。どう思おうと本人の勝手、ということも念頭に置いた上で。
私は刑事君が好きだし、大舞台で輝く友野君を見たい気持ちもあった。だからこそ、お前らブランクのある高橋君に負けてる場合じゃないだろ、と言いたくもなってくる。そしてそれは高橋君がいちばん思ってることのような気がする。君たちの舞台は世界なのだ。
でも、人生うまくいかないこともあるしスランプに陥ることもある。チャンスは今回だけじゃない。ファンの勝手な声など跳ね返して活躍してって欲しい。その気持ちは、できるだけどの選手にもフラットに持っていたいと思う。スポーツである以上、皆が勝てるわけではないということも忘れないでいた上で。


この辺りの私の思いは、長くなるのでnoteに書いたものを参照していただけたら嬉しい。「好きな選手が選ばれて欲しい」と思う自分のほかにもうひとり、個人的な感情をなるべく排除して「これはスポーツである」とある意味冷徹に分析する自分を作り、選考や結果などについては後者の自分の目で見るように心がけています。競技そのものを、できるだけ楽しみたいと思うので。
noteの記事はこちら↓↓
note.mu



一回りどころか親子ほど年齢差のある選手が出場しているという、近年見なかった気がするほど独特の、そして複雑な要素の絡まりあった、面白い男子の試合だったと思います。それだけに、羽生君が出場出来なかったのはやはり残念でしたが、きっと彼もこのままで全日本から去るつもりはないでしょう。勝手にそう思ってます。そして、誰かの期待に応えるのではなく自分自身のために、ゼロから再び競技に臨んだ高橋君の姿。それは新しい元号で迎える来年の全日本に、いや日本の我々すべてに向けて、新しい可能性を開いたような気もするのです。
さあ、残すはメダリスト・オン・アイスのみ。それについての感想はまた明日。


※レジェンドオンアイスについての記事も参考までに置いときますね↓↓
usagipineapple.hatenablog.jp



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