うさぎパイナップル

主にフィギュアスケートの旅日記とテレビ観戦記とお題記事・ただ書き散らして生きていたい

窓辺に風鈴が歌う頃2020

今週のお題「夏うた」


夏の歌と言えば真っ先に思い出すのが大貫妙子さんの『みずうみ』なんですが、3年前に同様のお題が出た際に語りまくっていたので、今回は別の曲にしてみます。3年前の記事は最後にリンク置いときますね。
音源を手に入れるのが難しそうですけど(私も持っておりませんよ)歌詞が詩的で非常に美しいので、是非機会があれば聞いてみていただきたい。有名なクラシック音楽に歌詞をつけたものなので、いつかこの曲で演技するスケーターが現れたらいいな、なんてうっすら思ってます。


てなわけで、今回も『みずうみ』同様『NHKみんなのうた』からセレクトしてみます。
みんなのうたをきっかけに覚えた非常に有名な曲がひとつあります。それは『さとうきび畑』。おそらくほとんどの方がご存じであろう反戦の歌ですね。

色々な方が歌われている曲ですが、私が覚えたのはみんなのうたで流れていたちあきなおみさんの歌唱バージョンでした。最初に彼女の歌唱でこの曲を知ったからかもしれませんが、ちあきなおみバージョンが圧倒的に最も胸に刺さりました。これはもしかすると、今後も変わらないような気がします。

戦争で父を失った悲しみを切々と歌い上げる歌詞は、静かな憤りに満ちています。その題材ゆえか、この曲がテレビで取り上げられて歌われる際にはどこか「感動させてやろう」という意識を感じるのです。悲しいでしょう、戦争って嫌でしょう、さあ泣きなさい、みたいな。
それはそれでひとつの演出として正しいのかもしれません。それで感動したり胸に刺さったりする人はそれでもいいんです。

けど、私は「違う」と思った。たぶん、いちばん最初にちあきなおみバージョンを聞いてしまったから。

ちあきなおみさんの歌う『さとうきび畑』は淡々としています。泣かせようとも感動させようともしていない。さとうきび畑に吹き抜ける風のごとくどこか無機質。けど、決して感情がこもっていないわけじゃない。ただ、それがまったく聞き手に押し付けてこないのです。

ほかの歌い手のバージョンは、歌の世界観に歌手の方から導いているような気がする。けどこのちあきなおみバージョンは、聞き手を突き放している。決して歌い手の解釈の中に巻き込んで来ないのです。それなのにその歌からは、夏の暑さや乾いた風、高く広がる青空がどこまでも広がる。広大なさとうきび畑の中に自分が佇んでいるような気がする。遠い、たくさんの命が失われた夏に一瞬で連れていかれる気がする。
その幻の夏の世界で、聞き手は考えるのです。歌の主人公の想い。胸の痛み。悲しみ。悔しさ。憤り。

ただ与えられるだけでは駄目なのです。自分の頭で噛み砕き、自分の感性で感じ取らなければ、作り手が歌に込めた本当の感情は伝わらない。その作業へ、ちあきなおみの歌声はごく自然に導いてくれる。
本当に歌唱力がなければできない歌い方だと思います。

これも音源を手に入れるのが難しいと思いますが(持ってないでーす…)、もし可能であれば是非とも聞いていただきたい。たった数分なのに、これほど戦争の悲惨さが伝わる歌はありません。番組の時間の都合上歌われているのはごく一部の歌詞ですが、それでも胸に迫るものがあります。

私の母が若い頃にちあきなおみさんのコンサートに行ったことがあるそうですけど、その話が今更羨ましいですね。私は生まれてもいない頃のことなのでどうしようもないんですけど。『喝采』なんて名曲過ぎて震えてしまう。


最後に3年前の記事を置いておきますね。みんなのうた特集みたいな番組、いつかやってくれないかな。やっててもきっと私が見逃してたんでしょうけど(泣)。私は歌が好きな子供でしたが、『みんなのうた』から受けた影響は振り返ると非常に大きいような気がしますね。
usagipineapple.hatenablog.jp




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